システムオーディタ川辺によるキャリアアップを目指したIT資格取得に関するコラム

(新)目指せ、システム監査人!!(3)

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◆システム監査は任意監査、改善指向型監査です

 新入社員時の朝礼で、部長がいった言葉を昨日のことのように思い出します。

部長:「今日は、監査だ。いらないことはいわないように!」

 ぽかんとしていたわたしを見て、さらに部長は続けました。

部長:「もしたずねられたら、次のように答えなさい。『担当の者がお答えします!』」

 わたしは、「一般社員は監査では答えたらいけないのか」と思いました。

 時を経て立場が変わり、監査人として被監査部門の方にヒアリングするようになりました。質問する方のお顔を拝見していると、

 「多くの部署があるにもかかわらず、どうしてわたしの部署なのか?」

 「部署にも多くのメンバーがいるのに、どうしてわたしに質問をするのか?」

と思っているように感じることがあります。

 監査は、法律の定めに基づいて実施される「法定監査」と、組織の意思に基づいて実施される「任意監査」に大きく分類されます。

 法定監査は強制監査であり、「摘発型監査」に分類されるのに対し、強制でない任意監査は、「改善指向型・フォローアップ型」監査と呼ばれています。

 ですが、一般には監査というと、「摘発型監査」の印象が強いように思います。

 先の新入社員時の経験は、監査に対して摘発型監査のイメージが強いため、「余計なことをいったら大変なことになる!」の意識が反映したものでしょう。

 つまり、監査があるというと、「オオカミが来るぞ」といった感じになるのです。

 システム監査も監査の一種、監査を受ける多くの方は、そのように思われるのではないでしょうか。しかし、システム監査は摘発型の法定監査ではなく、「任意監査」で「改善指向・フォローアップ型」の監査です。「現場の業務を改善する」という発想に立って実施する監査であることを理解していただきたいと思います。

 わたしは、システム監査のヒアリングに際し、次のようにお話しすることにしています。

 「システム監査はオオカミが来るぞの監査ではありません」

 「皆さんの業務を改善し、結果として皆さんの会社のお役に立ちたいのです」

 「現状ありのままをお話しいただけませんか」

 オオカミが来るぞ監査ではない「システム監査」、ご理解いただけましたでしょうか。

 わたしは、公認システム監査人特別認定講習の講師をしておりますし、多くの方にシステム監査人に興味を持っていただけたらと思います。

 (新)目指せ、システム監査人!!(3)終わり

Comment(4)

コメント

banana

システム監査については悪いイメージしかありません。監査対応にけっこうな工数をかけるにも関わらず効果が見えない。監査の指摘事項はやらなくてもかまわないだろうというのがしばしばある(入室の管理簿をみても誰が許可したかわからないから許可した人の氏名も書けなど)。監査人は現物をみることなく書類で審査する。勢い指摘事項は書類の不備。その不備も監査人が監査に差し支えるから不備なのであって、現場にとっては不備でも何でもない。
ふらりとやってきて数日書類を見ただけでの監査人が思いつくような改善は現場ではとっくにやっているはずだ。やっていないとしたら不要なのだろう。監査人という人種がそう考えることがないはよほど自分の能力に自信をもっているからだろうと羨ましくなるときがあります。

監査人かわべ

コメントありがとうございます。
SE経験が長く監査を受ける立場でもあった私は、お気持ちよく理解できます。

監査の場合、大きく2つの方法があると思います。
(1)規格や基準、ルールが整備されているかどうか・・整備状況、
   その通り実施しているかどうか・・・運用状況
(2)その組織のリスクは何か、放置したら顕在化する可能性のある
   リスクはないか。
おしゃっておられる監査は(1)の監査ではないかと思います。
(2)の監査は難しい。

指摘の内容自体も2つあると思います。
(A)内部の方が分かっていることを第三者としても指摘する。
(B)内部の方が気が付いていないことを第三者として指摘する。

(B)は難しい。

システム監査20年になりますが、失敗の連続です。
現場で何年も実施されている組織に対し、短時間で
(2)(B)を如何に指摘できるか。本当に難しいです。

しかし、この点の指摘がないと次の監査依頼はない覚悟が必要とも言えます。

もちろん、職業なので真剣勝負で厳しいですが、頑張りがいがあります。

banana

監査人にリスクはありません。
監査人を変えれば監査される側にやましいことがあるのだと疑われます。その一方で監査人に能力があるのか問われることはありません。負担は監査される側にのみあります。そこに魅力があるからこそ物づくりのできる立場を離れて監査人になりたがる人がいるのでしょう。
内部の人が気が付いていなことを外野席の人間が指摘できると考えるのは傲慢です。なにか意味があることをしたいのなら外野席から批評せずグラウンドに降りてプレーするべきです。

監査人かわべ

コメントありがとうございます。
私もSE10年の経験があり、監査人なんかに分かってたまるかと
思っていましたので、傲慢と思われるのも当然です。
ただ、現在の私が実施してるシステム監査は法定監査や制度監査のシステム監査ではありません。1回1回の契約です。法の定めに基づく摘発型・強制監査ではなく1回で終了することが基本の形態です。
実際に有効でなければ次回はありません。その覚悟で1匹狼でリスクを負って監査をしています。

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