町工場から大企業、そして派遣社員も経験した現役派遣社員の壮絶体験

ホワイトな大手企業へ転職!その87 略奪が始まる!

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なにかというと、工具などの持ち去りである。「どうせ潰れるんだし誰も使わねえだろ」って、一人が発した一言で大勢の人間が一斉に工場内の工具を奪い始めた。それなりのメーカー品の工具などもあったし高価な工具はあっという間に無くなってしまったのである。はっきり言って略奪と変わらないよね。核戦争後の世界を描いた漫画や映画などが多数あるけど、倒産後の工場の中もなんか似たようなもんだったなって今になって思うんですよね。それに持ち去られても誰も注意する人なんて居なかったしね、だって潰れてるんだから。

遅刻しても何も言われない、遊んでいても何も言われない、出勤しなくても何も言われない、居なくても何も言われない。地方の工場へ転勤という選択もあったのだが、半数以上の人は退職を選んだ。自分も退職を選らんだ一人である。中にはここの工場に残れる人も少なからず居た。会社全体が潰れるわけではないので、ここの工場を他部署の拠点として使用するということだった。そして残った人たちは喜びを必死で隠す。退職する人たちは必至で仕事を探す、又はダラダラと過ごす。その前に一人ひとり面談があり、転勤か退職、そしてここに残りたいか、どれが良いかを聞かれるんです。もちろん全ての人が居残りを希望する。

しかし、そんな希望が叶うはずもない。そこで従業員たちは、居残り、転勤、退職の振るいをかけられるのだ。そして再び面談、これが最終面談となり、印籠を渡される瞬間。自分の番がきた。応接室に入る、お偉いさんが三人正面に座っている。「○○君ですね」 「はい」 「○○君は地方です」 「はい」。こんな感じで最終面談は終了。自分は地方へ転勤ということだった。それが嫌なら辞めろということ。もちろん転勤など気が進まないので退職を選択。そして、先ほど書いたような職探しが始まった。有休もあまっていたので、適当に休んでハロワに仕事を探しに行っていた。

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