高村ミスズの事件簿 コールセンター篇(6)
そのウワサを私が耳にしたのは、もう10 年以上前になる。当時、今では死語となったWeb2.0 という概念が流行っていて、雨後の筍のように各地で講習会やカンファレンスが開催されていた。そんな1 つから招待状が届き、たまたま時間が空いたので参加したのがキッカケだった。
カンファレンスは、毒にも薬にもならない抽象的な言葉の羅列ばかりが続き、お世辞にも有意義と言えるものではなかったが、終了後の懇親会の席で、これまであまり交流のなかったベンチャー系企業のエンジニアたちと知り合えたのは収穫だった。その中の一人で、台湾のIT 企業でオンラインゲーム開発をしているという東本という30代の男性が、ふと思い出したように言った。
「高村先生、神のライブラリの話、聞いたことあります?」
答える前に何秒か空白を置いたのは、ジョークですよ、とか何とか相手が笑い崩れる余裕を与えるためだったが、期待した反応は起こらなかった。
「……いえ、聞いたことないけど。何それ?」
「Web アプリケーションのパフォーマンスを劇的に向上させる、Java のライブラリですよ」
「へえ」いかにもうさんくさい話だった。「それは、つまり、都市伝説みたいなもの?」
「いや、ぼくもそう思ってたんですけどね。BFM ってゲーム、ご存じですか?」
「BFM……」私は記憶を検索した。「ああ、バトルフィールド・マーズね。オンライン対戦型の。確か、香港の会社が提供してるんじゃなかったかしら?」
「それです。あれ、サーバ数はそんなに多くないのに、パフォーマンスがすごくいいんです。独自にHTTP サーバを開発したとか、描画アルゴリズムが天才的だとか言われてるんですが、実は神ライブラリを導入しているというウワサがあって。ベータ版では同時接続数が100 を超えると、ガクッとパフォーマンスが落ちていたのに、リリース版では100,000 でも余裕になったとか」
「へえ」私は冷えたビールのグラスを傾けた。「それが本当ならすごいけど。一種のメモリ管理ツールみたいなもの?」
「詳細はわからないんですが」東本はワインクーラーをがぶ飲みしながら答えた。「しかも導入も簡単で、WEB-INF/lib に、そのjar ファイルを放り込んでおけばいいだけなんですって。既存の仕組みをいじくる必要なしで」
「ちょっとちょっと」私は笑いながら東本を制した。「それ、あり得ないでしょ。ライブラリってことは、何かのクラスとメソッドがあるわけでしょう。それを使わないと意味がないじゃない」
「いえいえ、それが、パッケージ名を、java.io とか、javax.servlet にかぶせてあるんですよ。先にロードされるようにしとけば優先されます」
「ああ、そういう手ね。でもWeb アプリケーションのチューニングっていったら、大抵ストレージ系を速くするか、メモリを増設するか、要するに物理的な手段が定石よね。ライブラリってことは、要するにソフトウェア的な手段でしょ。そこまでドラスティックに変わるもの?」
確かにアルゴリズムの変更や、データベースのインデックスの有無によって、パフォーマンスが驚くほど変化することはあるが、ベータ版を出したということは、その程度のチューニングは済ませた後だろう。
「ぼくも見たことはないんすけどね」
「どっかで売ってるの?それともオープンソース?」
「それがわからないんですよ。それらしいダウンロードサイトもないようですし。売ってるとしても、製品名すらわからないんで」
「都市伝説ね、それは」私は決めつけた。「真面目に信じてるんじゃないでしょうね?」
「半信半疑ってとこですね。1,000 倍のパフォーマンスアップが話半分だとしても、ちょっと見てみたくないですか?」
「実在すればね」私はサラミをつまんだ。「それ、製品名はともかく、通称名とかないの?」
「テスタロッツアと呼ばれてるらしいです」
「テス……フェラーリにそんな名前の車がなかった?」
「イタリア語で赤い頭とか、赤の一番という意味です。最初はぼくも、フェラーリがソフトウェア業界に進出したのかと思ったんですけど、まあ、そっちとは関係ないみたいですね」
「ふーん」
「もしどこかで遭遇したら教えてください」
