130.逆張り
初回:2021/2/10
1.凡人が勝つ方法
逆張りについて、簡単に説明しておきます。
今では、投資手法の一種(相場の下落局面で買い、上昇局面で売る)と認知されていますが、私の世代ではギャンブルの手法です。
P子「ギャンブルの話をするの?」(※1)
『人生はギャンブルだ』とまでは言いませんが、高度経済成長の時代ならまじめにコツコツでも人生の勝者になれたかもしれませんが、これからの日本においては大多数の敗者とごく一部の勝者に分断されてしまいます。そうなると、大多数の敗者が生き残る方法としては、逆張りしかないと私は思います。
P子「要するに、やけくそね」
そうとも言い切れません。
成長期には流れに乗ることは重要な戦略ですが、混乱期には混乱に乗じて既存のやり方を思い切って変えることは、戦略として成立すると思っています。
P子「もちろん、そのまま混乱するだけになるかもね」
まずは、ギャンブルでいう所の逆張りについて、イメージ合わせをしておきます。なお、主に小説の中の話なので、本当かどうかは判りません。
例えば『丁半』や『チンチロリン』などの少人数で目の前で勝負が見えるばくちの場合、『逆張り』とは、他の人と逆の目を張る事なのですが、じゃあ誰の逆を張るかと言うと、ツキが落ちている人、負けが込んで熱くなっている人の逆の目に張るということです。
今の日本は、負けが込んでいる状態だと思っています。なので、日本流のやり方、今現在、日本が行っている商流などの逆を張れば、勝ち組になれる可能性があると思います。そして、勝ちの流れになっている状況には乗っかることが重要です。
P子「じゃあ、あなたがそうすれば?」
私はすでに『妖精さん』になっているので、このまま逃げ切る予定です。
P子「単なる老害ね」
2.逆張りの方法
まずは、今の日本の状況を考えてみましょう。
《参考資料》
https://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/2102/01/news010.html
2020年代のエンジニアが年収を上げるための戦略 ー現状分析と今後の予想ー
2021年02月01日 05時00分 公開
[勝ち逃げ先生,@IT]
さすが(編)さんにバッサリ3000文字も切られただけあって、端的に判りやすく現状と未来予測が書かれていると思います。
私なりに解釈した要点をまとめます。あくまで私なり...ですけど。
コロナ禍で働き方が急激に変わった。
これは「弱者の排除」...貧富の差の拡大
業界の構造(多重下請けなど)は変わらない
上の商流に移らなければ年収アップはない。
下の商流からの「搾取」構造
そもそも、業界の構造的に言うと、下流に所属する限り年収アップは難しいでしょう。さらに、上流に所属していれば安心ではなく、多くのエンジニアがライバルとなる世界では、真に能力があるほんの一部の人のみ、多くの報酬を受け、その他は下流に所属しているよりはマシという状態が考えられます。
では、この業界でどのように逆張りするのか?と疑問に持たれたことでしょう。
『下流で年収アップは無理』⇒『下流でやりたいことをやる』
一部の優秀な人達は上流で高収入を得られるでしょう。その他の人達は仕様を書くだけで下請けの管理などの仕事を、そこそこの給料で行う事になります。なら、いっそのこと下流でやりたいことをやるという手もアリではないかと思います。
『多重下請け構造』⇒『多重請負しない。一気通貫でシステム開発を受注する』
これは、発注側にも『逆張り』してもらう必要があります。つまり、大企業や政府が発注する開発案件はどうしても大手の会社に一次受けが回ります。所が中堅企業がシステム開発を大手に依頼すると、中間マージンを抜かれるだけで、実質的な開発は下請け、孫請け企業が行います。ならば、中堅企業が『逆張り』するというのは、本来下流の孫請け企業にシステム開発を直接発注する事です。中間マージンを抜かれない分、お安く出来上がるでしょうし、仕様も開発も一気通貫ですから、確かなシステムが出来る可能性があります。
