(新)目指せ、システム監査人!!(5)
2011年4月17日に情報処理技術者試験が実施されますが、その中の1つとして「システム監査技術者試験」があります。システム監査としては年に一度の試験です。
これまでシステム監査技術者試験研修の講師を担当、60名以上の合格者とかかわりがあります。今回は、その中の合格者の1人、IT関連企業のM常務のお話です。
システム監査導入が必要となった時、システム開発・運用のベテランM常務は社長から「秋の情報処理試験、システム監査を受けたらどうか」と言われました(当時、システム監査技術者試験は秋に実施されていました)。
M常務は内心、次のように思ったそうです。
「皆に黙ってこっそり受けよう!」
なぜなら、システム監査技術者試験は難関で、簡単に合格するはずがないと思ったからです。
しかし、システム監査導入業務を担当するうちに思い直しました。
「こっそり受けたのでは、絶対に受からない!」
そして、ついに皆に宣言したのです。
「俺は秋のシステム監査技術者試験を受ける、だから休日のゴルフは誘わないように!」
そして、M常務の試験に向けた学習が始まりました。
「いまさら2進法や論理演算の学習はきついなあ!」と言いながらも、通勤時間を学習時間に充てました。
参考書を購入し、朝1ページ、帰り1ページの1日2ページ、試験までの90日間で200ページに近い午前問題の参考書を読みました。
また、論文については3200字ほどの下書き論文を作成しました。しかし、下書き論文を記載しただけでは、次の点が不足しています。
(1)下書き論文を記憶しなければ、試験場で記載できない。
(2)下書きはあくまでも下書き、本番試験のテーマは異なる。
(1)については、M常務はテープに下書き論文を吹き込みました。自宅から最寄駅までの徒歩時間は、テープを聞きながら通ったと言います。社員旅行にまでテープを持参し、温泉後にも聞いていたそうです。
(2)については、3つのテーマを想定し、ベースとなる論文にどのように手を加えると効果的かを考えたそうです。これは、試験で必要となる時間を、事前に体験する取り組みです。
極めつけは、試験前1週間です。M常務は胃腸が弱いので、食生活にも体調を維持するため、「生ものを避ける」などの気配りを行ったそうです。
また、当時は電卓(プログラム機能のないもの)の持ち込みが可能だったので、予備の電池や消しゴムなどを持っていくなど、万全の準備で臨みました。
M常務の試験の結果は? ……見事1回のチャレンジで合格されました。60歳を超えていたので、その年の日本最高齢合格者ということでした。
私は、M常務の会社のシステム監査導入支援をしていましたが、常務のお話を聞き、「合格へのただならぬ覚悟」を感じました。長いシステム監査試験指導経験でも、ここまでの「覚悟」を持って受験した人を知りません。皆さん、いかがでしょうか。
最後に来春向け、システム監査技術者試験参考書として、『システム監査技術者「専門知識+午後問題」の重点対策〈2011〉』が出版されました。「出版記念セミナー」と合わせてご紹介いたします。受験予定の方、合格を目指して頑張りましょう。応援します。
(新)目指せ、システム監査人!!(5)終わり。