281.ゼネラリストかスペシャリストか
初回:2022/10/19
別のタイミングで書きたいなーと思っていたテーマだったので、この際、便乗させていただくことにしました。
≪参考1≫
https://el.jibun.atmarkit.co.jp/nicco/2022/10/se.html
企業SEに求められているのはスペシャリスト?ゼネラリスト?それとも
2022/10/13 ニコさん
企業側というより、雇用者側から考えてみたいと思います。
1.ゼネラリストを目指しましょう
P子「いきなり結論?」※1
もちろん、お勤めの会社の社風や、あなた個人の特性や、将来設計(キャリアプラン)を加味して決めるべきですが、もし、どちらが良いかと悩んでいるなら、確実に『ゼネラリストを目指しましょう』という結論になると思います。
P子「根拠はあるの?」
万年平社員の勘です。
P子「そんなことだと思ったわ」
では、理屈づけをしていきましょう。どんなことでも理屈づけなんて出来ます。ディベートしていると考えればよいのです。
今の組織の状況を見てみましょう。大体、5~8人程度をチームリーダー...昔で言う所の係長がまとめ、それの3~5チームを、課長が、さらに、3~5の部署を部長がまとめている組織があったとしましょう。
最小で、5×3×3=45人、最大で、8×5×5=200人程度の組織です。これが、〇〇技術部とか複数集まれば、統括技術部長などの役職が出来てきますし、技術、営業、サービスなどが加わって、事業部としてくくられるかもしれません。会社規模にもよりますが、事業部部長のレベルになると取締役が兼任する事になるでしょう。
さて、周りを見渡して、ゼネラリストは何人いますか?
先ほどの200人規模の技術部を例に考えると、係長が25人、課長が5人、部長が1人の31人です。この人達はゼネラリストと言えるでしょう。もちろん、リーダークラスなら、スペシャリストの素養を持った人がやらされている可能性は十分に有りますが、課長まで行ってしまうと、ゼネラリストとしての任務を果たしてもらわないと会社としても困ります。
さて、あなたから見て、その人達は『ゼネラリスト』として、プロフェッショナルでしょうか?まだ、心の中でだけ考えておいてください。
一方、その200人の組織の中に『スペシャリスト』は何人いるでしょうか?
研究開発部なら、管理職以外はスペシャリストかもしれませんし、スペシャリストを集めたチームがあるかもしれません。今、心の中で『スペシャリスト』の人をイメージされたと思いますが、その人達の肩書は何でしょうか?一応、給料や階級(職階)などに合わせて、呼び名がそれぞれ決まっているかもしれませんが、その呼び名は『スペシャリスト』の能力に合わせて決められていますか?それとも、係長(リーダー)や課長などと同様に年齢や職階に対応しているだけでしょうか?
あなたから見て、本当に『スペシャリスト』と呼べる人は、何人いると思いますか?私の個人的な感想でいれば、1課に1人いればいい方で、先の200人の部門なら、多くても 5人程度というのが、私の見解です。
2.『ゼネラリスト』をお勧めする理由
まずは、なりやすさでいうと、『ゼネラリスト』なら 31人、『スペシャリスト』なら 5人という比率です。もちろん、目指している母数が異なる可能性がありますが、どちらにしようか迷っているという事を加味すれば、『ゼネラリスト』の方が、競争が少なそうです。
そして、もう一つの理由が、ゼネラリストなら係長(リーダー)、課長、部長など、誰の目から見ても判る順列で評価されますが、『スペシャリスト』の評価軸は非常にあいまいで、その人の能力と呼び名の一致度もあいまいです。
P子「係長や課長も能力と呼び名は一致しないんじゃないの?」
そこです。能力と一致しなくても、給与や対偶、権限などは、係長や課長として、同じように与えられるのです。しかし、『スペシャリスト』の場合は、肩書ではなく能力で皆が判断します。あなたが技術的な相談をしたり、協力を求める場合、誰を頼りにしますか?本物の『スペシャリスト』に相談するはずです。でも出張命令や経費精算、なにかの報告などは、例え能力が疑われるとしても、係長や課長にするでしょう。この違いは、結構大きいです。
そして、それに関連する理由が裁量権とか決裁権とかの権限です。『スペシャリスト』が課長を兼務している場合は、裁量権とか決裁権は課長としての権限として行使します。『スペシャリスト』が何か欲しいという場合、必要な理由を課長に説明して許可をもらう必要があります。例えば、年間いくらまでの決済は、自由に使うことができる...なんて権限が与えられていれば良いのですが、専門分野の事しか目に入っていない(と思われている)『スペシャリスト』には、そのような権限は与えられません。
P子「あなたに権限を与えたら、ラズパイをホイホイ買ってしまうでしょ」
必要だから買うんです。というより展示会を見学するための出張費用に比べたら、ホイホイ買えるでしょう。
最後に、根本的な課題は『スペシャリスト』の能力を評価するのは『ゼネラリスト』です。
ここで、先の質問に戻りますが、プロフェッショナルな『ゼネラリスト』が何人いるかという問題です。本来の定義である「広範囲な知識・技術・経験をもつ人」であれば、適切に『スペシャリスト』の能力を評価できるのですが、出張許可を与えたり、経費精算のハンコを押したり、作業実績を集計して直間比率を計算したりする事だけが仕事の『ゼネラリスト』では、適切な『スペシャリスト』の能力を評価する事なんて出来ないでしょう。
P子「また、上司の批判?」
違います。まだ、一般論として、皆さんの周りを見渡してみてくださいという意味合いです。先ほどの例でいう所の、5人すべての課長がプロフェッショナルな仕事をされている会社なんて、理想郷でしょう。
3.転職する場合や、フリーランスになる場合は?
