システムオーディタ川辺によるキャリアアップを目指したIT資格取得に関するコラム

論文のある情報処理技術者試験合格を目指して(2)

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1.システムアーキテクト、ITストラテジスト試験の出題数が3問のままの理由

 秋に実施される論文のある情報処理技術者試験のうち、出題数が3問から2問になるのはITサービスマネージャ試験だけです。「ITストラテジスト試験」、「システムアーキテクト試験」は現行3問のままです。

 「どうしてですか」と質問がありましたので、個人的な意見ですが、お答えしたいと思います。
「ITストラテジスト」試験は「旧システムアナリスト試験」とユーザーサイドの「上級システムアドミニストレータ試験」が統合された試験です。

 平成20年までは別々2つの試験で各3問ずつの6問が出題されていました。そして、平成21年から2試験が統合されたのを受けて3問に統合されました「システムアナリスト試験」の3問と「上級システムアドミニストレータ試験」の3問が統合されたため、2問にすることには、無理があるように感じます。

 一方、「システムアーキテクト試験」は「旧アプリケーションエンジニア試験」に該当します。そして、現行制度になった平成21年度から組み込みシステムが対象範囲に組み入れられ、論文試験にも反映されるようになりました。実際、3問目が組込みシステムの論文問題として出題されています。

 また、内部設計担当者を対象とした「プロダクションエンジニア試験」が廃止された際、「アプリケーションエンジニア試験」と「応用情報技術者試験」に統合されたという歴史を持っています。こうした理由から3問から2問への出題数削減は難しい面があると推測できます。

2.設問アの下書き記述開始にあたって入手すると効果的な資料

 まず、設問ア800字の下書きを考えてみましょう。最近は変則的なケースも散見されますが、一般的な論文試験の設問アは「あなたが●●に携わった情報システムの概要」がテーマです。●●はシステムのライフサイクルによって、「情報戦略/企画→開発→運用→保守」といったように変化します。

 システムのライフサイクルに対応する資料を挙げてみると、

  • ITストラテジスト:情報戦略、全体システム化計画、個別システム計画
  • システム企画
  • システムアーキテクト:要件定義、システム設計
  • ITサービスマネジャ:システム運用、システム保守

といった具合になります。

 いずれにしても、情報システムのプロフィールが中心ですので次のような関係資料を入手するといいと思います。

  • ITストラテジスト:情報システム中長期計画、システム開発計画書
  • システムアーキテクト:システム要件定義書、システム外部設計書、システム内部設計書
  • ITサービスマネジャ:システム運用手順書、システム運用スケジュール、といった具合です。

 これらの資料には、情報システムのプロフィールに該当する内容が記載してあるからです。

3.入手資料から「あなたが携わった情報システムの概要」をピックアップ

 本番試験では論文だけでなく、「あなたが携わった情報システムの概要」を別途記載する必要があります。「あなたが携わった情報システムの概要」は情報システムの名称とアンケート方式で「あなたの役割」「開発規模」などのプロフィールについて該当数字を入れたり、項目を○で囲むことによって記述します。

 アンケート方式で記載するこれらの項目は、上記に挙げたシステム開発計画書、システム要件定義書、運用手順書等の入手資料からピックアップするとよいと思います。
 
 

 この中で最も重要なのは「情報システムの名称」です。そして、「情報システムの概要」は、例えば「メーカーA社販売管理システムの概要」と、具体的に記載することがポイントです。

 では、下書き作成に当たっては、どのような情報システムを選択したらよいでしょうか。
実際、これは重要です。次回は、「あなたが携わった情報システムはどのようにして選択するのがよいか」について考えてみたいと思います。

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http://www.intergideon.com/newken/itstrategist.html

                  論文試験合格を目指せ(1)終わり
                                  川辺良和

 

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