【Round 8】 日本人が持つゲームへの固定概念は、スーパーアーマー並に固い
どうも皆さん、おはこんばんにちわ。
そして明けましておめでとうございます。このコラムを書きあげている時は年末だったのですが、気が付いたら年明けてました。
前回は反省会と称して、皆様のコメントに答えるというものでしたが、今回のコラムはきちんと題材があり、そのことについて考えて行こうと思います。
◆なぜe-Sportsは日本で普及しないのか
私の見解を先に言ってしまうと『ゲームをすることは、日本人が持つ思考の中に否定的・マイナスイメージがある』のだろうと考えます。
日本ではかなり早くに『アーケードゲーム』が普及し、我々の生活に馴染んでいきました。ですがそれを”良いもの”と捉える方は少なくはないでしょう。私が小学生の頃、両親から”ゲーセン”という場所は『悪い人が行く場所』という教育(実際はそんなこと無いのですが、親心と一般的な観方がそうさせたのでしょう)を受けて生きてきました。ですので私自身、ゲーセンに通い始めたのは専門学校時代である18歳頃からで、色々なアーケードゲームに触れてきて、現在新人社員として働き始めの4月頃に格闘ゲームの世界に足を踏み入れました。
ですので、本格的にアーケードゲームプレイヤーを見て、話して、対戦して、というのは20歳過ぎてからでした。最近の人からしてみればかなり遅い進出です。ですが、こういう人は少なからずいると思います。私はそういうの規制を直に受け、ゲームといってもパーティゲームや動物育成ゲームなどのゲームばかりで、競技性の高いゲーム(格闘ゲームやFPS、RTSなど)には触れてきませんでした。
『子供のうちはゲームをさせない』というのが、教育上ベストであるというのが今の日本教育の現状です。普通に考えて当たり前なのですが、殺し合い・殴り合いは許されない。格闘ゲーム・FPSゲームの影響でプレイした児童がゲームの真似をし、児童の精神的成長において将来的に悪影響を与える、世間一般が懸念する『ゲーム脳』という思考が出来上がってしまうと考えられているからでしょう。ゲームをする=悪いこと or 全ての物事をゲームだと捉えてしまう(例:人を殺すことに躊躇しない、自分が行った行動はゲームのようにリセット出来るという思考 etc...)というのが世間一般でいう『ゲーム脳』の考え方です。
先月16日、某民放局での番組で”フルタイム・給料制”のプロゲーマーチームを特集・取材するコーナーを放送したのだが、その放送内容で「優秀なゲーマーを軍事運用する」や「プロゲーマーには将来性がない」などと一部の内容に偏向報道とも取れる報道を行い、視聴者から批判が上がっていました。(詳細はこちら) 上記の件はあくまでも”報道ミスである”と願いたいのですが、「やはりこういう考え方の方が多いのかなぁ」というのが私の率直な見解です。人間のマイナスイメージはそう簡単に払拭できるものではありませんが、それでも私自身、一ゲーマーとしては日本人の根底にあるマイナスイメージを払拭したいところです。
◆日本のゲームメーカー業界は先進国であり、e-Sports未発展国
近年、世界的に見てもe-Sprotsはかなりの盛り上がりを見せている。大手企業がスポンサーとして名乗りを上げ、大会や選手をサポートするという一種の競技と認知されている。e-Sprots先進国であるアメリカや韓国、ヨーロッパでは世界大会などが行われ、優勝賞金は1億を超えたりなど競技としての認知度は高い。他にもe-Sportsではないが、『Minecraft』という何もかもがブロックで構成された世界を、プレイヤーが自由にブロックを崩したり積み上げたりするゲームがあるのだが、スウェーデンやアメリカなどの海外の教育機関は『Minecraft』を”教育教材”として授業に取り入れた。狙いとしては自由にブロックで構築できる故に、「物を作ったり、作るために考えるということの楽しさを学ぶ」というのが狙いだそうだ。
そして一つのビジネスにもなりえるものでもある。例で言うとAmazon.comが提供するライブストリーミングサービス『Twitch』は、ゲームプレイヤーを支援するのではなく、ゲーム大会を開催・主催する運営・裏方側を支援する動きを最近見せている。12月当たりに日本の格ゲーマーでもあり、人気格ゲー実況者の『アール』氏がTwitchスタッフとして加入した。これはアール氏本人からの申し出ではなく、Twitch側のスカウトで加入したのだ。今まであった個人と企業との間で結ばれる専属プロ契約などではなく、あくまでもTwitch社員としての契約だが、アール氏がTwitchスタッフとして動くというのは今までの動きとはまた違う格ゲーマーの活躍が期待される。これはゲーム業界を発展させる上で、プレイヤーだけでは成り立たない部分に目をつけている良い例なのではないかと思います。
日本のゲームメーカー業界は世界で認知されている。ゲームハード市場では任天堂やソニーなどがシェアを占め、ソフトウェアではバンダイナムコやカプコン、セガなどが日本だけではなく、世界に向けてハード・ソフト問わずゲームウェアを売り伸ばしている。だが日本でのe-Sportsの理解は、『受け入れられない・否定的』というのが現状だ。それはとても悲しいことではないでしょうか?