転職時の笑い話として、人事担当者が「あなたは何ができます?」という質問に「部長が出来ます」と答えたというのがあります。プロフェッショナルな『ゼネラリスト』なら、どの転職先でも必要とされますが、その他大勢の『ゼネラリスト』は役立たずです。それより、『スペシャリスト』の方が転職には有利だと言われていますが、本当でしょうか?
というのは、転職自体は有利かもしれませんが、転職先の企業でも、先に上げた『スペシャリストのジレンマ』が付いてきます。スペシャリスト風を装って転職に成功した後は、プロの『ゼネラリスト』を目指すのが良いでしょう。
では、フリーランスはどうでしょうか?
先に上げた企業内『スペシャリスト』よりも技術に精通しており、一見『スペシャリスト風』ですが、一芸でフリーランスは難しいでしょう。
逆に、ものすごく高度な技術を行使されても、後々メンテナンス出来なかったり、チームメンバーが付いて来れないなんて事になりますから、高度な技術は使えません。どちらかというと、色々な技術を知っており、コミュニケーション力もあり、各種のプロジェクト経験も持ち、その場で最適な課題解決方法を提案する必要があることからも、プロの『ゼネラリスト』と言えるでしょう。
4.まとめ
『ゼネラリスト』をお勧めする理由は、
1.『ゼネラリスト』の方が競争率が低い
2.『ゼネラリスト』になれば、能力に関係なく、裁量権や決裁権がもらえる
3.『スペシャリスト』は、本当にスペシャルでないと、周りから評価されない
4.『スペシャリスト』を評価する人はノンプロの『ゼネラリスト』
5.転職する時は『スペシャリスト風』でも転職後はやはり『ゼネラリスト』が有利
6.フリーランスは『スペシャリスト』ではなく、プロの『ゼネラリスト』
もちろん、決めるのはあなたです。
P子「それを言ったら、身も蓋もないと思うわ」
ほな、さいなら
======= <<注釈>>=======
※1 P子「いきなり結論?」
P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。
コメント
ニコ
引用ありがとうございます!!
キャリアとしてはゼネラリストを目指す方が無難ですし活躍の場も増えますよね。スペシャリストになって、本当に技術が高くなって高く評価してもらえるのは外資系の超大手くらいなのでは…と思ってます
ちゃとらん
ニコさん、コメントありがとうございます。
本当は、普通のスキルのスペシャリストも、(それなりに)きちんと評価されるような世の中になればよいのにな、とも思っています。
今は、名ばかりゼネラリストが多すぎる気がします。
匿名
多くの会社がスペシャリストでも役職(エンジニア→ゼネラルエンジニア、みたいな)を付けていると思いますよ。
役職がついていればその中で「誰の目から見ても判る順列で評価」されるのはゼネラリストと同じではないかと思いますがいかがですか?
ちゃとらん
匿名さん、コメントありがとうございます。
> スペシャリストでも役職…を付けていると思いますよ。
はい。多分何らかの呼び名はあるかと思います。
そこで、各社のスペシャリストさんは、裁量権や決裁権があるか?という所が引っ掛かっているところです。例えば、課長と同等の決裁権があり、役職の下位のスペシャリストの人事権や経費決裁権があればよいのですが、それらは、ゼネラリスト的な役割が割り当てられているから…ということはないでしょうか?
一番いいたかったのは、スペシャリストの仕事の評価を、ゼネラリストが出来るのか?という所です。
# じゃあ、分野違いのスペシャリストでも、評価できないんじゃないか? という意見もありますけど。難しい問題です。