300.3人のレンガ職人
初回:2023/2/22
祝! 300回記念特集・・・・(パチパチパチ)
P子「思ってた以上に続いてるわね」※1
2018/8/8 から初めて、1659日間で達成しました。
300回という事で『3』にちなんだ寓話を取り上げたいと思います。
P子「『2』が多く並んでるから、猫にちなんだ話題にするのかと思ってたわ」
1.『3人のレンガ職人』(あらすじ)
ある旅人がレンガを積んでいる職人に出会って、何をしているのか聞いてみました。
職人A:「見ればわかるだろう。レンガ積みに決まっているだろ。全くしんどいよ」
職人B:「大きな壁を作っているんだよ。家族のために一生懸命働いているのさ」
職人C:「歴史に残る大聖堂を造っているんだよ。素晴らしい仕事さ」
そして、10年後、旅人が再びその地を訪れてみました。
職人A は、相変わらず文句をいいながらレンガを積んでいました。
職人B は、レンガ積みより給料は良いが危険を伴う屋根の上で仕事をしていました。
職人C は、建築現場の施工管理者として施工を任されていました。
2.とある親子と秘書の会話
ドラ息子:「オヤジ、車買うんだけどお小遣いくれよ」
先生:「じゃあ、パーティーでも開いて資金を調達しておくか」
......
秘書:「先生、財務省の方からご相談があると...」
先生:「判っとる。子ども関連予算も倍増するって件だろ。出来もせんことをペラペラ
しゃべるから、そうなるんだ。それより、うちの子も倍増せにゃならんのだよ」
秘書:「所で経済停滞が続き、給料が上がらないと苦情が...」
先生:「消費税を上げた分、法人税を下げてるんだから、企業努力で何とかさせたまえ」
秘書:「それでは企業負担ばかり増えませんか?」
先生:「どうせ、正社員しか給料を上げんだろ。非正規比率を高めれば辻褄は合うだろ」
秘書:「こんなに色々と国民の負担を増やして、次の選挙は大丈夫でしょうか?」
先生:「不要な心配だよ。与党がダメでも野党はもっとダメダメだから、また勝てるよ」
3.それから、ほどなくして...
夫人:「ねえあなた。今度地元の先生のパーティーがあるんだけどミンクの毛皮が
欲しいんだけど...」
社長:「判ったよ。株価を上げるから少し待ちなさい」
その教会の建設を請け負っていた施工会社は、人員整理する事で株価を上げることに成功しました。夫人はミンクの毛皮とエルメスのバーキンのバッグも手に入れる事が出来ました。そして、それぞれの職人の運命はというと...
職人A は、リストラされて職安で再就職先を探していました。
職人B は、屋根から落ちて休業していましたが、労災が認められず、まもなく退職して
しまいました。
職人C は、早期退職勧告を拒否したため、地方の名もない建物の修繕作業を行っていま
した。
しかし、多くの職人が辞めたことで、工期に遅れが目立つようになってきました。
司祭:「社長、教会の建設が遅れているようですけど大丈夫ですか?」
社長:「恐れ入ります。職人が辞めたり働けなくなったりで遅れていますが大丈夫です」
司祭:「大司教様からきつく言われていますので、よろしくお願いします」
社長:「非正規雇用を雇う段取りを付けていますので、突貫工事で間に合わせます」
夫人がパーティーで親交を深めた地元の先生に、社長が挨拶に伺う事になりました。
社長:「先生、人材不足で地元の教会建設が遅れ気味です。何とかなりませんか?」
先生:「人材の流動化の促進をネタに自己都合の退職でも失業給付を早く出すとするか」
社長:「リストラを推進できそうでいいですね。」
先生:「まあ、非正規雇用者やフリーランスを雇って雇用調整してください。」
......