ゲームをやるにしても見るにしても、人によって好き嫌い分かれるのは仕方ないことです。ですが、世界的に市場がゲームの売り上げだけではなく、ゲームプレイヤーやそれを支える企業側やイベント主催側によって、急成長を見せているという事実には目を背けてほしくはないです。ぜひとも注目して頂きたいです。
◆格ゲーマーエンジニアよ、大志を抱け。
エンジニアの皆さん! 2016年ですよ!2016年!
まぁ、私としてはこの@ITのエンジニアライフでコラムを書き始めたのはつい先月あたりの話なので、他のコラムニスト様みたいに興味深いことは言えません。文章力もまだまだです。ですが、自分にしか見えない部分や自分にしか捉えられない視点からコラム記事を書いていくことは可能なのではないかと、2015年コラムを書いていて感じました。ニッチ戦略にも見えかねませんが、そんな感じで2016年もこの調子でフル回転でコラムを書いていければと思います。
今後とも、宜しくお願い致します。
コメント
h
>だが日本でのe-Sportsの理解は、『受け入れられない・否定的』
>というのが現状だ。それはとても悲しいことではないでしょうか?
逆に受け入れられている国ってどこなんでしょう?
賞金云々書かれていますが、それは法律が許しているというだけでアメリカでもヨーロッパでも市民権を得られているわけではないと思いますけど。
海外映画見てもゲームやPCをやっているキャラは日本とそうかわらないイメージだし。
ファミコンの時代から日本人にはゲームは広く受け入れられていると思うのですが私の周りが特殊なのでしょうか?
ポケモン対戦したり桃鉄を夜通しやったりした記憶がありますし、
DQ3のために並びFF最新作を探してデパートわたり歩いたりしたので一般的だとは思いますけどね。
実際steamなんかでは日本語の利用客は13位なのに対して売り上げは10位だそうなので、人口比率を考えると日本はむしろゲームに許容的ではないでしょうか。
kloksk
hさん
横から失礼します。
「受け入れられてること」の線引が難しいですが、確かにゲームに触れ合う機会は多くあると思います、自分もそのタイプです。しかし「プロゲーマー」、職業としては受け入れられてないということを言いたいのかなと思いました。
e-Sportsが受け入れられている国と言われますと、国営放送でRTSのリーグ戦を放送している韓国や、FPS特集を組むアメリカとかでは無いでしょうか。日本も少し前にはゴールデンタイムにポケモン勝負の番組とかありましたけど、あくまで「遊びのゲーム」の延長戦のように感じました
みねるば
日本では、プロゲーマーやe-sportsが受け入れられないという側面もありますが、そもそも高額の懸賞金をかけて争うプロ競技全般が受け入れられていない気がします。
e-sports(ゲームじゃなくてエクストリームスポーツの方)も、米国だと10億くらいの懸賞金が普通にありますが、日本ではまったく市民権得られてませんよね。
つまるところ、日本では、スポーツ(的な競技全般)はストイックで高尚なもの、というイメージが強いのかなーと思います。高校野球の延長線上にあるとでもいいましょうか。。。
実際にはゴルフやテニスみたいな高額賞金のかかる大会もありますが、
「勝てば一攫千金!」みたいなノリではなくて、スポーツ感全面推し。
日頃の努力の賜物でご褒美をもらう、に近い捉えられ方をしていそうに思います。
h
klokskさん
>しかし「プロゲーマー」、職業としては受け入れられてないということを言いたいのかなと思いました。
確かにそうなのですが、私はあえて職業ではなく娯楽の一つとして発言しました。
・プロ雀士
・ハスラー
・プロポーカー
・プロゲーマー
別にプロゲーマーだけが受け入れられていないわけではないし特殊ってこともないですよね。
どれも元クラスメートがなっていても否定はしないどころか「すげー」と思いますが自分の家族が目指したら反対します。
上記に限らずプロ野球やサッカー選手を目指すのももちろん反対します。
(高校のクラブに全力を傾けて勉強がおろそかになるというのは許容、進学就職せずにプロテストを受けるのが反対って意味です)
大半の人はそんな感じと思うのですが、これって受け入れてないってことなんですかね?
