システムオーディタ川辺によるキャリアアップを目指したIT資格取得に関するコラム

最後まであきらめない論文対策(1) ITストラテジスト対策

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 早いもので、いよいよ情報処理試験が開催される10月です。わたしもこのところ、論文対策講師の仕事が続いております。日も残りわずかですが、最後まであきらめない受験者の皆さんのために、論文対策のノウハウをお話ししたいと思います。

■今年は新制度2回目の試験

 昨年から新しい試験制度になり、今年は新制度2回目です。初年度は頼るものもありませんでしたが、今年は昨年の情報が大変参考になるといえます。例えば、システムアナリスト試験と上級システムアドミニストレータ試験が統合されたITストラテジスト試験の午後II(論文)試験を見てみましょう。以下が昨年の問題です。

  • 問1 事業施策に対応した個別情報システム化構想の立案について
  • 問2 情報システム活用の促進策の立案について
  • 問3 開発工程の遅延に対処するための組み込み製品の企画変更について

■重要な問題の分析

 試験区分の統合はありましたが、試験範囲としては、情報システムに加え、組み込みシステムが加わり、具体的に問3のテーマとして出題されました。

 内容もそうですが、出題のタイトルからも、問1はシステムアナリスト試験、問2は上級システムアドミニストレータ試験、問3は組み込みシステムを対象とする問題といえます。

 論文問題を考えると、情報システムの開発担当の受験者は問1を選択する方が多いのではないでしょうか。問2の情報システム活用は、上級システムアドミニストレータでの利用部門や組み込みシステムに経験がないだろうというのがその理由です。今年は変化があるかもしれませんが、昨年の傾向をふまえるとシステム開発者向け問題は問1のみになります。

 逆に、組み込みシステムの開発者は論文試験へのチャレンジの道が開けたといえます。ただ、問3は組み込みシステムでもテーマが限定されています。チェンジマネジメントが重要と叫ばれてはいますが、企画変更経験がない方の選択は難しいように思います。

 事前に問題を予想し、分析することは重要です。試験場で初めて気がつくより、事前に状況を把握できれば、作戦を考えることができるからです。

■ITストラテジスト:通常の情報システムの開発者は、問題選択は?

 一般の情報システムの開発者は、問1を選択するのが一般的ですが、ポイントとしては、ITストラテジストは開発段階ではなく――すなわち「情報システムの計画段階、企画段階が対象」ということを認識する必要があります。まだ開発が決定する前、あるいは開発は決定したが、開発に着手していない段階だということです。

■開発者は、あまり経験がないシステム企画段階

 ITストラテジスト試験の対象者には情報システム部企画部署やシステム企画部門の担当者などが該当しますが、システムアナリストやITストラテジストの受験者はこれまでの経験から、企画より情報システム開発部門の方が多いように感じています。また、企画部署の担当者ですと、自社の情報システムの企画段階に該当しますが、開発担当者ですと、顧客の情報システムの企画段階を対象とした方がよいようにも思われます。

 つまり、

  • 自社システムで記述するか
  • 顧客システムで記述するか

 この判断によって、論文記載のパターンは大きく変わってくると思います。

■全体システム化計画か、個別システム化計画を対象とするか

 さらに、システムアナリスト試験に出題された問題を見ると、次の大きく2つのタイプの問題に分かれることが分かります。

  • 全体システム化計画(情報システムの全体計画)
  • 個別システム化計画(情報システムの開発計画)

 全体システム化計画の策定にかかわる経験は少ないでしょう。ただし個別システム化計画については、かかわった情報システム開発の計画書なども入手できると思われますので、比較的取り組みやすいかもしれません。まず、個別システム開発計画書を入手してみることが重要でしょう。

 過去問を入手し、必要情報を分析することの重要性がお分かりいただけたでしょうか。手前味噌になりますが、「あきらめない受験者の方のための論文対策」も開講しておりますので、ご紹介いたします。

 次回はこれから非常に有望な資格と思われます、ITサービスマネージャについて説明したいと思います。                              

最後まであきらない論文対策(1):終わり

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