358.イメージできないものは実現できない
初回:2024/04/03
4月になって『フリーレンロス』状態になっています。そこで、新しく社会人になった人々に対して、エンジニアの世界を語ってみたいと思います。
P子「『そこで』のつながりが見えないわ」※1
我々エンジニアの世界も魔法の世界と同じだということです。
P子「また、無理からこじつけるつもりね」
1.勇者、僧侶、戦士、魔法使い
まず、学生と社会人の違いは、目標を達成する時にはチームで立ち向かうという事です。学生時代はどちらかというと個人で課題に取り組むことが多かったと思います。試験などは、少なくとも個人だったと思います。
そんな中、社会人になると組織としての動きになります。もちろん、一人づつのテーマや達成すべき目標は異なりますが、チームとして取り組む目標の達成が第一です。その場合、各個人の異なる才能を上手に組み合わせることが重要になってきます。
P子「それと、パーティーメンバーと何の関係があるの?」
まず、エンジニアは魔法使いです。戦士は前衛と言われるように、相手に切り込んで行くのが役割です。営業職と言いたいところですが、物件開発などの場合は仕様を詰める役割になると思います。僧侶は神の御慈悲とかけがの修復など直接戦闘には関わりませんが、後衛としての役割を持つと考えれば、私はマネージャー職になると考えています。本来のマネージャー職というのは、チームがうまく働けるように雑務一般を引き受けるのが正解だと思っています。そして勇者はプロジェクトリーダー、またはチームリーダーと言われる人でしょう。
P子「エンジニアが魔法使いって盛り過ぎじゃないの?」
エンジニアはモノづくりという役割を受け持ちます。これは魔法と同じでしょう。
さて、この物語の中で、色々と示唆に富むお話がありました。
ヒンメル達のパーティーやラヴィーネ、カンネと組んだパーティーなど、色々な形があってもいいんじゃないかという話や、勇者一行の誰一人欠けても魔王を倒せなかったとか、話が尽きません。
2.現代魔法
さて、エンジニアですが、モノづくりと言っても色々な方法があります。
フリーレンのいる魔法の世界でも、魔法技術の変遷があるみたいです。
『ゾルトラーク』と言われる攻撃魔法は、現代では一般攻撃魔法と呼ばれています。それを防ぐのは防御魔法ですが、それは魔力の消費量が大きくなります。その防御魔法は魔法に対しての耐性はありますが、強大な物理攻撃には耐えられません。そのため現代の攻撃魔法は魔力によって物質を操るものが主流になっています。
P子「エンジニアと何の関係があるの?」
『現代の攻撃魔法は魔力によって物質を操るものが主流』を言い換えると、既に存在している物質=フリーソフトにしろ有償モジュールにしろ、既に存在しているものを利用して扱うのが、現代エンジニアの主流になっているという事です。魔法で無から作り出す...つまりスクラッチ開発は速度や耐性の関係で現代の主流ではないという事です。とはいうものの、ごく一部の優秀なエンジニアは、既存に存在しない物を作り出すことになるので、スクラッチ開発は経験しておいた方が良いと思っています。
3.イメージできないものは実現できない
そんなエンジニアですが、どんな課題でも解決できるかというと、もちろんそんなことはありません。ただ、重要なことは実現のイメージができないシステムは作れないという事です。逆に言えば実現できるイメージがあれば、実現できる...可能性があると思っています。
例えば、現代では当たり前の『天然水』とか『お茶』のペットボトルですが、私らの子供時代は、お茶は自宅で作るし水なんて水道の蛇口から直接飲んでいました。なので、『天然水』とか『お茶』のペットボトルが売れるなんてイメージできません。でも、それをイメージできた人がいたからこそ、今、これほどまでに販売されているのでしょう。
P子「営業的はお話ね」
エンジニア的な話で言うと、スティーブ・ジョブズには「Macintosh」とか「iPod」や「iPhone」などもイメージできていたんでしょう。でなければ開発することもできなかったと思います。
P子「現実ではできないと思っていてもやらざるを得なくて結局できなかったという事もあるわね」
今で言う所の『タイパ』最悪です。
『タイパ』の話で言うと、勇者一行はダンジョン攻略にフロアすべてを制覇してから次の階層に進むという手法を取っていました。『タイパ』で言えば、魔王討伐と無関係な人助けやダンジョン攻略など無意味に思えるかもしれませんが、苦しくつらい旅よりくだらないが楽しい旅がしたいというヒンメルの言葉は、仕事への取り組み方にも通じるところがあると思えます。
4.まとめ
ほんのさわり部分しか書けませんでしたが、もっと色々と為になる話がありました。
例えば、『クヴァール』に勝てないかった勇者一行は封印することで次世代にその対応を任せました。また、アウラもフリーレンと戦う前に十分に警戒し魔力を削いだうえで戦っています。これらの教訓もエンジニアにとっては有用な助言となるでしょう。
P子「なんか大層ね」
『葬送のフリーレン』はアニメ化の恩恵も受けて非常に面白く見ることができました。それ以上にエンジニアにとっても色々な教訓が得られるので、まだ見ていないなら、一度見てみるとよいでしょう。
P子「基本、テレビっ子だもんね」
ほな、さいなら
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※1 P子「『そこで』のつながりが見えないわ」
P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。