082.仮定の質問にはお答えできません
初回:2020/06/24
1.不思議な逃げ口上
P子「また、あっち系のお話?」(※1)
いいえ、ちゃんとした、こっち系(エンジニア)に関するお話です。
一昔前までは「記憶にございません」でしたが、最近の流行は「仮定の質問にはお答えできません」でしょうか?
P子「やっぱり、あっち系のお話じゃない?」
いいえ、こっち系のお話です。
この表現、私の中ではものすごい違和感があって、何で答えちゃダメなの?って、ずっと思ってました。その答えが、下記に書かれていると思います。
≪参考資料≫
https://tokumoto-law.com/column/column10
逃げ口上「仮定の質問には答えられない」の不思議
2018.5.26 情報・コラム 投稿者: 徳本法律事務所
要約すると、質問者が「事実の問題」と「見解の問題」の違いを明確に意識していないから、回答者側のゴマカシに対して的確に反論できないそうです。
「事実の問題」とは、「事実の存否やその内容を問う質問」のことです。
裁判(訴訟)では,証人の経験した事実に基づかない意見や推測の陳述を求める質問は原則として禁止されています(民事訴訟規則115条2項5号,6号,刑事訴訟規則199条の13第2項3号,4号)
「見解の問題」とは、「一定の事実(仮定的事実を含む)を前提としてそれに対する見解を問う質問」です。
もう少しかみ砕いた例を挙げてみましょう。
「事実の問題」の例で言うと「あなたが購入した宝くじは、1億円が当たりますか?」と聞かれた時に、当たるかどうかなんて判りませんから、答えることが出来ません。
「見解の問題」の例で言うと「あなたが購入した宝くじは、1億円が当たると思いますか?」と聞かれれば、「もちろん当たると思ってますよ」とか、「1億円は無理でも、1万円くらいは当たって欲しい」などと答えることが可能です。
私なら1億円当たったなら、半分貯金して、残りで水回りのリフォームを行いたいと思います。
P子「誰も、あなたのお金の使い道なんて、聞いてないわよ」
映画やドラマで「○○を出来るかね?」と問われて困惑する主人公に対して「すまない、質問を変えよう。○○をやるかね?」と問い直して「はい、やります」と答える、あれですね。
2.エンジニア的な使い方
P子「無理からこっち系のお話にしてない?」
例えば、プロジェクトマネージャー(以下PMとします)に任命されたあなたが、上司に質問されたとしましょう。
上司:「どうかね。来週の納期には間に合いそうかね」
PM:「仮定の質問にはお答えできません」
上司:「ん~。じゃあ、現在の進捗具合はどうかな?」
PM:「予定の1か月遅れって所でしょうか?」
上司:「それじゃあ、このままじゃ間に合わないでしょ。何か手は打ったの?」
PM:「今から増員しても混乱しますし、打つ手なしですね」
上司:「じゃあ。来週の納期には間に合わないって事ですか?」
PM:「仮定の質問にはお答えできません」
上司:「PMチェーンジ!」
PM:「いや、手遅れでしょ」
上司:「お前が言うな!」
P子「大抵、我慢強い上司ね」
ついでに、昔の答え方の例です。
上司:「どうかね。来週の納期には間に合いそうかね」
PM:「記憶にございません」
上司:「PMチェーンジ!」
P子「そらキレるわ」
あっち系の人達は、これに近い会話が成り立ってるんですから、すごいですね。
P子「所で、在宅勤務が長引いてるけど、家事とかちゃんと手伝ってる?」
「家庭の質問にはお答えできません」
ほな、さいなら
======= <<注釈>>=======
※1 P子「また、そっち系のお話?」
P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。