システムオーディタ川辺によるキャリアアップを目指したIT資格取得に関するコラム

最後まであきらめない論文対策(2)ITサービスマネージャ

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 いよいよ情報処理技術者試験まで残り5日ですが、最後まであきらめない受験者の皆さんのために、「昨年の試験が参考になる」とお話ししました。今回は、ITサービスマネージャ受験者のために、論文のノウハウをお話ししたいと思います。

■ITサービスマネージャ試験論文対策

 クラウドコンピューティングが叫ばれるている状況、また、今後のクラウドコンピューティング化を考えると、ITサービスマネジメントは不可欠であり、加えてグローバルスタンダードITILをベースにしている点から、ITサービスマネージャ試験は非常に有望な資格といえます。

 午後II(論文)試験、以下が昨年2009年の問題です。

  • 問1 変更プロセスの確実な実施について
  • 問2 ITサービスの改善計画の立案におけるサービスデスクの活用について
  • 問3 事前予防的な問題管理について

■設問ア記載の戦略

 設問アで問われる内容は、以下の2つといえます。これは、問1~3まで共通です。

(1)ITサービスの概要

(2)テーマ(変更プロセス、改善計画、分析し判明したインシデント)の状況

 試験は出題の主旨に沿って解答することを求めていますので、設問アは以下の構成見出しをつけて記載すると効果的です。主旨に沿った記述をアピールできるからです。

I.××ITサービスの概要と(テーマ)の状況

 I-1.××ITサービスの概要……500~600字

 I-2.テーマの状況……200~300字

 また、構成見出しは1行(25字)を使用しますので、合計で3行(75字)使用することになります。すると、実際の記載は800字-75字=725字で、ボリューム的にも気を楽にしてくれます。

 何がテーマでも、1-1は同じテーマなので、事前準備が可能です。記載にあたっては、「建設業N社IT基盤サービスの概要」など、具体的な業界やサービス名を先頭に、600字を目標に記載することをお勧めします。テーマの状況は、変更プロセス、改善計画、分析し判明したインシデントなどについて。本番試験の場で作文する必要があるため、負担は少ないほどよいということで、最低限の字数として設定する方がよいでしょう。

★I-1.ITサービス概要を事前準備すべし。

I-2 テーマの状況200字程度のモジュールを練習すべし。

■設問イ記載の戦略

 2009年の設問イは、以下のテーマでした。

 問1:変更管理プロセスにおける問題と再発防止のための改善

 問2:改善計画の立案で対策案としての改善事項の選定

 問3:インシデントにおける潜在する問題と実施した解決策

 設問イは「テーマにおける工夫した点」を800字~1600字で述べるもの。1200字(800字用紙1ページ半)を目標に記載するとよいでしょう。工夫した点をいきなり述べると唐突な感じがしますので、構成見出しは、以下のようにするとよいでしょう。

II-1.テーマにおける問題点や問題意識

II-2.問題点への改善策

(1)~についてわたしの改善策 1(例:5分間ミーティングの実施)

(2)~についてわたしの改善策 2

 テーマについての問題点や、日ごろ感じている問題意識などを、II-1で400字を目標に記載し、問題点や問題を改善するために具体的に工夫した点をII-2で記載するのです。工夫は(1)(2)それぞれ400字を目標にします。(1)(2)の順は、本番試験で選択するテーマに近い工夫を(1)とすると効果的です。

 本番試験では、出題された問1~3を選択して記載することが必要なため、「わたしの工夫(改善策)」は、多くのテーマに対応できる工夫が好ましいです。本番では準備した「わたしの工夫」を出題テーマにフィットするようにアレンジすることが必要になるからです。

 多くのテーマにフィットさせる方法は、キーワードをベースにアレンジする方法が有効です。例えば、ユーザという用語は多くのシステム設計・開発運用の場面で利用される用語ですので、応用展開が比較的容易です。

 ユーザテスト、ユーザ要件定義、ユーザ受入れテスト、ユーザマニュアル、ユーザ参画、ユーザ責任者、ユーザ記録、ユーザID、ユーザパスワードなど、ユーザの付く用語は多いです。用語ユーザをベースに出題されたテーマに下書きで記載した「わたしの工夫」をアレンジしていくという作戦です。

■設問ウ記載の戦略

 設問ウは、以下のテーマでした。

問1:定期的確認のための方策と今後の課題

問2:利用者と図ったコミュニケーション

問3:定着のための取組と今後の改善点

 設問ウは、設問イの「わたしの工夫」との関係で記載すると有効です。

 設問イで実施した「わたしの工夫」の実施結果どうなったのか、今後の課題とともに記載させるのが出題の主旨と思います。

 論文について準備されていない受験者は、まず、設問アの「ITサービスの概要」を準備し、頭に入れること。これだけでも合格に向け大きく前進したことになります。

 手前味噌になりますが、「最後まであきらめない受験者の方のための論文対策」も開講しておりますので、ご紹介いたします。

 次回は、システムアーキテクトについて説明したいと思います。  

最後まであきらない論文対策(2):終わり

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