意識改革は、比較的簡単に大幅な作業改善を図ることが可能です。

意識改革からの作業改善 ~ 2.残業に対する意識の変革

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■意識的に言い訳を作らない

 一般的に、残業をしている人を見ると「=仕事を頑張っている→有能」というイメージを持つような気がしますが、果たしてそうでしょうか?

 実際に考えてみると、答えは簡単。定時内に仕事を終わらせることができる人間の方が、会社にとってより有益と言えるでしょう。「いや、そうは言うけどさ」とか思った人は、前回に記事に戻りましょう。

 確認のために、残業のメリット、デメリットを簡単に羅列します。

▼メリット
・現在の状況を把握したまま作業を続けることができる
・残業代が出る(労働者側のメリット)

▼デメリット
・長時間労働による集中力の低下などから起こる作業速度低下、品質の劣化
・肉体的、精神的な疲労、健康状態の悪化
・疲労の蓄積による集中力の低下などから起こる作業速度低下、品質の劣化
(※集中力の低下は、時間を決めて集中した作業を行わない作業法によっても引き起こされる。 どれだけ集中力が低下するかが良くわかる)
・残業代の支払い(企業側のデメリット)

種類割増率備考
時間外労働 25%以上 8時間/1日以上の労働時間
深夜労働 25%以上 午後10時~翌午前5時
休日労働 35%以上 法定休日(法律で定められた休日)
時間外+深夜 50%以上 時間外(25%)+深夜(25%)
休日+深夜 60%以上 休日(35%)+深夜(25%)

(※例外:年俸制(契約による)、個人契約など)

 このように整理すると、企業側から見ても、経営の面、労務管理の面からデメリットが非常に大きいのが分かると思います。

 また、長時間残業のデメリットとして、疲労やそれを原因とした疾患などから人材を失うことになる可能性も、企業にとって無視できないでしょう。これは個人的な問題のように見られてしまうことが多いですが、企業の損失に他なりません。

 「企業のために遅くまで残業している」と思う人もいるかもしれませんが、企業側から見れば、定時内に仕事を終わらせて帰ってほしいのです。企業の信用を保つためにという人もいるでしょう。しかし、完全に企業のために残業することはないはずです。自分の信用を保つためにという部分も必ずあるはず。「企業のために」は残業の言い訳にはならないのです。

 もちろん、すべての残業がいけないものだと言っているわけではありません。どうしても必要となる残業というのは少なからず存在するものです。しかし、それを必要最小限に近付けることは可能なのです。

 このような事実をよく理解し、まずは「自分に言い訳しない」事が重要です。

 場合によっては、「職場に早く帰りにくい雰囲気がある」「仕事上の人間関係への依存」などといった理由でも残業も起こり得るため、一人ひとりの意識だけでなく、職場全体の雰囲気づくりとしても、「定時で帰る」という基本姿勢を作ることが大切です。

 特に、組織人は「組織全体の利益の為に、組織に対して高品質な労働力を提供する」ということを忘れてはいけません。

■余談1
 時間外労働が許されるのは、以下の条件のいずれかに当てはまるときのみです。

・災害その他避けることのできない事由により臨時の必要がある場合、かつ、使用者が行政官庁の許可を受けた場合
・公務のために臨時の必要がある場合(公務員のみ)
・36協定が締結され、就業規則等に所定労働時間を超えて働かせる記述がある場合(届出に記述した上限を超えてはいけない)

 これらの条件に当てはまらない法定労働時間を超えた時間外労働は労働基準法に抵触するので、証拠を確保した上で労働基準監督署に報告しましょう。(※業種、役職等の条件によっては適用除外になる場合もあるので、自分に当てはまるかよく確認しましょう)

 長時間の残業は、メンタル面で不調に陥る可能性が高めるだけでなく、心臓病が発生するリスクを増大させるなど、健康に悪影響を及ぼします。自分の身を守るためにも一度、労働法に目を通し、自分で残業を減らそうというモチベーションを作り上げることが重要です。

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