もし違う場合は受け入れるというのは具体的にどのような事をさすのでしょう?
sabo
今のe-Sportsビジネスとは違いますが、かつてのゲーセンの賑わいとそれを取り巻く環境は、対戦然り、ハイスコア然り、また別のe-Sportsだったと思いますね。
有名無名のバグや仕様を見つけ、利用し、何故そうなるのか考えるのは、ある意味今に続くエンジニアライフでした。
プロゲーマーが受け入れられにくいのは様々な理由があるでしょうが、今はまだまだ黎明期ですから当然だと思います。
コンピューターゲームの性質上他の競技より難しい面もありますが、有り様の一つとなれば良いですね。
くれあ
hさん、klokskさん、みねるばさん、saboさん
多くのコメントありがとうございます。
今回は『ゲーム』全般という線引きではなく、日本での『e-Sports』という環境を取り巻く現状について書かせていただきました。
かなり難しい線引きですよね…
テレビ・アーケードゲーム自体は娯楽だと私も思います。
ですが、そこでゲームを『娯楽』と考えるか、それとも『競技』と考えるかで考え方はガラリと変わってくるはずです。
やってることは違えど、プロ野球選手やプロテニスプレイヤー。アマチュアであるフィギュアスケート選手(厳密には"アマチュア"ではなく"エリジブル")でさえ、グランプリファイナルなどで優勝すれば約18,000ドルの賞金が出ます。
賞金だけの話ではありませんが、スポーツ競技とe-Sports競技には歴然とした認知度の差と評価の違いがあります。
野球だってテニスだってスケートだって、考え方を変えれば『娯楽』にもなり『競技』にもなります。プロという枠組みも、雀士もボーラーもゲーマー、野球選手もテニス選手、サッカー選手も、"プロ"と言われる以上は同じ枠組みのはずです。
ですが、体をフルに使った運動が『競技』として認知され、賞金を貰えることに対して何の疑問点も上がらないのに、アーケードゲームの大会で優勝し、賞金が出たら否定的なことを言う方がいらっしゃるのはなぜでしょう?
線引きは各個人が決めるものですが、それを他人の線引きや努力の結果を否定したりするのは、あまりにも無慈悲なのでは?…とは私は思いますね。
難しいところなので、この回答はひとつ"考え方"として捉えてください。
ですが、プロゲーマーも日々努力し、一つの成果・結果として賞金を貰って、生活しているということだけは、御理解していただきたいと思います。
sabo
>野球だってテニスだってスケートだって、考え方を変えれば『娯楽』にもなり『競技』にもなります。
>プロという枠組みも、雀士もボーラーもゲーマー、野球選手もテニス選手、サッカー選手も、"プロ"と言われる以上は同じ枠組みのはずです。
>ですが、体をフルに使った運動が『競技』として認知され、賞金を貰えることに対して何の疑問点も上がらないのに、
>アーケードゲームの大会で優勝し、賞金が出たら否定的なことを言う方がいらっしゃるのはなぜでしょう?
プロスポーツの世界に対して否定する方も一定数いますよ。
その方々の声を無視できるほどに世界を大きくする努力をした先人達がいたからこそ今に至っているのだと思います。
この辺はIT業界もネタに困らないくらい大勢の先人がいますね。
私は、今まではコンピューターゲームを認知させるために多くの方が努力された時代、
今のe-Sportsビジネス分野は、先人となり得る人たちが頑張っているところだと思ってます。
スーパーアーマーキャラばっかりのゲームにアーマーブレイカーを持つキャラが追加され、今後も追加されるのか、別タイプのキャラが増えるのか興味深いですね。
Anubis
>ですが、体をフルに使った運動が『競技』として認知され、賞金を貰えることに対 して何の疑問点も上がらないのに、アーケードゲームの大会で優勝し、賞金が出たら否定的なことを言う方がいらっしゃるのはなぜでしょう?
すごく良い問題提起だと思います。
なので、一言だけ言わせてもらう。
「このコラム、いいぞ。」
abc
>ですが、体をフルに使った運動が『競技』として認知され、賞金を貰えることに対 して何の疑問点も上がらないのに、アーケードゲームの大会で優勝し、賞金が出たら否定的なことを言う方がいらっしゃるのはなぜでしょう?
個人的には、単純にカッコ良く見えないからだと思いますけどね。
ルールとか知らなくてもカッコいいなと思える人が出てくれば
イメージ変わるはず。
みねるば
>ですが、体をフルに使った運動が『競技』として認知され、賞金を貰えることに対 して何の疑問点も上がらないのに、アーケードゲームの大会で優勝し、賞金が出たら否定的なことを言う方がいらっしゃるのはなぜでしょう?
ここまでたどり着けたなら、何故そうなっているのか?の考察をして、(たとえ現実味がない方法であっても)自分なりの解決案を提示できればAnubisさんみたいになれるよ。きっと。
良い思考トレーニングになると思います。
がんばれ。