「憶えてたらね」
そこで別の参加者が割り込んできたため、話はそこで終わった。私はその怪しげな情報を、脳内の「胡散臭いから忘れても構わないフォルダ」に格納し、それっきり忘れてしまった。
次にそのウワサを聞いたのは、5 年ほど前のことだ。今度は飲み会での与太話といったお気楽な状況ではなかった。
都内のある企業から、20,000 人以上のクレジットカード番号を含む個人情報が流出した事件が事の発端だった。在京の民放テレビ局の子会社で、テレビショッピングの受付および商品発送などが主業務だった。流出事件そのものの原因は、システム部の社員がサーバの設定をミスし、何日もそのことに気付かなかったというヒューマンエラーだと判明した。社員は自分の非を認め、社長以下役員が記者会見で深々と頭を下げた。
それだけであれば、よくある流出事件として一時的にメディアが騒ぐぐらいで片付いただろうが、その後、事態は急転することになった。一連の報道が沈静化し、ネットニュースのトピックスからも消えた頃、問題のシステム部社員が自殺したのだ。一人暮らしのアパートの浴室で、手首の動脈をカミソリで切り裂いて。事件以来、会社を休んでいたため、発見されたのは数日が経過してからだった。
世論の圧力と親会社の指示で、社内に調査および再発防止委員会が発足し、外部からも有識者が何人か参加した。私もその一人だった。技術面からの再発防止策の提言を行う立場で参加を求められたのだ。
システム部長に話を聞いてみると、流出事件の2 ヵ月前に、顧客管理システムを刷新していたことがわかった。親会社の経理部長から紹介されたシステム会社に開発を依頼したのだが、どうにも完成度が低かったようだ。テスト環境ではそれなりに問題なく動作していたのだが、いざ本番稼働してみると、パフォーマンスが上がらない。問題のシステム部社員は新システム導入の主担当で、各部署からの非難が集中していたようだ。責任感の強いエンジニアだったらしく、システム部の予算でメモリを増設したり、データベースチューニングの研修を受けたりしたのだが効果はなかった。開発したシステム会社に対応を依頼しても、開発メンバーを解散させてしまったなどの理由で、なかなか応じてもらえなかった。
「生真面目な奴でね」部長は嘆息した。「私が何もわからんもんだから、全部押しつける形になってしまった。不平ひとつ口にしなかったんですが、かなり精神的に負荷がかかってたんでしょうな」
「飲みに行ったときなんすけどね」続けて話を聞いた同僚は言った。「パフォーマンスを劇的に改善させるツールのことを話してたんすよ。怪しい話だって言ったんですけど、もう藁にもすがる気持ちだったんでしょうね」
「そのツールの名前は聞きましたか?」私は訊いた。
「テスト何とかって言ってましたよ」
そのとき、記憶領域の片隅にかろうじて残っていたテスタロッツアという言葉が呼び起こされた。私は詳細を思いだそうと苦労しながら訊いた。
「そのツールを実際に入手したんでしょうか?」
「そこは何とも」同僚社員は肩をすくめた。「ただ、どっちにせよ、CRM システムは遅くて使い物にならないままでしたけど」
「そうですか。ところでその使い物にならないCRM はまだ稼働してるんでしょうか?」
「それが、流出騒ぎの直後に何かの不具合で止まってしまったんですよ。ディスクだったかメモリだったか。それで開発会社を呼んだら、調査しますといってサーバごと持って行ってそれっきりだそうです。あ、データベースサーバは別だから、流出は大丈夫ですよ」
その後の調査で、開発会社は倒産していることが判明した。社長はもちろん、勤務していたどの社員も行方不明だった。紹介した親会社の人間も、流出事件の直後に退職し、夫婦揃って海外に移住したとかで、話を聞くことはできなかった。
3 度目にテスタロッツアという単語を耳にしたのは、2 年ほど前だ。東本から連絡があったのだ。
『高村先生、以前に話した神ライブラリのことを憶えてますか?テスタロッツアってやつです』
それまでも、何度かメールのやり取りだけはしていたが、テスタロッツアについては興味を失ってしまったかのように、一度も言及されたことがなかった。
「憶えてるわよ。何、見つけたとか?」
