Best of Both Worlds
■立ち上がれ燃え上がれ日本!(のエンジニア)
どうも、鹿島和郎(かしまかずお)です。元来ひねくれ者のせいか、人と同じことをするのはあまり好きではないのですが、今回は@ITの編集から出された以下のお題に乗っかってみようと思います。
お題:「1年、2年後のキャリアビジョン」
……重たい話題です。普通こんな重たい話を他人の前でしないですよ。@ITは何考えてるんでしょうかねー。理解不能です。このお題に乗っかるもの好きな人なんてあまりいないと思うんですが……。
なーんてことは多分なくて、ITエンジニアは外見はそうでなくても内面がアツい人が多いようなので、今回のお題も大盛況となるのではないでしょうか。
さて、こう見えてアツいITエンジニアである鹿島の「1年、2年後のキャリアビジョン」。漠然とした目標みたいなものはいくつかあります。ただ、「小さくてもいいので、プロジェクトのリーダーとして経験を積んでいきたい」といったことをわたしが書いてもあまり興味を持ってもらえなさそうなので、コラム名に相応しく(?)「日本と海外」という切り口で書いてみたいと思います。
■Best of Both Worlds
以前このコラムで「海外ITエンジニアのメリット」についてを書いたかと思います。それとは逆に、何回か「海外≠ユートピア」ということも書きました。要は、日本と海外、どちらも良いところがあり悪いところもあるわけです(そして、「良い」「悪い」は多分に主観的なものです)。
さて、今回のタイトルの「Best of Both Worlds」ですが、意味は「両方のいいとこ取り」って感じです。もうお分かりかと思いますが、「日本で働く」のと「海外で働く」ののいいとこ取りをして仕事をしたい、というのが今回のテーマです。
○日本:故郷、質の高いサービス
では、日本で働くメリットって何でしょう。いろいろあるとは思いますが、わたしが日本に帰国した理由の1つである、「家族・友人の存在」について、まずは挙げたいと思います。
若いうちは、何年間も日本から離れ、異国の地で色々やってみるというのもまったく問題ないと思いますが、年を取るにつれて家族や親戚は年を取っていき、そのうちバタバタと亡くなっていきます。そんな中で、海外に生活の拠点を持って、さらにはそこに骨を埋めるというのは、多くの人に取って相当な覚悟というか決心だと思います。
また、海外に住むと古くからの友達とは会う機会が少なくなり、だんだん疎遠になります。もちろん海外での新しい友達とかもできるでしょうが、人間にとって何かを失うというのは常に悲しいものだと思います。
後は、ほぼ全ての面で日本は便利です。よく過剰サービスだなんて言われるくらいですので、一度それに慣れてしまうと海外では当然自分の要求レベルを下げなければいけません。サービスレベルが下がると不満が出るのは、日常生活でもITでも一緒です。
○海外:好待遇、観光、その他
海外で働くメリットについては以前少し触れましたが、英語が話せるようになったり、日本国内だけでなくもっと広いマーケットを対象に仕事ができる、などがあるかと思います。
実は本コラムではまだ触れていませんが、それ以外にもかなり大きなメリットがあるのです。それは「待遇」です(いろいろ下調べをしてから書こうと思って延び延びになっています)。
前にもどこかで書いたかもしれませんが、海外ニートさんという方が書いている「ニートの海外就職日記」という割と人気のあるブログがあるのですが、彼はそのブログで日本の労働環境の劣悪さを日夜啓蒙活動中です。海外ニートさんの意見にはわたしも7割くらいは同意で、有給を消化できないとかサービス残業とか、そういうのってやっぱりおかしいと思います。
特に日本のIT業界には「ブラック企業」なる会社が多数存在しますが、そうした会社で働いている人たちにとっては、海外の普通の待遇の会社でさえも天国のように思えるかもしれません。
別のメリットの話に移りたいと思います。個人的な話になってしまいますが、わたしは以前フィリピンのセブというところで勤務していました。ご存じの方も多いかとは思いますが、セブは有名なダイビングスポットで、日本人観光客も多数訪れます。しかも、わたしが住んでいたところからそうしたリゾート地まではタクシーで30分くらい(タクシー代は往復で1000円強)でした。
平日はしっかり仕事をして、土日はダイビングをしたりビーチでノンビリしたりってのは、日本だと沖縄に住んでいる人くらいしか味わえないのではないかと思います。
魅力的な観光地は世界中にあります。例えばパリで働けたら毎週末に美術館を巡り放題ですし、NYだったらブロードウェイやらショッピングやら、いろいろ楽しめそうです。
■オフショア開発でいいとこ取り……したい
さて、だらだらと書いてしまいましたが、ようやく本題です。
上述の日本と海外のメリットをいいとこ取りできる方法ということで、若干安易な考えではありますが、以下がわたしの出した結論です。
「オフショア開発」でいいとこ取りをする!
