施されたら施し返す、恩返しです!
「施されたら施し返す、恩返しです!」
7年ぶりの新シリーズが始まった某ドラマですが、前作で主人公にボコボコにやられた常務が、頭取の温情人事に対して感謝の意を述べるワンシーンです。ぼくはこのセリフが流れた瞬間、完全に笑いのツボにハマり、しばらくドラマの内容が頭に入ってこないという事態に陥りましたが、振り返ってみても中々の名台詞だったように思います。このセリフが後々どういう伏線になっているのか気になるところではありますが、今回はこの言葉を素直に受け取り、この言葉について語っていきたいと思います。
恩返ししたい話
とある日の夕方、ぼくは、データ収集と資料の作成を上司から依頼されました。明確な業務命令といった性質の仕事ではなくて、お手伝いレベルの協力依頼。その仕事の内容は、「ある領域のデータを収集してまとめる」という至ってシンプルな依頼でした。詳しいことは省きますが、営業戦略的に重要な内容で、それを顧客役員に提出するという、割と社運のかかった重要なお話し。この手の話しはよく廻ってくるので慣れているつもりでしたが、しかし今回は大きな問題が2つ。1つ目は、納期が翌日早朝であること。2つ目は、その領域の担当者が、一切残業をしない属性の方だということです。とはいえ、その上司にはいつも色々と施して頂いているので、「これは恩返しのチャンスだ」と思い、出来る限りという条件付きで協力することにしました。
早速、その領域の担当者の所へ相談に行きました。じつは、その方はぼくよりも一回り以上も年上の方で、夕方以降会社に残っている姿を見たことがありません。誤解を恐れずに言うと、いわゆる窓際おじさん的な扱いをされている方でした。本人も自覚しているのか、そのあたりの行動は徹底していました。そんな事実を知っていたからこそ、おじさんの協力を得ることは厳しいだろうと半分諦めていたのですが、他に良い手が思い浮かばなかったので、取り急ぎ相談に伺ったわけです。
確実に残業が発生する依頼なので、不機嫌な顔をされてしまう程度の事は覚悟していたものの、あっさりと依頼を引き受けてもらうことに。その瞬間ぼくが出来ることは何もなくなってしまったので、依頼元の上司のところへ近況報告。ぼく自身のキャパは空いてしまったので、他に協力できることをやろうと思ったわけです。ぼくは古臭い昭和の男なので、少なくともぼくが依頼した仕事が終わるまでは帰らないつもりでいました。
21時過ぎ。頼んだ仕事が完成し、ぼくの領域分も合わせて一連の仕事は完了。休憩室でおじさんと一緒になったので、改めてお礼を伝えたことから、話は盛り上がりました。昔管理職だったおじさんは、親の介護をきっかけに役職を外してもらったこと、平日は可能な限り介護をしていること、そして、久し振りに頼りにされたのがとても嬉しかったことなど、優しい口調で語ってくれました。
元々おじさんとは、仕事上の関わりがなかったことから、いまだに恩返しが出来ていません。時々、おじさんに対する嫌味が聞こえてきたときは、今回助けてもらった話を積極的にするようにしています。いまはこの程度のことしか出来ませんが、施されたら施し返す、恩返しの気持ちは忘れていません。
倍返しはもう古い?
「やられたらやり返す、倍返しだ!」とても痛快な言葉ですが、じつは、あまり使い所がありません。「施されたら施し返す、恩返しです。」のほうは、割と気軽に使える気がしてます。しっかりと笑いのツボも抑えているし、言われた方も嫌な気はしません。そして何より、恩返しで廻っている世の中は気持ちが良いものです。綺麗事だと笑われてしまうかもしれませんが、金や権力だけで左右される世の中よりも、よっぽど健全で過ごしやすいと思っています。少なくともぼくは、いつも助けてもらっている上司に少しだけでも恩返しがしたかったし、困っているぼくを助けてくれたおじさんにも恩返しをしていきたい気持ちでいっぱいです。
ただ、「やられたらやり返す」のは、ビジネス戦略的には正しいです。
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倍返しにするのが正しいのかどうかは分かりませんが、やられたらやり返す必要性もあるとは思っています。あの歌舞伎役者が床に額をこすりつけるシーン。早く見てみたいものです。