町工場から大企業、そして派遣社員も経験した現役派遣社員の壮絶体験

ホワイトな大手企業へ転職!その86 ようやく現実を受け入れ始めた社員たち。。

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大手なホワイト企業に転職して10数年、工場閉鎖という初めての体験をすることになった。ほんとに信じられない現実。まさかこの会社が!って、みんなそういう感じでした。しかし、みんな危機感がない。やはり大手にずっと居たせいでリストラや転職、倒産などを経験したことがないからだろう。簡単に言えば公務員みたいな安定している企業だったからなのかもしれない。みんな,なんとかなるみたいな気持ちでノー天気だった。そして、会社のほうで転職を世話してくれるということが決まり、まずは履歴書の書き方や職務経歴書の書き方などの講習会が社内で始まった。これによって、ようやくみんなが現実を受け入れたって感じだろう。部署ごとに転職用のパソコンが置かれ、勤務中でも仕事を検索できる環境になったのだ。

こうなると、会社に来ても仕事などはしない。しないというよりは仕事がないのだ。なので、会社に来ると休憩室で談笑しながらパソコンが空いたら仕事を検索する。その繰り返し。そしてお昼になったら近くのマックへ食べに行く。社員食堂なんてやってるはずもないからね。そして定時間前にはダラダラと帰り支度してさっさと帰るか、またはみんなで珈琲、タバコをふかしながらオシャベリしてから帰る。こんな状態が毎日続いた。中には有休を使い切っても更に休む人も居た。休んだところで何か言われるわけでもないからね。

そして現場では長年自分たちが受け持ってきた装置が淋しく並んでいる。誰もオペレータが居ない装置って、なんか廃墟のようだ。逆にそれが綺麗に見える。忙しいころは24時間フル稼働で、朝出勤してきても「ガシャン、ガシャン!」って感じで工場内は凄く活気があった。しかしこんな状態になって朝出勤してくると工場内はものすごく広い空間で静かだ。ほんとに数か月前まではここで夜勤なんかもやっていたのにね。そして不思議なもんで、機械も人間と一緒で動かないと劣化してくるんだよね。既に錆が発生していた。毎日給油して拭いて、掃除して、次の人に引き継いでいた愛着のある装置が数か月稼働しないだけで錆び付き始めてるんだもん。。

いずれはこれらの機械も撤去されてしまうんだろう。最後に一緒にシフトを組んだ矢島先輩が別の工場へ不要な装置の取り外しに行ったときのことを聞いたんだけど、機械を分解してる最中にも目の前でパートのおばさんが淋しそうに見てるんだってさ。そして「あたし、これを10年以上動かしてたのよ、なくなっちゃうのね」って。なんとも言えない気持ちだったそうです。おばちゃんの気持ちは痛いほどわかる。例えば私も自分が長年乗っていた車を手放すときには悲しかったもんね。調子が悪い時には機械に八つ当たりして蹴っ飛ばしたりしていたこともあったけど、何十年も担当していればやっぱり愛着が湧くんだろう。そして、このような状態になり工場内では悪い活気が出てきた。

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