私は、『逆張り』する中堅企業は、それなりに出てくると予測しています。その時に一次受けとして名乗れる、小さな技術力のある開発会社ならば、高収入とまではいかなくても、納得できる仕事が出来ると思います。
『時間や場所に捕らわれないテレワーク』⇒『さらに進化する』
『複数企業に所属や副業』⇒『さらに進化する』
これらは、時代の流れであり逆張りせずに『勝ち馬に乗る』のが得策です。
テレワークが進化すれば、先の小さな技術力のある開発会社が、東京に存在する必要がありません。そして、その小さな会社に所属する人は、その会社にだけ所属する必要もありません。現在でもプロジェクト制が敷かれている会社も多々あると思います。そういうプロジェクトが所属企業や住所(国も含めて)に関係なく、昼夜(時間)も関係なく組まれることも想定できます。
3.最後に
大企業の上流に所属する能力のあるエンジニアが、高額報酬を得るには常に働きづめになるでしょう。仕事と趣味を両立なんて言ってられません。なぜなら、世界的なテレワークの進化によって、時間と場所の影響力が低下し、世界中のエンジニアがライバルになるわけで、趣味にうつつを抜かしていると、すぐに追い越されて負け組に落ちてしまいます。仕事と趣味をバランスよく両立して『豊かな人生』を歩もうとすれば、逆張りも検討してみる価値があると思います。
逆張りも時代の流れに乗ることも、最終的には自分の判断です。ただ、日本の構造が『おかしい』と思うなら、逆に改善すれば優位に立てるという事です。一部の人達はそのことを自覚し、改善しようとするでしょう。そちらの流れに乗ってみるかどうかも、勝負の分かれ道じゃないかと思います。
ほな、さいなら。
======= <<注釈>>=======
※1 P子「ギャンブルの話をするの?」
P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。
スピンオフ:CIA京都支店『妖精の杜』
ここはCIA京都支店のデバイス開発室。安らぎを求めて傷ついた戦士が立ち寄る憩いの場所、通称『妖精の杜』と呼ばれていた。
P子:CIA京都支店の優秀なスパイ。早坂さんにはなぜか毒を吐く。
早坂:デバイス開発室室長代理。みんなから『妖精さん』と呼ばれている。
P子:「早坂さんはギャンブルするの?」
早坂:「するわけないでしょ」
P子:「なぜ?」
早坂:「あんなの胴元が勝つように出来てるから」
P子:「じゃあ、胴元になれば?」
早坂:「私を逮捕させて排除しようとしてません?」
P子:「ばれたか」
コメント
勝ち逃げ先生
ぼくの記事を取り上げて頂きありがとうございます。小悪魔じゃなかった、(編)さんも、さぞお喜びのことと思います。
>本来下流の孫請け企業にシステム開発を直接発注する事です。中間マージンを抜かれない分、お安く出来上がるでしょうし、
ぼくの中間マージンの考え方は、任意保険のようなものだと思ってます。下の商流の企業に直接発注することで予算を抑えることは出来ますが、それらの企業にはリカバリーする体力が無いため、何かあったときは泣き寝入りです。結局の所、発注側企業のリスク管理の話につながりますが、購買部を保持できるレベルの中堅企業がそのリスクを負うケースは少ない気がします。いずれにせよ、逆張りはハイリスクハイリターンですね。ナイスコラム!
ちゃとらん
勝ち逃げ先生さん、コメントありがとうございます。
大手企業や有名ブランドなどから物を購入する場合も『なんとなく安心』という気持ちがあります。これを『任意保険のようなもの』とは、ズバリの表現ですね。
# ブランド物はまた別の要因ですけど。
イメージ的には、中堅企業が中規模のシステムを発注するケースを想定していたので、システム会社側も単独でリカバリできない規模の開発は受けないんじゃないかと、思っていました。
でも、このご指摘、逆に考えれば『システム任意保険』みたいなものがあれば、それなりに成立するかも・・・すでに近いのがあるのかな?
> 逆張りはハイリスクハイリターンですね。
ただし、何も考えないで世間の流れに身を任せるのは、スローリスクノーリターンかもしれません。(スローリスク=ゆでがえる理論みたいに、じわじわリスクが拡大するイメージ)
# 一番リスクが高いのは、何も考えていない事でしょうね。