【Round 9】 『何を伝えたかったんだと思う?』を大切に。
どうも皆さん、おはこんばんにちわ。
前回のコラムで、あまりITエンジニアらしいネタを持ってこれなかったのかぁっと思い、速攻で次の記事を書き上げました。
今回は2度目になるアニメからの題材です。
毎年の年始恒例である、テレビ局による年始アニメ一挙放送枠で『SHIROBAKO』というアニメの全24話が一挙放送されると聞き、興味本位で全話鑑賞したら、ものすごいアニメで感動してしまいました。では『SHIROBAKO』というアニメはどういうアニメなのか、解説の後に色々話していきたいと思います。
◆どんどんドーナツ どーんといこぉー!♪
『SHIROBAKO』とはどういうアニメなのか、ざっくり説明していきます。
アニメ業界にスポットを当て、アニメ関連にかかわる仕事に奮闘する5人の女の子を中心とした物語で、時にアニメチックに、時に現実的なお話に、という夢と現実を織り交ぜたサクセスストーリーです。主要人物は先ほども書いた通り、5人の女の子たちで、いつも前向きな『武蔵野アニメーション』入社1年目の制作進行担当の『宮森あおい』。声優志望で夢に向かって奔走する『坂木しずか』。引っ込み思案でありながらも、武蔵野アニメーションの原画マンとして奮闘する『安原絵麻』。3DCGアニメーション会社に勤める3DCGグラフィック担当の『藤堂美沙』。大学生でありながらも探究心を武器に、アニメ設定において制作担当のあおいを陰で助ける脚本家志望の『今井みどり』。
この5人は高校時代にアニメーション同好会のメンバーであり、宮森あおい・安原絵麻・坂木しずかの3人は当時高校3年生、藤堂美沙は2年生、今井みどりが1年生という高校の同級生と後輩の繋がりだ。5人は道は違えど同じアニメ業界で夢を叶えるため、高校時代の5人はそれぞれが手に持ったドーナツに夢を願った。その2年半後、アニメーション制作会社「武蔵野アニメーション」に就職したあおいは、同社七年ぶりとなる元請け作品に、制作進行として携わることとなり、忙しい日々を過ごしていた・・・という所から始まります。
憧れていた夢の中にはない現実と向き合いながらも、アニメ制作という仕事を通じて日々奮闘・成長していく群像劇ですが、こういう業界ネタを題材としたアニメでよくある『良いところだけをピックアップ』という感じではないです。作中では目の下にクマが出来た原画マンがエナジードリンク片手に原画を書いていたり、前の勤務先で上司からのパワハラが原因でやさぐれた制作進行さん(先ほど紹介した制作進行の女の子ではないです)がいたり、アニメの原作者とアニメ制作側で解釈の相違があって、完成したアニメ1話が全部作り直しになったりなど・・・業界の悪い部分あるあるも含まれています。
他にも、足りない原画、過労で倒れるスタッフ、こだわりから仕事を増やす監督、社内で対立する2D班と3D班、上がってこない絵コンテ、抜けていくスタッフ。それらのトラブルと向き合いながら、あおいは多くの仲間、先輩に助けられながら、様々な人と出会い、成長していきます。
アニメ制作の現場は『作品を完成させる』という大きな目標で制作進行・原画・脚本・声優・3DCGクリエイター全員が一丸となり、”白箱”(作品完成時、スタッフ確認用で配布される白い箱に入ったビデオテープの事。最近はDVDでの円盤配布が一般的だが、それも白箱と言うらしい)を完成させていきます。笑いあり、涙あり、萌えありの作品になっていますので、気になる方は是非ともレンタルDVD・BDで見ていただけると嬉しいです。
◆アニメ業界のクリエイターも、IT業界のエンジニアも同じ・・・
作るものは違えど、ITエンジニアも同じような感じだと思います。顧客側とエンジニア側で要求の解釈が違い、作り直し・・・。上司の陰湿なパワハラで新人社員が退職・・・。デスマーチによって増えるエナジードリンクの空き缶・・・。
私はエンジニアというよりかはWebデザイナーの立場に近いので、あまりそういう修羅場には直接関わったことはないのですが、同じ専門学校を出た友人たちから開発現場の話を聞くと、色々な話が出てきて恐ろしいものです。こういうのは考え方次第で現場が変わるわけではありませんが、自分だけでも意識を持って機械のようにモノづくりしないというのは、共通で大切なことなのかもしれませんね。
◆好きだから、やる。
『SHIROBAKO』で個人的に良いと感じたのは、作中で”好きだからこの仕事をやっている”という人たちが多いということです。
下記は私が選別した作中セリフです。
"ただがむしゃらに、ひたすら前に進んでた。やりたい事をやり続けていた。そして気が付くとこの年になってた。それだけさ。"
丸川 正人 / 社長 (19話)
"俺さ、自分の進む先が最初から見えてたわけじゃないんだ。気が付くと、今ここ(アニメ業界)にいる、それだけ。"
大倉 正弘 (19話)
"売上なんか気にしてやりたいことブレたら、良いもの作れませんよ?"
高梨 太郎 / タロー (9話)
本当にアニメの現場にいる人たちが、上記のような人たちばかりか・・・と言われればそうではないのかもしれませんが、私的にすごく共感できたので、選ばせていただきました。
私も今こうやってコラムを書くにしても、格ゲーしてるにしても、Webデザインの仕事をしているにしても、『好きor楽しいからやっている』というだけです。それでお金がもらえるのであれば、本当にありがたいことだとも思っています。みなさんはどのような動機で動いているのでしょうか?
私の高校時代の友人で、3DCGアニメーション関連の仕事をしている友人がいます。彼と飲みに行ったときに、色々3DCG関連の話をしてくれるのですが、本当に楽しそうに話してくれます。彼はただ漠然と3DCGの作品を作っているというわけでもなく、会社の歯車として生かされているわけでもない。ただ単に『3DCGという技術に楽しさと希望を持って仕事をしている』という風に感じました。人間関係だの会社の雰囲気が合わないということは一切言わず、『アル〇ノア・ゼロの音楽は作品の場面にマッチしてて最高なんだよ』とか『俺はこういう3DCGアニメーションを作りたいんだ!』と語る彼は、まさしくクリエイターだなぁと思います。
先ほども書きましたが、アニメ業界のクリエイターとIT業界のエンジニアというのは、呼び名の意味や作っているモノは違うものかもしれません。ですが、同じ”技術職”の部類であることには変わりありません。情熱をもって何か(仕事でも趣味でもなんでもおk)に取り組むことは、決して無駄ではありません。楽しいと思えることが最大限のモチベーション維持です。
結果が全てだと思わないこと・仕事を楽しいと思えるにはどうするか・長くやらないと本当の楽しさは分かってこないということ・・・などなど、SHIROBAKOを見て、作品から色んな事を教えてくださったり、再確認することができました。これだからアニメを見るのがやめられませんね。
長くなりました。結局なにが言いたいかというと、SHIROBAKOとガルパンはいいぞ。
水島 努監督と水島 精二監督∩( ・ω・)∩ばんじゃーい