海外IT企業で働いていた純日本人エンジニアがいろいろと考えてみる。

パーティーと勉強会

»

 どうも、鹿島和郎(かしまかずお)です。私が子どものころにはまったくなじみがなかったHalloweenですが、日本でもここ5~10年くらいで急速に認知されるようになり、先週末は至るところでハロウィーンパーティーが開かれていたようです。お菓子業者などがもうけるネタ作りに必死になっている様子が、垣間見えたようです。

 さて、今年の9月に思いつきで始めたScala勉強会ですが、皆さまのご協力のおかげで開始してから約2カ月が経ち、だんだん軌道に乗ってきたように見えます。今回は「パーティー」と「勉強会」という、一見何の関連もなさそうな2つのことについて書いていこうと思います。それらの共通点はというと、

 「人が集まる」

です。さらにいうといろんな人が集まります。

■Party, Party, Party!

○飲み会(≒パーティー)のスタイルあれこれ

 もともとそういう文化なのか、人を呼べるほどの広さがないという(大都市の)住宅事情が影響しているのかは分かりませんが、日本では「知り合いを家に招いて食事をする」のはそれほど一般的ではないように思えます。(私は未経験ですが)結婚前に婚約者を家に呼んで親に紹介するとか、結構改まった場面でないと、食事会はやらない気がします。

 飲み会にしても、学生などがお金を節約するために部屋飲みをするのを除くと、普通は居酒屋で集まるのが一般的だと思います。

 それに対し、北米では(多分ヨーロッパも)家に友だちを呼んで食事会やパーティーを行うのが割と一般的です。もちろん、国や文化、年齢によってスタイルは大きく異なりますが。

 中でも、皆が食べものや飲みものを適当に持ち寄って集まる「potluck」は、ごく一般的に行われているようです。

○ホームパーティーをやってみて

 私が住んでいたモントリオールはそれほど大きな都市ではなく、徒歩圏内、あるいはせいぜい電車+徒歩で30分以内のところに住んでいる友だちが大半だったため、よく友だちを家に呼んでホームパーティーをやっていました(極度の出不精で、外に出るのがめんどくさいので友だちを家に呼んでいたという理由もありますが)。「パーティー」というとなんだかおしゃれな感じがしますが、実態は集まって飲んで話すだけの単なる飲み会です。

 ただ、居酒屋で飲むのとの大きな違いは、以下の2点だと思います。

  • 席の移動が自由なので、いろいろな人と話しやすい
  • 友だちを連れて来てもOKというのが一般的なので、新しい知り合いができやすい

 向こうに引っ越して一番最初のホームパーティーは、友達4人と自分の計5人でのこぢんまりとしたものだったのですが、3年後ぐらいになると知り合いが増えてきて、毎回30~50人ぐらいが集まっていました。

 別に人数が多ければいいわけではないですが、毎回楽しみにしてくれる人もそれなりにいたので、飲み会の幹事(≒パーティーのホスト)としてはまぁまぁうまくやっていた方なのかなと思います(※)。

※念のため書いておきますと、(直接面識のある方はご存じかと思いますが)私自身は別にparty animalというタイプではなく、単にお酒が好きな普通のエンジニアです。

■勉強会、始める前と始めた後

 さて、話は変わって勉強会です。私は今年の夏まで、勉強会をはじめとするそのほかコミュニティ活動は、運営する立場はおろか、参加したことすらありませんでした。なぜ勉強会をやろうと思い立ったかについては、以前のコラムに書きましたので、そちらを参照していただくとして、ここではまず、以前の私がコミュニティ活動に関して対して思っていたネガティブな印象、参加をためらわせていたことについて少し書こうと思います。

○難しそう。初心者に厳しそう

 1番目はこれです。

 「勉強会って詳しい人がたくさん集まって難しい話をしてそうだし、自分みたいな初心者が参加してもいいのか?」

なんて思ってました。自分みたいなよく分かってない輩が参加したら、白い目で見られたり、あるいは「もっと勉強してこい!」みたいに怒られたりしないか、という不安も若干ありました。勉強会などへの参加をためらっているかなりの人が、これと似たような印象を持っているのではないかと思います。

 では、勉強会に参加した後に先ほどの先入観がどのように変わったかですが、「詳しい人がたくさん集まって」という部分はあまり変わっていません。勉強会に参加するのはスキル向上に意欲的な人が多く、当然スキルの高い人が多いように見えます。

 ただ、そうした詳しい方々の多くは初心者などにも寛容で、勉強する意欲のある人たちに対してはアドバイスをしたりしていて、その点は少し印象が変わった部分です。

 ちょっと考えてみると、世の中にこれだけ技術系のブログとかがたくさんあって、そういう人たちが自分たちの知識・技術を惜しげもなく公開していることからして、そういう人たちの多くがほかの人にいろいろ伝えたいと思っていることが分かるかと思います。

 多分、見せ方の問題なのかな、と思います。

○何か内輪で盛り上がってる

 「勉強会って、何か小さなコミュニティに閉じていて、新しく来た人が入りづらそう」

 こんな風にも思っていました。意を決して勉強会に参加しても、ほかの人たちが何か内輪ネタで盛り上がっていたらちょっと悲しいですよね。

 私はそれほど多くの勉強会・セミナーの参加経験があるわけではないので(3つ)あまり確かなことは言えませんが、それほど疎外感は感じませんでした。この辺は各勉強会の主催者が心がけているところなのではないかと個人的には推測しています。