『見つけたことは見つけたんですが』東本の声からは、以前にはあった快活さが失われていた。『後悔してるんですよ。ありゃあアンタッチャブルです』
「どういうこと?」
『会ってお話できませんか?私、明日台北に戻らなければならないので、できれば今夜』
その日、東本は元町のビジネスホテルに泊まっていたので、横浜中華街の聘珍樓に席を予約し、19:00 に店で落ち合うことにした。あいにく、私は夕方から急な来客に対応しなくてはならず、元町・中華街駅に着いたのが19:30 になってしまった。途中で遅れるとメールしておいたが返信がなく、少し妙に思いながらも、私は聘珍樓に急いだ。
東本は店にいなかった。昼に聞いておいた携帯電話番号にかけてみても、「電波の届かない場所にいるか……」というメッセージが返ってきただけだ。メールを何通か送信してみたが、梨のつぶてだった。
それっきり東本は姿を消してしまった。
勤務していた台湾の会社には、フリーメールから辞職の連絡があったが、上司が返信するとアドレスが削除されていた。長野に住んでいる家族の元には、父親の携帯電話に「しばらくの間、自分を見つめ直す旅に出る」と短いメールが届いただけだった。
私は本腰を入れて、テスタロッツアと呼ばれる正体不明のライブラリだかツールだかのことを調査し始めた。東本のことが心配だったからだが、エンジニアとしての好奇心が呼び起こされたためでもある。
調査を開始して、すぐにいくつかのテスタロッツアの情報を収集することができた。テスタロッツア、またはテスタロッサと呼ばれるJava のライブラリ群が実在していることだけは明らかになった。赤の一番、赤の頭、赤い盾、などの別名をも有している。市販されている製品ではなく、オープンソースとして公開されているわけでもない。そこまでは確かなようだ。だが、そこから先に進むと、途端に情報が先細りになっていた。
テスタロッサの機能にしても、東本が言っていたように、Web アプリケーションのパフォーマンスを劇的に上昇させるという情報があったかと思えば、効果的なSEO 対策を行うツールだという情報もある。サーバサイド向けに最適化されたJavaVM だというウワサもあれば、単なる便利ツール群でしかないというウワサもある。入手先とされるリンクは、全て無関係か、存在していないサイトばかりだった。中には訪問者にウィルスを送り込むための罠ばかりのサイトもあった。
テスタロッツアそのものの作成者や詳細機能などを入手しようとする試みは全て失敗に終わったが、テスタロッツアを使用した個人や組織の話は、いくつか入手することができた。いずれも伝聞だったが、ある程度大きな規模のWeb アプリケーションに導入され、どういうわけか関わった人間の何割かが不幸になるが、入手先は全くわからない。概ね、そんなシチュエーションだった。
神のライブラリではなく、悪魔のライブラリじゃないか、と思いながら、私は調査を続けた。だが、ある時期を境に、情報が全く入らなくなってしまった。まるで私が調査していることに誰かが気付き、先手を打って情報ソースを潰しているかのように。
東本の行方も杳として知れなかった。調査の過程でキサラギという、人間の情報を探り出す天才に出会い、東本の捜索を依頼したが、結果は芳しいものではなかった。
『確かに、東本さんはその翌日、成田から出国してます』キサラギは報告してくれた。『空港の防犯カメラ画像はもう消去されてますが』
「台北行き?」
『いえ、フランクフルトなんです。ルフトハンザ航空LH711 便』
「ドイツ?空港を出た後は?」
『タクシーに乗ったことはわかってます。ただ、どこのホテルにもチェックインした形跡がありません。ドイツからの出国記録も。国境を接している他のEU 諸国にも現れていません』
「……」
『なんか怖いですよね』キサラギは楽しんでいるような声で言った。『CIA かテンプル騎士団かMJ12 あたりに拉致されたのかも』
「そういう陰謀論はいいから、手がかりを見つけてくれ」
『やってみますが、経験から言って、これ以上は何も出ないと思いますよ』
