140.キャリコンと占い師の違い
初回:2021/4/7
1.キャリコンはオワコン!?
キャリコン高橋さんの『第464回 キャリコンはオワコン?』で、別の視点で私もキャリコンはオワコンではないかと感じています。
P子「大丈夫?そんなこと言って」(※1)
まあ、喧嘩売ってるわけではないので大丈夫でしょう。
高橋さんのコラムでは、キャリアコンサルタントの国家資格に意味があるのか?という視点から入られていますが、私が気になっているのは『第460回 キャリコンが浸透しないワケ』で述べられている「企業でのキャリコンの認知」の低さに関係します。
それは言い換えると『キャリコンの使命は何か?』『キャリコンの顧客は誰か?』という問題に行きつくと考えています。
これに関しては、高橋さんも『キャリコンは相談者ファーストでなければなりません』とおっしゃっています。裏を返すと、企業内でキャリコンを推進すると、場合によっては優秀な社員の離職に繋がる結果になる可能性があるという事です。
私もキャリコンを社員に紹介できる企業は、相当自信がある優良企業か、自社に有利になるアドバイスを行うキャリコンを採用しているかだと思います。残念ながら、相談者ファーストのキャリコンを雇う企業は、そんなに多くないと思います。
では、相談者ファーストのキャリコンに、個人がお金を払ってキャリコンを受けるとして、その個人に費用対効果が見込めるのでしょうか?
例えば、転職コンサルタント(転職エージェント?)なら、転職先の企業から報酬を受けるので、個人がお金を支払うよりも報酬を高く設定できるでしょう。悪徳コンサルタントなら、個人の意思とは無関係に、少しでも年収の高い(つまり成約時の報酬の高い)企業を紹介するかもしれませんが、そういうことをしていると、転職者と転職先とのアンマッチが続き、信頼を損ねることになるでしょう。なので、ある程度は転職者ファーストでいられると思っています。
キャリコンで高収入を得ようと思えば、個人ではなく企業からの依頼を受ける必要があると思いますが、実際のところは難しい気がしています。
P子「人の職業の心配している場合?」
まあ、そうなんですけどね。
2.占い師の場合
キャリコンと双璧をなす職業と言うと、占い師ではないかと思います。
P子「なんで、そうなるのよ」
占い師は、相談者ファーストです。社長や時の権力者が占い師に頼ったとしても、現在では組織として雇ったりしていないと思います。そして、個人から収入を得ているので、キャリコンの収入源のあり方の参考になるのではないかと思います。
P子「なるのかな~」
占い師の場合は、その人の力ではどうにもできない事(事故、災害、結婚など)に対して、理屈無し(※2)で方向性を示すのに対して、キャリコンは相談者に『気づき』を与えて自分の力で、キャリアの方向性を見つけだす手伝いを行う仕事だと思います。
簡単に言うとキャリコンは『影響の輪』を対象に、占い師は『関心の輪』を対象にしている職業だと思います。(※3)
さて、個人が顧客なら、一人当たりの単価は知れています。せっかくの高度な知識やノウハウを身に付けてキャリコンになったとしても、高収入が期待できないとなると、未来はないと思われても仕方がないところでしょう。ではどうするかと言うと、すそ野を広げるという方法を思いつきます。つまり多くの人がキャリコンの恩恵にあずかれば高収入を期待できる可能性があるという事です。
さらに、多くの人を対象にするという事は、例えば企業がキャリコンを雇って、優秀な人材が転職してしまうデメリットと、企業に残り自分自身のキャリアを見直すことで企業に貢献できるメリットの相殺で、メリットが出ると考えられます。
つまり、会社から報酬を得ながら、相談者ファーストが実現できる...かも、という事です。
そのためには、キャリコンの有用性を広く知らしめる必要があるという事です。
例えば、現在のキャリコンが社会人を対象にしているのを、もっと範囲を広げて学生の『未来の方向性』を示すキャリコン活動にまで広げれば、どうなるのでしょうか?進路指導などの分野にキャリコンのノウハウを活用するというのも、あり得るのではないかと思えます。
P子「学校が雇い主なら、学生ファーストでも問題ないかもしれないわね」
