131.人の管理と仕事の管理
初回:2021/2/17
1.管理者の仕事
昔からなんとなくしか感じてませんでしたが、段々と確信に変わってきた事があります。今回は、そのことについて、お話したいと思います。
P子「役に立ちそう?」(※1)
それは、自分自身で役に立てようと考えれば役立ちますし、何も考えずに聞いてるだけでは役には立ちません。つまり、主体的に考え行動に移せるかがキーです。
管理者は『何を』管理すべきか、というのが今回のお題です。
この話をする前に、今までの慣習とこれからの『働き方』を考察しておく必要があると思います。
2.これからの『働き方』
P子「先に未来予想図から?」
リターンキーを5回連打しないでください。壊れますから。
P子「誰もアイシテないわよ」
未来予想と言うより、すでに始まっていると思いますが、完全に定着していないと思いますので、割と正しい未来予想だと思っています。
2.正業と副業など、住居や会社に捕らわれない働き方
3.転職のハードルが下がり人材の流動化が進む
4.年齢に関係なく上司・部下の適材適所が進む
これらは、私が言ってることではなく、すでに起こりつつあり、皆さんも理解しやすいと思います。ただし、それほど進んではいません。会社への出社対応、正社員優遇、生涯一企業、年功序列など、既存の『働き方』はそう簡単には変わりません。
さて、先の未来予想について、どのような問題点が見えてくるのでしょうか?
1.在宅勤務やリモートワークなどが増える
→ 社員がどのような働き方をしているかが見えにくい。
2.正業と副業など、住居や会社に捕らわれない働き方
→ 社員が自社にどれくらい貢献しているかが判りにくい。
3.転職のハードルが下がり人材の流動化が進む
→ 社員教育が無駄になる可能性がある。
4.年齢に関係なく上司・部下の適材適所が進む
→ 公平で納得感のある人事評価がないと不満が蓄積する。
つまり『人の管理』が難しくなってくるという事です。
3.今までの『働き方』
さて、今までの働き方がどのようなものだったかを考えてみましょう。
1.新入社員で入社して定年まで長期間にわたり会社に貢献してくれる
2.滅私奉公、まじめ、会社の歯車、個人より組織のために働く
3.学歴に基づいた『能力主義』...成果や実績とは別の期待感
4.長く勤めている事で会社のローカルルールに詳しいだけで上司になる
同じ会社に長くいるので、年長者ほど社内での人脈(要するに顔見知り)が多く、多少の無理なお願いも通るようになります。つまり、年長者と言うだけでもそれなりに値打ちがありました。また、組織の流動化もあまり起こらないので、一度上司、部下の関係が構築されると、なかなかその上下関係が崩れません。
会社に長く務めることが前提なので『成果』が無くても『能力=学歴』があれば、いつか実を結ぶと長い目で期待感が続きます。周りも同じ目で見ますから、多少の成果不足でも上司として迎い入れることも多かったと思います。
つまり、昔は『仕事の管理』どころか『人の管理』も行っていませんでした。
4.何を管理すべきか
今までも『人の管理』をあまりしてきませんでした。タイムカードで何時間会社にいたかは管理するとは言いません。その人の特性や長所・短所を考慮した人員配置、モチベーションを向上させるための仕掛けや、納得感のある昇進や昇給など。
それが、今後はさらに難しくなってきます。会社に何時間いたかとか、何年勤めていたとかで判断できませんし、社内の知り合いに『お願い』で仕事を手伝ってもらう訳にもいきません。学歴があっても成果が出るまでその会社にいるかどうかもわかりません。
つまり、幾ら人の管理をしても、会社の業績=成果に直接結びつきません。
P子「じゃあ、何を管理するの」
『仕事の成果を管理』する必要があるという事です。
その人がどこで何時間働いていようが、アウトプットで判断します。能力=学歴も勤続年数も年齢も性別も無関係に、インプットに対するアウトプットで評価します。
P子「教育はどうするの」
会社が持つ必要はありません。人の流動化が進むという事は、その会社が教育したとしても、リターンが得られるかどうかわかりません。もちろん、費用対効果を考えて初期投資としての教育位は行われるでしょう。それ以上は個人個人が自分の裁量で受講するという感じでしょうか?なので、教育自体も専門化すると思います。
逆に考えれば『仕事の成果』をきちんと評価、判定できない会社は、積極的にリモートワークも推進できませんし、副業も認められません。人材の流動化も進まず優秀な社員は来ないし、逆に社内から去っていくでしょう。ジリ貧になり既存の社員に満足な給料も払えず、モチベーションは下がり、負のスパイラルで最後は廃業もあり得ます。
P子「そこまで悲惨なの」
まあ、日本の企業が右に習えで今のままだと、みんな揃ってジリ貧になるので気づかないのかも知れませんね。
5.最後に
問題は、今まで『仕事の成果』をきちんと評価、判定してこなかった企業が、どうやって判定するかです。
営業ノルマとか売上金額とか判りやすい判定方法は良いのですが、技術力とか顧客満足度とか長期に渡る研究開発、標準化などの間接的な成果をどうやって判定するのでしょうか?
人工知能などは、過去の情報から判定することはできても、画期的な発明や既存の概念を覆すような成果は判定できないでしょうし、下手に判定されても困ります。
それらの問題を上手く解決できた企業が、今後優良企業となって業績を伸ばすかもしれませんね。
ほな、さいなら。
======= <<注釈>>=======
※1 P子「役に立ちそう?」
P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。
スピンオフ:CIA京都支店『妖精の杜』
ここはCIA京都支店のデバイス開発室。安らぎを求めて傷ついた戦士が立ち寄る憩いの場所、通称『妖精の杜』と呼ばれていた。
P子:CIA京都支店の優秀なスパイ。早坂さんにはなぜか毒を吐く。
早坂:デバイス開発室室長代理。みんなから『妖精さん』と呼ばれている。
P子:「♪ ヘルメット5回ぶつければ、それはア・イ・シ・テ・ルのサイン~♪」
早坂:「ブレーキランプ5回点滅がア・イ・シ・テ・ル のサインですよ」
P子:「細かいことをグジグジ言わない」
早坂:「まだ、勤務時間中なので歌ってないで仕事してくださいよ」
P子:「この部屋に来てる時点で、休憩してるのが判らない?」
早坂:「勝手に人の職場で休憩しないでください」
P子:「あれ?ここは休憩室だとばかり思ってたわ」