その言葉は正しかった。私は二度と東本の顔を見ることも、声を聞くこともできなかった。さすがに少し怖くなった私は、テスタロッツアの調査を止めた。ただし止めたのは表向きだ。私は三村スズタカという仮装人格を構築し、ネットの裏側方面から調査を継続した。いろいろな業界に、慎重に選定したコーディネータを分散させ、秘密裏に解決しなければならない事案を、つまりトラブル解決を依頼として受け付けることにしたのだ。これまでの調査で、テスタロッツアの名称が囁かれるのは何らかのトラブルを抱えている事案に多かったからだ。トラブルシュートに携わり続けていれば、テスタロッツアに直接遭遇できる確率が高まるかもしれない。
あいにく、これまでのところ、三村スズタカの元に持ち込まれるのは、ネット上の風評被害を何とかしてほしいとか、悪質なSEO 対策業者からの削除依頼に代わりに対応してほしいとか、AI が結婚詐欺をやっているかもしれないから調べて欲しいとか、テスタロッツアには関係ない事案ばかりだった。今回のDLコンタクト案件も、その類いだと思いこんでいた。思い込みはエンジニアの敵だ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『ここ数時間で』キサラギは少し興奮した口調で報告した。『テスタロッツアの単語が引っかかってくるようになりました。車オタクたちのコミュニティとは全然別のドメインです』
「たとえば?」
『各国の軍事ネットワークに潜り込ませておいたBOT とか。ミリタリー関係者や軍需産業とのメールとか』
「ハウンドか?」
『一番多いのが、そこですね。どうやら、テスタロッツアにハウンドが絡んでいるのは間違いない。オリジナルはハウンドなのかもしれませんね』
「ハウンドのネットに、その」私は躊躇った。「アレ、できないか?」
『侵入ですか?』キサラギは、私が言いづらかったた単語を平気で口にした。『すぐには無理ですね。ああいう会社のファイアウォールは、文字通り壁ですから。電子的な手段ばかりでは難しいんですよ。ソーシャルハッキングをからめないと。それには時間と金がかかります』
それに危険であることは言うまでもない。
「よし、それは忘れろ。他にわかったことは?」
『ハウンドがナツメシステムの株主というのは正確ではありませんでした。ナツメシステムは、ハウンドが何らかの目的のために作った会社ですね。ソフトウェア開発会社というのは表向きで、実態は日本におけるハウンドの営業拠点です』
「何の営業だ」私は疑問を口にした。「戦車やミサイルを売り込む相手がいるとは思えないが」
『いくつか請求書や納品書を入手しました。売っているのは物理的な兵器ではなく、あくまでもソフトウェアです』
「取引先は?」
『それが奇妙なことに、入手できた限りの取引先は、全部ペーパーカンパニーなんです。つまり商取引の実体はないってことです。おそらく普通のソフトウェア会社だと見せかけるための偽装でしょうね。全く外部との商取引がなければ、誰かが余計な疑問を持つかもしれませんから』
「要するにハウンドは日本で何かをやってる。マイナーなシステム会社を隠れ蓑にして」
『そういうことです』
「何をやってるんだ?」
『まだわかりません』キサラギはあっさり答えた。『ただ、日本以外でもハウンドは似たようなことやってるみたいです。ロシアや韓国、スウェーデン。今、そっちの方から探りを入れています』
3 時間後、キサラギは再び連絡を入れてきた。
『ナツメシステムの須藤は、ハウンドの人間でした』
「そうだと思った」
『実際、ナツメシステムは数人を除いて、ほとんどがハウンドの人間ばかりです。それから、10 分ほど前からナツメシステムで妙な動きが。資産を海外に移してるんです。パナマの複数の銀行に』
「タックスヘイブンか」
『人員もすでに何人か、出国しているようです。タイミング良すぎますね』
「藪をつついてしまったかな。須藤や今野は?」
『まだ日本にいます。米国本社とVPN で大量の通信を行っているんです。中身はわかりませんが。ただ1 つ、セキュリティの甘い企業とのメールをいくつか拾えました。ドイツのブルクハルト医療機器販売会社です』
「医療機器会社?何の関係がある?」
『ハウンドと取引があります。裏ネットで探してみたところ、兵士の運動能力や判断力を高める一連の訓練カリキュラムを共同で開発していたというウワサを発見しました。裏は取れていませんが』
