289.「長時間、猛烈に働く」ことと「ブラック企業」
初回:2022/12/7
イーロン・マスク氏が、ポケットマネーで「Twitter」を買収した話題で持ちきりです。
P子「あなたもポケットマネーで何か買えば?」※1
宝くじでも買おうかな。
さて、その中で、大きく取り上げられているのが『社員の大量解雇』と『長時間、猛烈に働け』でしょう。今後「Twitter」社はブラック企業になるのでしょうか?
1.『社員の大量解雇』
≪参考1≫
https://diamond.jp/articles/-/313092
Twitter大量解雇直後にマスク氏が通達した「真っ当な経営方針」の中身
大谷和利:テクノロジーライター
2022.11.18 4:12
≪参考2≫
https://toyokeizai.net/articles/-/630935
マスク氏の「Twitter大量解雇」が暴挙でもない訳
このままでは黒字化もキャッシュフロー改善も厳しい
坂口 孝則 : 調達・購買業務コンサルタント、講演家
2022/11/06 11:15
大量解雇に関しては、アメリカと日本では法律が異なるので、あくまで法に則っての解雇ならば、外野が口をはさむ事はできません。
ただ、日本的な考え方で言うと、誠意を見せて欲しいとは思います。
P子「論理的じゃなく感情論ね」
先の参考資料の著者達は、大量解雇においては、あながち否定的ではないようです。
あくまで、個人的な感覚で言うと、ソフト系の開発では、エンジニアの能力差は、100倍とか200倍とかの倍率では測りきれないと思っています。
P子「どういう事?」
出来ない人は、何時間かけても出来ません。つまり、ゼロに何を掛けてもゼロという事です。また、一応開発が出来る人でも、ソースが汚い、バグが多い、処理が遅い、メモリを多く使う、エラーで停止時にログもきちんと落ちていない...など、出来が悪い人と、きちんと作れる人の差は、開発速度だけでは計り得ない性能差が出てきます。
つまり、少数の優秀な社員がいれば、何とかなる...かもしれないという事です。
2.『長時間、猛烈に働け』
≪参考3≫
https://www.huffingtonpost.jp/entry/80-hour-weeks_jp_6375cf88e4b08013a8b2e0db
「週80時間の勤務に備える必要がある」イーロン・マスクさんがTwitter社員にスピーチしていたと海外報道
安藤健二
2022年11月17日 15時39分 JST
≪参考4≫
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00166/112800114/
イーロン・マスク氏の「ハードコア」な会社で働きたいと思うべきか?
谷島 宣之 日経BP 総研
2022.12.01
社長からの解雇通知も気になりますが、ガンガンに働く気がない社員は自らやめて欲しい...的な話も気になります。
日本で残業させるには、36(サブロク)協定が必要になります。臨時的な特別の事情を加味しても、月100時間未満なので、週80時間の勤務⇒40時間の残業⇒4週×40時間=160時間 って、無理筋でしょう。
≪参考5≫
https://www.mhlw.go.jp/content/000350731.pdf
36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針
P子「ややこしい計算しなくても、週6日勤務で、13時間勤務って事でしょう」
9時-18時の会社なら、23時まで残業してるって事です。
3.『ブラック企業』の定義
さて、ここからが本題です。
この『長時間、猛烈に働け』がブラックかどうかという事ですが、法律面で言うとブラックでしょう。では、サラリーマンではない人達はどうでしょう。フリーランスや自営業の方々、研究職の人達は、週80時間の仕事を苦にするでしょうか?
もちろん、睡眠時間が少ないというのは健康上よくありません。研究職でもずっと考え事をしていても良い考えは思い浮かばないでしょう。週80時間は多すぎますが、労働時間と無関係に働いている人も多くいると思います。
ではこれらのハードワークする人たちと『ブラック企業』の社員とは、何が異なるのでしょうか?
私が思うに『ブラック企業』は、自分の意志とは無関係に『働かされている』状態で、ハードワークは自分の意志で『働いている』状態だと思います。これは、自分自身での決定権(自由裁量)がどれくらいあるかという事に言い換えることができます。
もちろん、フリーランスや自営業の方々が、100% 自由に自己決定権があるはずはありませんが、一般的なサラリーマンよりは多いのでしょう。よく、社長が遅くまで働いているという事もありますが、自分の意志で働いている場合は、苦ではないと思います。
P子「借金の返済に追われてるのかもしれないわよ」
その場合は『働かされている』状態ですね。
例え、週8時間勤務で残業なしでも、自分の裁量がほとんどなければ、仕事がつらいと感じると思います。さらに、パワハラ的に毎日のノルマに口出しされれば、精神的に参ってしまうでしょう。
その上に長時間労働があれば、完全にブラック認定です。
Twitter で働く優秀な社員に、自分の裁量がどれだけ与えられるか...それによって、ブラックかグレーかが決まると思います。
P子「ホワイトじゃないのね」
見る限り『限りなくブラックに近いグレー』だと思います。
P子「『村上龍』風に言うとね」
4.個人的に思う所
Twitterというより、イーロン・マスク氏については、残念ながら尊敬できない所があります。
≪参考6≫
https://www.huffingtonpost.jp/entry/elon-musk-fires-employee_jp_6375906fe4b0e818be4949fb
「言論の自由」を主張するイーロン・マスク氏、自分に意見したTwitter社員を解雇
Ryan Grenoble
2022年11月17日 12時20分 JST
本当に社員の自由が確保されるのでしょうか?私が心配する必要もありませんけど。
どちらにしても、自分の考えが正しいと思っている人に対して、異なる意見を言ったところで、聞く耳持たないというか、他人の意見が間違っているとしか思えないんでしょう。
P子「資産が違うだけで、あなたとそっくりね」
私は結構、人の意見を取り入れて、自分の考えをバージョンアップしていますよ。
ただ、何となくマスク氏の思い通りに動いてくれる優秀な社員だけを残したい...のだとすれば、本当にマスク氏の哲学...フィロソフィーに共感できる人だけが、幸せになれるんだと思います。
5.まとめ
自分の裁量が少ない場合、仕事は楽しくありません。そこに色々なプレッシャー(ノルマや上司や同僚によるハラスメントなど)がかかると精神的に追い込まれてしまいます。
自分の裁量が多い場合は、働く時間が多少長くても大丈夫です。自分で調整しているので、疲れれば休めます。楽しい事をしていると、あっという間に時間が過ぎると言いますが、その状態なので、長時間労働とは感じません。
もちろん、裁量があるからと言って、常にプレッシャーにさらされている状態だと、それもまた精神的にきつく感じます。
この、プレッシャーって、知らない間に蓄積するので非常に危険です。睡眠時間や休日などは、このプレッシャーから離れる時間なので、絶対的に必要です。もちろん、プレッシャーから離れる時間なので、休日だからと言って、明日の事を考えてストレスがかかった状態は、プレッシャーがかかっている状態と同じなので、休みがあるからブラックじゃないとは言えません。このあたりがブラック認定の難しい所だと思います。
P子「体も心も休みが大切という事ね」
ほな、さいなら
======= <<注釈>>=======
※1 P子「あなたもポケットマネーで何か買えば?」
P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。