意識改革からの作業改善 ~ 3.システムを作っていることの意識化
■ システムを作っていることの意識化
仕事中、作業を進める上で「考える」「判断する」といったことがさまざまな場面で必要となってきます。
何らかのシステムを作っている場合、こういった場面でSE・PGに必ず念頭に置いて欲しいことが、「自分はシステムを作っている」ということです。
当り前のように思えるかもしれませんが、これができていない人が非常に多く、幾多の場面で非効率的な作業が行われているのです。
例えば、
- 会議で意見を言わない、言わせない
- 作成中の機能の開発に必要となる疑問を出さない
- 連携システムのインターフェイスや、データベースの変更を事後承諾で何度も行う
- 他チームに内緒で、勝手に機能作成範囲を変更する
- 人員の適正配置を行わない
- 自分の状況を報告しない
- 顧客と密に連絡を取り合わない
……など。
これらの事例は、私が実際に体験した非効率作業の一部です。
どこがまずいのかは自分で考えてみてください。
考えつかないようなら、開発チームに迷惑をかけているかもしれません。
心当たりがある場合は、しっかり反省しましょう。
ではなぜ、このようなことが起こるのか?
その大半は、システム(の完成度)のことを考慮せず作業を進めることによって起こるのです。
作業をするときに、「システムをより良くするためには、どのような作業をするのが一番良いか」を常に考慮することで、この問題は大きく改善されます。
具体的には、
- システム要件は満たしているが、本当に端末ユーザーが操作し易い画面ができているのか?
- 言われた通りに作業を始めたけど、もっと効率的な作業方法はないか?
- プログラムの保守性、可読性を上げるには、どうしたらよいか?
- 他チームに影響することがあるのなら、先に相談しておかなくて良いか?
……など、固定的に考えるだけではなく、柔軟に多角的にシステム作成という作業全体を見ていくことで、より効率的な作業を行うことが可能となるのです。
また、自分の作業に対する責任を感じることもでき、より良い作業の礎となるでしょう。
補足しておくと、「もっと効率的な作業方法」を模索するのは、(当然ではありますが)作業結果に影響しない方法を採るのが大前提です。
代替作業方法が思いつかない場合、模索した時間をロスすることになりますが、作業全体をトータルで見ると、時間短縮になっていることが多いのです。
■ 余談1:システムと自分の優先度
システムの開発に著しい遅れが出た場合などに、作業が先行している人がシステム全体の作業をカバーするように仕事を行うのは良いことですが、そのせいで健康を崩してしまっては大変です。
特に、心の健康状態は目に見えず、一度崩してしまうと容易には元に戻りません。
システム全体を考えて作業することは大切ですが、行きすぎにならないように気をつけることも重要です。
周りの状況によっては、自分の責任範囲の作業だけ終わらせるという作業方法に切り替えた方が良い状況というのもあり得るのです。
できれば個人が気をつけること、思い切って管理者、上司に進言することと共に、管理者が各個人の作業量、体調などに配慮することが重要ですが、恵まれない現場が多いのが現状だと思います。
まずは自分で健康や作業状況に注意しましょう。
作業者を守ってくれる人・団体は、意外に少ないですよ……健康第一。
■ 余談2:顧客との連絡は「疎」か「密」か
ちょっとした論争です。
顧客との連絡は疎か密か……。
顧客にも仕事があるので連絡は避けるべきと考え、連絡を取りたがらない窓口、または、リーダーなどが居ることがありますが、よく考えてください。
自分たちの仕事はなんでしょう?
そう、より良いシステムを納品し、顧客に喜んでもらうことです。
例えば、何らかの質問を顧客に聞きたいというとき。
質問がある=疑問が浮かんだ……つまり、機能作成上問題があるということで、そこで顧客と連絡を取らないということは、疑問点が解決しないまま機能を作成するということです。
これが、最終的な目的と一致しないことは分かりますね?
もちろん、ある程度質問を纏めてから送るなど、顧客への負担を減らすという意味での連絡回数を少なくするという行為は、目的からずれていないので問題ありません。
より良いシステムを作るんだという共通認識を、顧客と一緒に持つということが、非常に大切です。
■ 余談3:強固な上下関係における弊害
本文中の非効率的な作業の例の一部に、日本の企業に多いと言われるタテ社会の強固な上下関係において引き起こされ易いものがあります。
もし、効率的にシステムを開発したい、より良いシステムを開発したいと考えるなら、この構造自体を見直した方が良いのではないでしょうか?
恐らく、各個人が自分を見つめ直すことと並行して、企業全体で動いていく必要があると思います。