秘書:「先生、失業給付金の財源が...」
先生:「問題ない。雇用保険料率も順次引き上げてるからな」
秘書:「でも企業負担分も増えるんじゃ」
先生:「まあ、今後も法人税率を軽減して、消費税を上げるから大丈夫だよ」
秘書:「消費税の増税はまずいんじゃ...」
先生:「国民の多くが防衛費倍増に理解を示してるし、欧州の20%を引き合いに
出して、頃合いに上げるよ」
秘書:「非正規雇用者もフリーランスも、今後ますます増えそうですね」
先生:「そうだな。フリーランスからもインボイス制度導入で税収が見込めるからな」
4.『3人のレンガ職人』の真意
この話で、どうなるべきかが分かったと思います。
P子「社長夫人が一番いいわね。でもドラ息子も捨てがたいわね」
ドラ息子は親ガチャですから、社長夫人を目指してください。
P子「その発想が女性に対するハラスメントよ」
女性の社長や女性の先生という事も想定できますが、ここでは昔ながらの悪代官風シチュエーションで攻めてみました。
P子「要するに悪が勝つって事?」
現在の日本において、悪代官を懲らしめる正義の味方がいないというのが問題です。民主主義の国では国民が政治の良しあしを判断して裁く必要があるのですが、どうもそれが出来ていません。今の日本を作ったのは、政治家でも官僚でもなく国民です。
ただ、この話に出てくる『3人のレンガ職人』は所詮は雇われの身です。雇用主の思い通りに動かされるだけです。雇用主から見れば、優秀な 職人C に期待しますが、職人C だけでは会社は成り立ちません。通常の労働力(職人A)や危険な仕事を受ける労働者(職人B)も必要です。しかし、最終的にはどの職人も雇用主から見れば、取り換えが可能です。
P子「じゃあ、経営者が一番良いって事?」
経営するのも結構大変ですよ。個人経営や中小企業は、結局大企業の下請けとか、自分の意志では働けませんから。大企業でさえ、経営判断は合議制でしょうし、株主の意向やユーザーの評判を常に意識していなければなりませんしね。
実はこの話には表に出てこない、もう一人の職人がいたのです。
5.『第4のレンガ職人』
ある旅人がレンガを積んでいる職人に出会って、何をしているのか聞いてみました。
職人D:「まあ、ほとんど趣味ですね。楽しいし好きな仕事なんです」
そして、10年後、旅人が再びその地を訪れてみました。
職人D は、強化レンガや耐火レンガを開発し、耐震補強の技法を取り入れた新工法を実現していました。
それから、ほどなくして...
職人D は、安月給のままですが、相変わらず自分の好きな仕事を続けていました。
P子「雇われの身でありながらも、好きな仕事をするのが一番幸せって事?」
レンガ積みそのものを楽しむ。職人C と方向が異なりますが、問題意識を持ち仕事を楽しむことで色々と創意工夫を行います。積み方、レンガの材料やセメントの配合方法、場合によってはレンガそのものの製造工程にまで踏み込んで材料改革や四角でない形状改革、カラフルな色レンガを用意するなども面白そうです。さらに、それらのレンガを利用した芸術的な造形物を作ったりすれば、職人として別の現場に呼ばれたりするかもしれません。
P子「フリーランスのレンガ職人ね」
先にも書きましたが、雇用主から見れば、職人A、B、C すべての人材が必要ですが、短期的には、職人D は必要ありません。しかも難しいのは、雇用主が指示して職人D に仕事をさせるのではなく、職人D が上司の命令も関係なく自分の意志で働ける環境を用意できる企業って、やはり大企業しかないと思います。しかも短期的には評価できなく、長期的にも成功するかどうかも不明です。かといって、研究機関で働けるかというと、やはり成果を出さないとダメでしょう。
P子「で、何が言いたいの?」
職人D が一番幸せかもしれませんが、会社としては不要な人材です。なので、何割かは会社の利益につながる仕事をしながら、残りの時間で自分の好きな事をする。うまくいけば、好きな事の成果が会社に還元できるかもしれません。運が良ければ出世できますが、多くの場合は、出世できないか、そのような働き方を許してもらえないでしょう。
P子「幸せを目指すと出世できなく、出世しても幸せにならない?」
そのあたりは、人それぞれの価値観ですが、価値観だけでは生活できません。その価値観を実現するにも『お金』が必要なのですが、それを左右するのが企業の給与からだけというのが問題な気がします。つまり、企業の価値観で社員の価値観が拘束されているという事です。
P子「話がややこしくてわかりません」
個人の価値観の多様化に対応するなら、企業からのみの給料ではなく別の収入源が必要です。それも誰からも制限を受けない収入です。私はそれをベーシックインカム(できれば最低限所得保障ではなく一般水準所得補償)で実現すればよいと思っています。
6.まとめ
300回記念が、こんな形になりました。
P子「まあ、好き勝手書かせていただけるって、幸せよね」
私の今の仕事は、職人D です。残念ながら出世できませんでしたが、今の状態は本当に好きな事をさせてもらっています。ただ、いつまでこういう状態で居られるかは神のみぞ知るという感じです。
P子「今の状態が奇跡みたいなものだからね」
でも、今の奇跡を生み出したのは、それまでの働き方を周りも見てきたからだと思っています。
P子「ただの老害で触らぬ神にたたりなしだからでしょ」
すでに『神』の領域にまで到達していましたか。
P子「疫病神か貧乏神ね」
神様も、多様化が求められていますから...
ほな、さいなら
======= <<注釈>>=======
※1 P子「思ってた以上に続いてるわね」
P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。
コメント
白栁隆司@エンジニアカウンセラー
300回おめでとうごうざいます!
僕もその道を通過できるように、コツコツとレンガを積み上げていきたいです。
2年後に「職人1」になっていないことを、未来の自分に託して……。
ちゃとらん
白栁隆司@エンジニアカウンセラー さん、コメントありがとうございます。
気づけば、300回って感じです。
> コツコツとレンガを積み上げていきたいです。
お互い、無理をせず、気楽に続けていきたいものですね。