筆者は1970年生まれ。先輩から、情報技術者を目指す若い方へ生きてゆくためのコラムです。

ダメかもわからんパソコンを修理する(2)

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 Cowtail(カウテイル)氏が、僕にひっそりとつぶやいた。

 「稲造さんち、ハンダあるでしょ、だからそれで」

 「え、ええーっ!! あれやるんですかー?」

 つまり、飛んだ電源のヒューズの端と端を短絡して、ということらしいが、僕のうちにはハンダの新しいのがない。すなわち、そこに付着しているハンダでどうか、が試されているのだ。11月6日。試しに、こてを暖めて、いい頃合いになったら、導線ををこうして……こうして……ダメだ、無理だ。隣の電源コネクタが溶けてくる。ハンダとは、導線を加熱して、部分的にハンダ合金にしながら溶着するのだが、今回、それが全然無理。どんなに加熱しても、ハンダが乗らない。裏面からも挑戦したが……。電源を入れても「ぷっすん」な状態。この場合、一切動作せず。

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画像:プリント基板の裏面からも挑戦をする図
上側が「一次側」下側が「二次側」に分かれていることが読み解ける

 じゃあ、今回はこれはパス。心機一転、電源を買うことにした。(手数料として、2万円もらったから)2002年8月製の電源をあきらめ、新たに電源を買うことにしたが、迷った。普通の電源は、ケースに付随するものだが、今回は大きく違った。まず「OADG(DOS/V)規格の20pin」でなければならない。加えて「12V4pin」の電源も、基板に供給されなければならない。

 ピン配列は、どこにも書いていない。それもそうだろう、なにせ「玄人指向」だからだ。素人的な質問はNGなパーツだからだ。ここはいっちょ、勘と経験で「Celeron、Athron64版」の「マイクロATX電源300W」を選ぶことにした。大きさこそ違えど、無難だろう。そして、OADG(DOS/V)規格に準拠しているであろうことを祈った。

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吟味した電源、どう動くのだろうか……

 翌日、電源が届いた。うーん、ピン配列もばっちり。さて、動かす段になって、スイッチをONすると、確かにLANのLEDが点滅するものの、前面パネルの電源スイッチがいかれているらしくて、一向に動かない。くっそー、4500円が水泡に帰すのかー。

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無理矢理込めた電源。ピン配列も全部合っているのに動かない……

 どうやらパソコンのどこかがきな臭い。臭い!! これは本能的にヤバい臭いだ!! ……これは、電源以前に、どこかが故障しているらしい。なので、これ以上の通電は危険だ。生きている箇所(ハードディスクなど)まで死んでしまうので、ハードディスクをそーっと取り出して、新しいデルの本体とハードディスクアダプタが来るまで待つことにした。ちなみに「玄人指向」さんには罪はありません。わたしが悪うございました。はい。

 何を隠そう(めっちゃ恥ずかしい過去だが)、工業高校の実習の時間、オンボードマイコン用の安定化電源(DC5V)を作り出す際に、トライアック(一種のトランジスタ)とかは間違いなくハンダ付けできたのだが、トランスの一次側と、二次側を反対向けに設置して、普通ならば安定化されたAC12Vが発生するのだが、なんと僕は基板上にAC830Vを発生させ、トランスを焼いたことがあった。本能的にヤバい臭いは、すでに、この時に経験済みだ……。

 ゾンビ復活作戦、失敗……。

 11月9日。新しい本体と、ハードディスクアダプタが我が家に来た。まあ、こんな感じだ。それにしても、新しいパソコンの梱包を外すのは、幾つになっても快感だ。うれしいなったら、うれしいな。よっしゃ、ここはいっちょ、記念写真を撮ろう……。

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Dell Inspiron 530S
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筐体を開けて中を覗く 左上にCPU、その下に電源、その右にHDD

 いやあ、新しいパソコンって本当に良いものですね。この実装密度。設計者が工夫を重ねたものと思われます。それでは、来週に続きます。お後がよろしいようで。

追伸:@IT編集部に、ちょっとしたギフトを贈りました。うほうほ喜んでいただいて光栄です。

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(今回も、思索と模索は続く……)

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