システムオーディタ川辺によるキャリアアップを目指したIT資格取得に関するコラム

目指せシステム監査人!!(1)

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■目指せシステム監査人!!(1)

 秋の情報処理試験も終わり、気の早い人は来春は「どの試験を受けようか」と迷っている方もおられると思う。春の情報処理試験では、「システム監査技術者試験」も実施される。

 今回からは、わたしの本業「システム監査人」の話をしてみたい。

■「システム監査技術者」と「システム監査人」について

 「システム監査技術者」は技術者、システム監査人は監査人の呼称。システム監査人は「監査人(auditor)」で「エンジニア(engineer)」ではないという話がある。

 システム監査技術者は「システム監査技術者試験の合格者」を指す用語であり、必ずしもシステム監査実施者の「システム監査人」ではないという根拠に基づくものだ。

 技術者の呼称は、「システム監査技術者試験」が「情報処理技術者試験」の中に位置づけられたため、技術者試験の用語を使用したという話を聞いたことがある。

 システム監査の実施には「システム監査の知識」と「システム監査の経験」が欠かせないが、「監査人」、「技術者」の用語の違いではなく、監査依頼者の組織をよくするために「システム監査」に何ができるかが重要だ。

 その一方で、「システム監査技術者試験合格」が「システム監査人への道」を開いたのも、また事実である。わたしの場合は約10年、企業の情報システム部でのSEの間にシステム監査技術者試験に合格したが監査経験はなく、「システム監査学会」と「日本システム監査人協会」に入り研究会などに参加しながら経験を積んでいった。

 情報システムの構築・運用者と情報システムの評価者は立ち位置が異なる。しかし、会社を退職・独立してシステムコンサルティングを行う際に、情報システムを客観的に評価するシステム監査の考え方は非常に有効であったのは紛れもない事実だ。そして、実際に対価をいただき、「システム監査」を実施したのは合格から8年後の1995年であった。

 現在は、

  • 情報システムが社会に深く浸透した時代
  • インターネットが益々浸透し、情報が時空を超える時代
  • 災害、障害、故意、過失など何が起こるかわからない時代
  • 実際に調べてみないと分からない時代、    
  • 説明責任を問われる時代      

とも言われている。

 昨年からは内部統制監査が法定監査になり、IT統制が叫ばれる時代になった。こうした時代にあって、第三者が情報システムを客観的に点検・評価する「システム監査」は非常に大きな役割を担っているのは間違いない。

現実的には、

  • 厳しい経営環境にあって、システム監査に割く資源はない
  • 現実に事故や障害が発生していない
  • システム監査はコストを要し、開発や運用の進捗の妨げになる

といった否定的な考え方もあるが、

  • 1人でも多くの方が「システム監査」に関心を持っていただきたい
  • 「システム監査人」を目指していただきたい

と願っており、これまでシステム監査実務15年、またシステム監査技術者試験の講師として60名以上の合格者を出した経験が、皆さんの少しでもお役に立てばと幸いである。

 ■□目指せシステム監査人(1)終わり。

Comment(4)

コメント

元和

今回からのテーマは楽しみにしています。
今年の春にシステム監査技術者に合格したものの、試験前も試験後も今ひとつ
位置付けがわからなくて・・・。
今回の「システム監査人」を理解することで、クリアになればいいなと思ってます。

# よく、そんなんで試験受かったなと言われてしまいそうですが・・・。

元和さん

コラムを読んで下さってありがとうございます。

今春のシステム監査技術者試験合格、おめでとうございます。

有望なシステム監査資格ですので、

これから資格が生かされる道を考えられるといいですね。

しっぱ

はじめまして。
システム監査・・・・・

以前SIerに勤務していた時代の記憶からすると怖いイメージが・・・・・w

技術者目線で話すと「正常に動いてるし、パフォーマンスも出てるのに修正なんて!」
ってイメージでした。(あくまでも私個人の感情としてです)

ただ、現在は少ない人数の会社でシステム構築しています。
現在の立場からすると監査して頂いて、一技術者レベルで考えるよりも上のレベルで見てトラブルの可能性のある部分を指摘して頂いていたことで「棚卸」が出来ていたのかなと思っています。

「一技術者=監査人」になれれば非常にセキュア且つ安定性のあるシステムが構築できるのかもしれませんね。

恥ずかしながら「システム監査技術者試験」自体に知識がなかったのですが、ちょっと興味がわきました。

とりあえず本屋で立ち読みするところから始めてみますw

しっぱさん
コラムを読んで下さってありがとうございます。

監査という言葉があまりよくないですよね。

でも、システム監査人の目線でお仕事が見れるようになると
また違った方向性が見えたりすると思います。

私も「ITマネジメントの基礎(アイテック)」
の中で「第3章システム監査」を書いてます。
書店でよろしければご覧下さい。

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