海外IT企業で働いていた純日本人エンジニアがいろいろと考えてみる。

海外ITエンジニアにまつわるホント・ウソ(1)

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◇自己紹介

 はじめまして。今月からコラムを書くことになりました鹿島和郎(かしまかずお)と申します。最初ということで、一応簡単に自己紹介をしておきます。

 1994~1998年:大学では情報系を専攻。

 1999年:2社でプログラムのアルバイトを行い、IT業界に足を踏み入れる。

 2000年~2005年3月:アルバイトの後、正社員、個人事業主を経験。ITバブルの波には乗れず。

 2005年4月~10月:長期休暇を兼ねてカナダ・ケベック州のモントリオールというところに旅立つ。本の執筆の仕事とかを細々とやりつつ、基本的には語学学校に通ったりノンビリする。

 2005年11月:ひょんなことからアメリカのIT企業のモントリオール支社でアルバイトを開始。

 2006年4月~:そのまま正社員に。その後、業務拡張のためフィリピンオフィスの立ち上げに参画し、しばらくしてからフィリピンに転勤。

 2008年9月~:家庭の事情により日本に帰国し、いまに至る。

 という感じです。帰国子女でも何でもない純日本人です。

 あまり自己紹介に長々と費やしてもあれなので、このくらいで(すでに長い?)。

◇本コラムの趣旨について

 「海外でも通用するエンジニアになる」という偉そうなタイトルですが、そもそも「海外でも通用するエンジニア」って何だろうとか、そうなるためには何が必要なんだろうとか、そういった事をたった3年の少ない海外経験を元に上から目線で語る、ってつもりではないんです。

 まぁ自分の考えを書きつつ、コメント欄を通じていろんな方の意見を聞いたりできればいいかなと思っていますので、もしご意見・ご質問などがあればお気軽にお寄せください。

 なお、このコラムはわたしの個人的な意見・経験を反映したものですので、海外でのITエンジニアの一般的な話ではないことはあらかじめ断っておきます。

 結局のところ、わたしは海外では1社でしか働いていませんし、そもそも「海外」って一口に言っても千差万別なんですよね。なので、自分が経験したことってのはそのごく一部にしか過ぎません。また、エンジニアとしてもようやく中堅となった程度でまだまだ足りない部分も多いのですが、そんな自分の話でも少しは参考になるところがあるだろうという事で、今回このコラムを書くことに決めました。

 今後いろんな形で海外に出ていかなければいけない・出ていきたいエンジニアが増えていくと思います。そうした人達には是非成功して欲しいですし(わたし自身もそうなりたいですし)、やっぱり海外の人達に「日本人ってすげーじゃん」って言わせたいですね。なので、少しでもそういう状況に近づけるようになればいいなぁと。

■さて本題

 さて、初回と言うことで何を書こうかといろいろとお題を考えていたのですが、今回は「海外ITエンジニアにまつわるホント・ウソ」にしました。海外ITエンジニア限定ではなく、海外生活なども含めたよく聞く話の真偽について書いていこうと思います。

◎「○年も住んでたんなら、英語ペラペラなんでしょ?」

 ウソ度数99%。

 これ、海外で生活していた人なら絶対聞かれたことのある質問ではないかと思います。
 
 トータルで3年ちょい海外にいたのですが、「ペラペラ」かと聞かれると、口が裂けても「はい」とは言えないです。3年目とかはさすがに仕事にあまり支障ない程度にはしゃべれるようにはなっていたのですが、同僚の英語はいつも聞いていて慣れてるからOKとしても、初めて会う取引先の人となると結構分からなかったりします。

 仕事で使う英語はまだいいんですが、映画とかになるともっと厳しいです。特にサスペンスとか、筋の凝ったものになるとお手上げです。映画館で「金返せこのやろー」と叫びたくなります。「パイレーツ・オブ・カリビアン」のような娯楽映画とかでさえも途中で??? ってなったりして悲しいやら情けないやらです……。「ザ・シンプソンズ MOVIE」とかその程度なら何とか大丈夫なのですが。

 わたしも最初は「1年くらい住んでいればほとんど問題ないくらいになるだろう」と考えていたのですが、実際にはそんな甘いものではなかったですねー。高校生とか大学生とかだと吸収力も早いので話は別だとは思いますが。

◎「海外だとオタク(geek、nerd)って結構クールなイメージなんでしょ?」

 ウソ度数70%。

 わたしもそう思ってました。でも、海外でも一般的には、オタクはそんなにいいイメージはないようです。あまり酷いイメージでもないようですが。

 グーグルとかではgeekだろうと何だろうと優秀な技術者の方が地位が高くて、マーケティングとかビジネス関係の仕事をする人の方が下に見られている、って何かの本で読んだことがありますが、そういう会社は少ない気がします。

 オタクにとって一番住みやすいのは、やはり今のところは日本じゃないかと思います。わたしは秋葉原の割と近くに住んでいます。

 あまりいないとは思いますが、「海外に行ってモテモテのオタクITエンジニアになってやるぜ」なんていうキャリアチェンジを考えている方がもしいらっしゃるのなら、一度考え直してみてはいかがでしょうか。

◎「海外だと堅苦しい人間関係とかなさそう」

 ウソ度数60%。

 これは環境に完全に依存すると思います。日本でも、堅苦しくない人間関係の環境で過ごしている人はたくさんいるはずです。

 あと、海外ならではの話としては、「日本人コミュニティの息苦しさ」が挙げられます。

 わたしのいたモントリオールでは、日本人の数が数千人程度だったと思います。それが年齢・立場などによって言わばいくつものグループに分かれています。学生の人はあまり主婦の人とは付き合いませんし、その逆も然りです。そうなると、各グループは非常に小さくなってきますし、友達の友達の友達位まで行くと大体自分の友達につながってきちゃいます。そもそも物理的にもそれほど大きな都市ではないので、買い物に行ったり遊びに行くと5割くらいの確率で知り合いに会います。

 わたし自身はそれほど頻繁には感じませんでしたが、それでもそうした環境に息苦しさを感じない人はいないのではないでしょうか。

 「○○さんと○○さんは別れた」とか「○○さんが彼女とは違う女の人と歩いていた」とか、そんな話はすぐ広まったりします。イヤですよね。

■最後に

 とりあえず初回なのでこの程度にしておこうと思います。今気づきましたが、あまりITエンジニア固有の話が出てませんね。すみません。

 みなさんの「海外ITエンジニア」に対してのイメージとか疑問とかがあれば、ぜひコメントしてみてください。あるいはこんな事を書いてくれ、とかそう言う要望ももしあればよろしくお願いします。

 それではまた次回。

Comment(3)

コメント

ダレゴリラ

今までとは違った切り口で、エンジニアという職業だったり、
そのキャリアを見れそうで、面白そうなコラムですね。

今後も日本と海外のエンジニアの違いや、
一般的に言われていることとのギャップなんかを色々と
紹介していただけそうなので、楽しみにしています。

鹿島

コメントどうもありがとうございます。
1~2週間に1回くらい書こうと思ってますので、こんなんで良ければまた見に来て下さい。

大福たべたい

ケッベクのモントリオールで住んでいるものです、ちなみにいまはグレード9、日本でいう中学二年生です、高校と大学もカナダの予定です。中学生なりにいろいろ調べていてIT業界に興味を持っていますそこで今からやっておいたらいいなみたいなことはありますか? ちなみに学校の授業はて英語でならいます、フランス語も日本でいう英語の感覚で習っております。

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