3.まとめ
人の商売を心配している場合ではありません。それより、自分のキャリアの方が心配です。
P子「キャリアは終わってるから心配ないわよ」
そうですけど、これからの人生が心配です。
方向性が定まっていませんし、これからどうすればよいか判りません。こういう時に、企業内キャリコンがあれば、助かるのかもしれません。
P子「転職を薦められたりして...」
それは、ただの追い出しですよ。
相談者ファーストなら、如何にして定年まで企業にしがみ付いて居られるかを模索してもらわないと。
P子「そんな人がいる限り、企業内キャリコンは難しそうね」
ほな、さいなら。
======= <<注釈>>=======
※1 P子「大丈夫?そんなこと言って」
P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。
※2 占いに理屈無し
血液型、手相、生年月日、姓名判断、星占いなどは神秘的かもしれませんが、何ら根拠のない占いだと思います。おみくじ、タロット、トランプも同様です。
所が家相占いだけは、あながちすべてが根拠がないとは思えません。昔の日本の家の作りや気候、日の当たる方角などと、昔のトイレの衛生状態などを考慮すると、注意すべき事柄が含まれていると思います。かといって、現在の住宅事情を考えれば、必要以上に神経質になる事も無いと思います。
※3 『影響の輪』と『関心の輪』
『第438回 他者評価依存を7つの習慣に絡めて考えてみる』
スピンオフ:CIA京都支店『妖精の杜』
ここはCIA京都支店のデバイス開発室。安らぎを求めて傷ついた戦士が立ち寄る憩いの場所、通称『妖精の杜』と呼ばれていた。
P子:CIA京都支店の優秀なスパイ。早坂さんにはなぜか毒を吐く。
早坂:デバイス開発室室長代理。みんなから『妖精さん』と呼ばれている。
P子:「早坂さんは引退したら何をするの?」
早坂:「引退しないよ。死ぬまで再雇用してもらうつもりだよ」
P子:「老害ですか?」
早坂:「この部署って立ち位置が難しいから後継者が育たないんだ」
P子:「あなたが後輩を潰してるんじゃないの?」
早坂:「違うよ。ここは本流じゃないから出世コースから外れるでしょ。
でも能力が高くないとやっていけないから、後継者が育たないだけだよ」
P子:「自慢?」
早坂:「やはり後継者問題は少子高齢化社会での課題です」
P子:「急に大きな問題になってない?」
早坂:「だから引退したくても引退できないんだよ」
P子:「そこは小さな問題の気がするわね」
コメント
キャリアコンサルタント高橋
こんばんはー。
私のコラムを2つも引用していただきありがとうございます。。。
相談者ファーストはちゃとらんさんのおっしゃる通りで、企業側の視点も以前私のコラムで語らせていただいた通りなんですが、実はあのコラムでは書かなかったのですがもう一つ視点があります。
それは国の視点です。
キャリコンの制度設計をされている先生に話をお聴きする機会がたまにあるのですが、キャリコンには厚労省の意向というものもあります。
国としてキャリコンをどのように方向付けていくのか、そういった部分関わってられる方のお話を聴かせていただくと、また違う視点が見えてきます。
結局のところ、キャリコンを強く浸透させたいのであれば法制度化して義務化し罰則規定を設ければ良いだけの話です。
キャリコンをオワコンにしないようにするなら、国家資格キャリコンを業務独占資格にすれば話は大きく変わってくると思います。
しかしながら、そうしないのにも訳があり、そこら辺がこの話の難しさな気がします。。。
そのため、現状私たちにできることというのは、自分のできる手段で多くのステークホルダーに対して、様々な方向からキャリコンの有用性を認めてもらうことに尽きるのかもしれませんね。。。
ちゃとらん
キャリアコンサルタント高橋さま、コメントありがとうございます。
> キャリコンには厚労省の意向というものもあります。
なるほど、そちらの思惑というものもあるんですね。
国の方針て、結構大きいですから。
# 補助金事業も、単にお金をばらまいているだけじゃなくって、そういう方向に人が集まるので、国全体の方向を導くことができますから。