「訓練カリキュラム?」
『訓練と言っても、一種のマインドコントロールらしいですね。何らかの方法で恐怖心を排除するという』
「80年代の大企業陰謀映画じゃあるまいし」私は少し呆れた。「そんなことを真面目にやってるのか」
『旧ソ連だって、真面目に超能力部隊を養成していたといいますから。それはそうと、誰か潜入させてるんですよね』
「ああ、ユカリだ」キサラギは、私とユカリの関係を知る、数少ない人間の1 人だ。「オペレータとして入れている」
『ユカリちゃんですか』キサラギは楽しそうに言った。『たぶん、枝がついてます。しばらく通信は控えた方がいいです』
「やっぱりそうか」
ユカリが須藤と対面したとき、通信が一時的に途絶えた。そのときから、そんな手を打ってくるんじゃないかと思っていた。
『今、切断作業に入ってます。終わったら連絡します』
キサラギが連絡してきたのは、次の日の昼過ぎだった。
『ナツメシステムが撤退しました。もうハウンドとの関係が露わになったとわかったんでしょうね。なりふり構わず、痕跡を消そうとしてます』
「何かわかったか?」
『ナツメシステム、というかハウンドは、様々な分野のIT システムにテスタロッツアを埋め込んで、何かの実験をしていたようですね。実際にはもっと長期間にわたって継続する予定だったんでしょうが、ボスが介入したために、さっさと撤収することにしたんです。金を湯水のように使って、買収できる人間を片っ端から買収してます』
「実験?」私は眠い目をこすった。「ナツメシステムのエンジニアが倒れたのは、それが原因か?」
『間違いないです。倒れたエンジニアたちは、いずれもハウンドとは無関係の契約社員でした』
「使い捨てにしたわけか。だが、たった3、4 人のエンジニアを昏倒させることに何の意味がある?それに、それだけの手間をかけた割には、リターンが少ない気がするな」
『それもそうですね』
「もしかすると」私は思いついた疑問をそのまま口にした。「DLコンタクトのオペレータたちも実験対象だったんじゃないのか?」
『あり得ますね。ナツメシステムが以前にシステムを売った会社を調べてみます』
「頼む。ユカリの方は?」
『枝は切りました。通信は安全です』
30 分後、キサラギからの連絡が入った。
『当たりでした。過去に4 社、ナツメシステムは、システムを売ってます。テキストマイニングや見える化ツールなど、いろいろですが、その中の3 社でエンドユーザの何人かが連続して意識不明で入院しています。原因は不明』
「では、DLコンタクトも……」
『当然、実験対象でしょうね』
「ユカリを撤収させた方がいいか」
その判断は少し遅かった。私がユカリに連絡を取ろうとしたとき、DLコンタクトで騒ぎが発生した。
「くそ、始まってしまったな」私はキサラギに言った。「引き続き調査してくれ」
『了解』
私はユカリに呼びかけた。
「ユカリ、遅くなってすまん」
(続く)
この物語はフィクションです。実在する団体名、個人とは一切関係なく、たとえ実在の人物に似ているとしても偶然です。また登場する技術や製品が、現実に存在していないこともありますので、真剣に探したりしないようにしてください。
コメント
TDN
キサラギ優秀すぎ問題
dai
今回の三村スズタカ誕生の経緯を考えると、4話の「私の脳内メモリの深いエリアに格納してあった記憶を惹起した。」はちょっと違和感があるような・・・
orchis
関係ない事案ばかりで埋もれてしまったんじゃないかな?
でも誕生の根源だから忘れずに格納していた・・・と。
ななし
パナマ、タックスヘイブンと、タイムリーな話題をさりげなく盛り込んでいるので、今回は並行して書いてらっしゃるんですかね。
774のZ
短編かと思ってたのですが、まさかこれはZの始まりの物語・・・?
user-key.
全五話くらいの予定が既に六話目、次の更新は5/2か5/9か…
catch
ようやく全ての過去作品を読み終わりました。
一点質問なのですが、
「リーベルGさんの作品をアニメ化(実写等の映像化も含む)!!」
の様な話ってないんでしょうか。
もしアニメ化されているのならば是非見てみたいです。