339.人手不足問題
初回:2023/11/22
人手不足が深刻な社会問題となっている『らしい』です。
P子「思いっきり他人事ね」※1
あまり実感がありません。
というのは、本当に深刻だと言われている『介護職』や『建設業』『運輸業』などの事情はよく分かりません。あくまで身近なIT業界の事しかわかりません。
P子「身近なIT業界って、あなたの所属している部署だけでしょ」
1.『介護職』『建設業』『運輸業』などの事情
P子「よく知らないって言ってなかった?」
あくまで世間一般で言われている話ですが、低賃金で体にきつい仕事であり時間的拘束が強い職種です。なり手が少ないのは仕方がありませんが、かといって単純に賃金を上げるわけにもいかない職種です。
『介護職』の場合、需要(高齢人口)が増える一方で賃金の多くが介護保険などの税金でまかなわれているとすれば、賃金アップは社会保険料のアップと連動することになり、若年層の負担が増える一方なので簡単ではないでしょう。『運輸業』も同様に、需要(ネット販売等)が増える一方で高齢化も進行し、さらに業界の競争も激しく賃金アップをそのまま商品価格に転換しにくい事情もあるでしょう。『建設業』は高齢化が進行しているのと休日が少なく根本的にきつい仕事という事で敬遠する人が多いそうです。
昔なら、外国人労働者を...なんて話もできたかもしれませんが、30年間賃金が上昇せず円安も影響して日本で労働する魅力はだいぶ落ちてきていると思います。
これらの業界・業種での人手不足は今後も改善されないでしょう。
P子「そんなこと言っていいの?」
それは、今の仕事のやり方を続けていると...という前提であり、業界の効率化を進める必要があるという事です。
例えば、セブンイレブンのすぐ近くにファミリーマートがあるとか、ローソンが交差点を挟んで2件あるとかいう光景を見たことがあるかも知れません。各社配送ルートをAIで求めて効率化を図ったりしていますが、これらコンビニへの搬入を1台のトラックで回れば効率化できるでしょう。もちろん荷物の情報は隠す必要がありますが、独自商品はともかく一般商品の場合、製造元も各コンビニ向けに分類して、それぞれ別の配送会社に積み込むより1台のトラックに積み込む方が効率化できます。
P子「色々な意味で難しそうね」
さらにネット販売の商品をコンビニ受け取りする量を増やせば、個別に家を回って留守にされるより確実に配送が完了でき配送場所も減るので効率アップします。
これらは、政府に任せるのではなく民間で協力して対処していかないと改善される見込みはないのかもしれません。
2.『IT業界』の人手不足
『IT業界』の人手不足も深刻だそうです。先の人手不足の業界でもIT化による効率化や省人化を進める必要があるので、IT人材はこれからもますます不足するでしょう。
P子「でしょ。なのになんで実感がないの?」
それはIT業界が『非常に』非効率な業界だからです。
P子「IT化されていないの?」
そういう意味では『家内制手工業』の業界です。ローコード・ノーコードが言われていますが、あれらは利用者(ユーザー)が使うツールなのでIT業界の人手不足とは無関係です。もちろん、IT開発者と言われる人たちが利用者の代わりに構築することがあるかも知れませんが、それらは末端のIT開発者か、ITにちょっと詳しい人がIT技術者という業界で働いているだけなので、本来言われている人手不足の人数にはカウントされないと思っています。
P子「また、IT業界の人たちを敵に回してるわよ」
私が言いたい『非効率』というのは、先ほどのコンビニ配送問題と同じ感じです。
例えば『稼働監視システム』なんて色々な会社で色々と同じ感じのものを作っています。こんなの1つ2つあればよいと思います。また、出退勤管理とか会議室予約システムとか似たようなシステムがあちこちに存在します。それこそ一つの会社に複数の同じようなシステムがいくつも動いています。これらの『業界スタンダード』があればそれで十分でしょう。
P子「それって競争を否定していない?」
そうですね。半分否定しています。
『稼働監視』『出退勤』『会議室予約』などのシステム自体に競争力があったり業務改善や経営有利性が出せるとは思いません。それ以外の部分に投資すべきでどうでもよいシステムはフリーソフトとかなんでも良いと思います。
競争というのは、同じことをみんなで行って独り勝ちという仕組みなので、多くの負けた方に無駄が発生します。
P子「談合しろって言う事?」
そうですね。半分肯定しています。
談合って、本来競争すべき企業が競争せずに価格を吊り上げることであって、ここで言いたいのは競争すべき部分と競争しなくて良い部分を分けるべきでは?という考えです。
私が思うに、くだらないITシステムの需要はますます増えてくるので、そのようなシステムを組めるIT技術者の需要は増えるでしょう。ただし、企業側からすればそれらのシステムには余り付加価値がないのでそれほどの経費はかけられません。ということは賃金もさほど上げられないという事です。
逆に言えば、もっと高度なシステムを開発する技術者は根本的に不足するでしょう。これは給与をいくら多くしても集まらない...つまりそのようなシステムを作れる技術者自体が少ないから人材不足になっているという状況です。このような二分化が進むと思います。
3.まとめ
人手不足で女性や高齢者、外国人労働者を期待しているようですが、低賃金で体がきつい仕事なんて難しいでしょう。かといって高度な技術力が要求される仕事は現役でも不足しています。どうでもよい仕事は増えていきますが、そんな仕事を増やしても、非効率な仕事をそのままIT化するだけで日本全体の活性化にはつながりません。
自社だけでできる業務の効率化には限界があります。多くの企業で共通部分や企業の競争力に直結しない仕組みを共通で開発、運用するなどして、思い切った改革を行わないと、失われた40年、50年、100年と言われることになってしまいます。
P子「日本の繁栄って『おとぎ話のようなもの』って言われる時代が来るかもね」
ほな、さいなら
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※1 P子「思いっきり他人事ね」
P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。