 ただ、周りは当然知らない人ばかりなので、最初はそれなりに不安ではありました。隣に座った人に話し掛けたりして話相手ができると、一気に落ち着くのですが。

■共通点、自分なりのコツ

 最初に、パーティーと勉強会には「人が集まる」という共通点があると書きましたが、それらをうまくやるコツにも共通点があるのではないかと思います。

 「こういう勉強会だといいな」と私自身思った経験も踏まえ、以下に、私が考える「勉強会をうまくやるコツ」を書きたいと思います。

○全員が主役。全員が貢献

 勉強会は有志が集まって勉強する会なので、参加者全員の貢献によって成り立っていると思います。Scala勉強会 in 渋谷を始めたのは確かに私なのですが、「主催者」みたいにいわれるのはちょっと違うかなと思います。回を重ねてきて、最近では技術や発表の面でも運営面でも、ほかの人の貢献が非常に大きくなっているのが、そう思う理由です。そして、参加者全員が何らかの形で貢献しているのが健全な勉強会なのではないかとも思います。

 パーティーでもそうで、料理を作ってきてくれる人、ビールを作ってきてくれる人(注:日本では違法です)、デザートを持ってきてくれる人など、いろいろいますし。それ以外にも、早めに来て部屋の片付けを手伝ってくれたり、途中でお皿とかグラスを洗ってくれたりしてくれる人、面白い話で場を盛り上げる人、CDとかたくさん持ってきて音楽を流してくれる人、友だちを連れてきてくれる人、いろいろな人によって成り立っていると思います。

・いろいろな形での貢献

 一口に『貢献』と言ってもいろいろな形があると思います。「何か調べて発表する」というのはもちろんそうですが、「質問する」というのも貢献になると思います。いろいろなレベル・いろいろな視点を持つ人が集まるので、単に質問するだけで、他人にとっては気付きになったり議論のネタになったり、いろいろなよい効果を及ぼすので、「貢献」と言えるでしょう。もちろん「質問に答える」のも貢献です。

 そのほか、勉強会の告知・宣伝をしてくれるというのもありがたいです。勉強会に来た方には大体、

 「もしよければ、今度は友だちや同僚とかもご一緒にどうですか?」

と声をかけるようにしています。

 本勉強会にはWikiがあるのですが、そこに書き込むのも貢献だと思いますし、自分のブログに勉強会の感想や技術的な補足などのエントリーを書くのも、フィードバックという点で重要だと思っています。

 参加してくれた方が、上に挙げたようなこと(あるいはそれ以外でも)をどれか1つでもやってくれれば、それでOKかなと思ってます。

・いろんな人に話しかける

 私がしている貢献はこれくらいです。皆さんが発表された後の質疑応答のときにいろいろな人の意見を引き出す、あるいは勉強会の前後の時間に初めて来た人に話し掛ける、いままで発表したことのない人に「何でもいいんで発表しませんか?」とお願いしてみる、などです。

 小さな勉強会なので、参加している皆さんも、是非いろいろな人に話し掛けて交流を深めてもらいたいと思っています。

○多様性

 いろいろな勉強会のスタイルがあるので、これに関しては千差万別なのかとも思いますが、本勉強会では「Scala」というキーワードが絡めば何でもあり、ということにしています。

 主な理由として、Scalaはそれほどメジャーな言語ではないので、範囲を絞ると参加者が少なくなってしまうというのが挙げられます。また、勉強会は毎週開催しているのでネタ切れを防ぐ意味合いもあります。

 Wikiの過去の発表内容を見てもらえば分かると思いますが、周辺ツールの使い方、フレームワークの説明、言語自体に関する考察など多岐にわたりますし、レベルも比較的初心者向けから割と高度な内容まで幅広いと思います。

 参加者の方を見ても、Scalaを実際に仕事で使っている人、これから使おうとしてる人、単に興味があるだけの人がいますし、バックグラウンドもJava、C++、Ruby、Perl、Erlang、Pythonなどいろいろです(私のようにプログラムがメインの仕事でない人もいます)。いろいろな人が、独自の視点で意見を出すのが面白いと思ってます。

 また、最近は外国人の方も1名参加してくれています。今後はそういう状況がどんどん増えていくのではないでしょうか。

 パーティーにおいても、「多様性」は重要だと思ってます。やっぱりいろんな人が集まった方が面白いです。もちろん、たくさん集まればあまり話の合わない人も出てくるとは思いますが、その場合はその人との会話は適当に切り上げて別の人と話せばいいだけですし。勉強会も、毎回参加する必要はなく、興味のある会だけ参加すればいいというところはそれに似ているかなと思います。

■まとめ

 長くなってきたのでまとめます。パーティーと勉強会には意外と共通点が多いのではないかと思いますし、うまくやっていくコツみたいなものも結構共通してるのではないかと思います。

 私が考える「理想的な勉強会」は

  • いろんな人が集まって
  • いろんな意見が出て
  • 参加者全員が何らかの貢献をする

というものです。そのために必要なことは、

  • いろんな人を誘って
  • いろんな人に声をかけて
  • 各自の貢献を促す

ではないかと考えています。

 Scala勉強会 in 渋谷は、毎週水曜日20時から開催していますので、ご興味のある方のご参加をお待ちしております。何かご質問などがありましたら、以下までお気軽にどうぞ。

 Twitter: @kaigaiengineer

 メール: kashima あっとまーく shibuya どっと scala-users どっと org

 それではまた。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する