わたしは、前職のアメリカ企業でオフショア開発のPLをやっていたのですが、今度は日本を拠点にオフショア開発に関わりたいと思っています。直接開発プロジェクトに関わってもよし、間接的でもよし。
わたしはどちらかというと開発系がメインのエンジニアですので「オフショア開発」としましたが、「開発業務の一部を海外にアウトソースする」という文章の「開発業務」を、ご自分の立場に応じて「サポート業務」「運用業務」「データセンター」などに置き換えてもらえば、皆さんもいいとこ取りができる……かもしれません。
なお、企業のアウトソーシング戦略にまで話題を広げてしまうと収拾が付かなくなってしまいますので、
「(是非はさておき)『何らかの業務を海外にアウトソースする』という仕事に現在需要があり、今後も需要が見込まれる」
というのを話の前提としたいと思います。
○方向性を検討
では、そのために必要なことは何でしょうか。環境・状況面での大きなレベルでの話をすると、以下の2つでしょうか。
- オフショア開発をやる会社
- 1.を使うユーザー企業
1.ですが、最近はオフショア開発はそれほど珍しくなくなりました。中小企業でさえ中国やら東南アジアに開発子会社やパートナーを持つ時代です。これに関しては以下のような選択肢がぱっと思いつきました。
- 自分の会社でオフショア開発をする
- 今はオフショア開発をしていないが検討中の会社をサポートする
検討の結果、前職でセブにオフショア開発拠点を立ち上げた経験、(大したもんでもありませんが)現地でのコネを生かして、1.bでやっていこうという結論に至りました。
○やるべきことを検討(個人的な話です)
1.bに関してですが、「オフショア開発を検討中の会社」を見つけるために必要なことを考えてみました。
- 人脈を広げ、人づてで紹介してもらう
- 多くの企業にオフショア開発のメリットを理解してもらい、成功例を広める
これは両方必要そうです。前者(1.b.i)ですが、わたしに限らずITエンジニアはあまり外の出る機会のない人が多いので、まずはいろいろなところに顔を出して人脈を広げる、というのがわたしのここ1~2年でやるべきことリストの一番上に来るのかと思います。
後者(1.b.ii)に関してですが、以下の2つが考えられます。
- 自分で成功例を作って広める
- 他社の成功例を広める
「い」はあまり面白いと感じないですし、人の成功を語っても言葉に重みがないので、「あ」で行く方がよさそうです。なので、先ほどの1.aと1.bは二者択一の選択肢ではなく、1.aの後に1.bをやればいいってことのようです。
ということで、以下の順序でやっていく予定です。
- 規模にもよるが、開発案件は積極的に海外のパートナーを使っていく
- 成功例をたくさん作って広めていく
- ブリッジSE候補など、ITエンジニアに対する教育(英語、オフショアプロジェクトの管理)の仕事をやっていく
この3つに、一番最初の「いろいろなところに顔を出して人脈を広げる」を加えた4つが、ここ1~2年でわたしがやるべきことのようです。
■ビジョンって何?:「そもそも」について
少し調べてみましたが、「キャリアビジョン」という言葉は人によっていろいろなとらえ方があるようです。
- どうなりたいか
- その為に何をすればいいのか
ここまではこの2点について長々と書いてきましたが、人によっては「それはビジョンとは呼べない」というかもしれませんので、「どうなりたいか」のそもそもの背景となっている考えについてもさらっと書いてみます(※)。
※本当は「さらっと」ではなく長文を書いていたのですが、話がまとまらなかったためその部分は別の機会で1つのトピックとして書こうと思います。
○「ITエンジニアってすごいんだぜ」に役立ちたい
仕事をする大きな目的は「自分自身の幸福追求」のためなんですが、それだけでなく「ITエンジニア」が尊敬される職業になって欲しいという思いがあります。
前述のとおり、ITエンジニアにとって日本と海外のいいとこ取りをする1つの方法がオフショア開発に関わることだと思っているのですが、自分だけでなく他のITエンジニアにもそのメリットを享受してもらいたいなぁなんて、1人で勝手に考えてます。その実現のために、英語やその他の面で少しでも他のITエンジニアの役に立てれば、っていうのが「そもそも」です。
○「日本人ITエンジニアってすごいんだぜ」に役立ちたい
これも初回のコラムに書きましたが、世界での地位があまり高くない日本のIT。日本企業がどんどん海外に進出していけば状況は少しずつ変わっていくのではないでしょうか。
企業にとって、オフショア開発は海外進出の第一歩になると思いますし、そうした動きに関われれば楽しいだろうなぁというのが、もう1つの「そもそも」ですかね。
■最後に
GW中で時間があったので長文になってしまいました。ITエンジニアに限らずキャリアに関して考えるというのは重要なことだと思いますので、わたしにとっては良い機会になりました。現実逃避したかっただけなのかもしれませんが。
次回は通常モードに戻りまして、「みんなのIT英語」の第2弾となります。
ではまた次回。