稼ぐエンジニアは知っている!経営者の頭の中身
会社の中でも一番偉いのは社長です。部長や役員クラスを束ねて彼らに指示をする存在なので、社内でもダントツの権力者が社長だと言えます。男子高生が選ぶなりたい職業ランキングでも経営者は2位に位置づけるなど(参考までに。【決定】史上最高の職業は「ITエンジニア」) 、相変わらずの人気の高い職業なのですが、実際のところ何をしているのかよく分かっていない方もいらっしゃると思います。本当の意味で社長の仕事を理解している人は少ないのでは無いでしょうか?ぼくも若い頃はよく分かってませんでした。そこで今回は、そんな経営者の頭の中身を覗いてみたいと思います。
経営者がすべきたった一つの仕事
社長はやることが多く常に忙しそうに振る舞っていますが、じつは、社長のすべきことはたった一つに集約されます。社長のすべきたった一つの仕事とは、
「ゲームオーバーにならないよう企業を存続させ続けること」たったのそれだけです。
新規事業を立ち上げたり、銀行と話をしたり、株主と向き合ったり、社員を活性化させる組織づくりをしたりと、色々あるようにも見えますが、それらは企業を存続させるための枝葉の部分です。リソースに余裕がある企業ならば、全て部長に任せても良いのです。
企業は存在しているだけで社会に貢献しています。市場に商品やサービスを提供したり、雇用を生み出すなど、社会的な存在意義が非常に高い集合体が企業なのです。その企業を倒産させないように存続させ続ける事こそ、社長に求められたたった一つにして超重要なお仕事なのです。
ゲームオーバーのルールを知ろう
世の中色々なゲームがありますが、ゲームには必ずルールがあります。もちろんビジネスゲームにもルールがあります。ビジネスゲームの場合、「流動負債を返済できなかったらゲームオーバー」となります。企業が市場から追い出される、いわゆる倒産です。
社長はゲームオーバーにならないように、流動負債を返済し続けなければいけません。極論を言うと、社長の仕事は、「流動負債を返済し続ける」だけです。そのゲームルールを守るために、社長は社内のあらゆるリソースを使うための最終決済権を持っているし、全人事権も握っているのです。
銀行から融資を受けるのも、株式市場から資金を調達するのも、すべてはゲームオーバーにならないための一つの手段です。
ゲームには必ず点数がある
世の中色々なゲームがありますが、ゲームには必ず点数があります。点数がないと優劣をつけることが出来ません。野球にもサッカーにも、麻雀やTVゲームにだって点数はあります。もちろんビジネスゲームも同じです。社長は、会社を通してこのゲームに参加しているので点数には敏感なのです。そして点数はかならず数字で表されます。ようするに、経営者の頭の中身は「数字」の事でいっぱいなのです。
経営者の視点
社長は、得点が0点にならないように気をつけながら、得点を稼ぐゲームに参加しているので、得点を増やしてくれる社員が大好きなのです。得点を増やすことが出来なくても、得点を増やす意識があったり、それに伴った行動をしてくれる社員が大好きなのです。ようするに、同じ目線でビジネスゲームに参加してくれる、経営感覚を持った社員が大好きなのです。
そして彼らの特徴は、経営者に伝えるときに「数字で語る」必要性を知っています。ビジネスゲームの共通言語が「数字」だからです。例えば、ある設備Aを導入するには、最初に500点消費するが、1年後には1000点稼げる。といった形で提案します。1年後に1000点稼げる根拠も数値化して、経営者が納得する形で示す必要があります。いわゆる費用対効果ですね。コスパとも言います。
ビジネスゲームのルールを理解しよう
ビジネスゲームのルールを理解しないエンジニアは高年収エンジニアにはなれません。サッカーで例えると、ドリブルが上手くてボールキープ力が高かったとしても、ゴール前でシュートを打たなかったり、味方にパスが出来ないような選手は年俸が上がりません。なぜならば、得点に貢献していないからです。ビジネスでも同じです。技術力を追求するのは良いことですが、ビジネスゲームのルールを熟知し、得点稼ぎに貢献しないエンジニアは評価されません。
スペシャリストにありがちな欠点
ITエンジニアの中でも、技術に特化したスペシャリストにありがちな欠点の一つに、コスパ意識の欠落が見受けられます。特定の技術に特化しているスペシャリストなので、もちろん尊敬されるべき存在ではあるのですが、ビジネスゲームの基本ルールを理解していない、または度外視している人が混じっているのも事実です。
例えばセキュリティスペシャリストの場合ですと、常に新技術を習得し続ける必要もあるし、その知識を知れば知るほど、自社の脆弱性が気になります。しかし、脆弱性をなくすにはコストが発生します。ゲームでコツコツ稼いだ得点を使う必要があるわけです。ここにジレンマが発生します。
いくら特定の技術に特化したスペシャリストだからといって、稼いだ得点を湯水のように使う提案しか出来ない社員を社長が好むわけがありません。クライアントへの提案にしても同じです。ビジネスゲームルールを熟知した上で、スペシャリストとしての折衷案を提案する「経営センス」が必要になります。結局のところ、経営者を説得するには「数字」で説き伏せるしかありません。技術力ではないのです。
コスパ意識は高年収エンジニアへの近道
ITエンジニアはIT技術に詳しくないといけません。しかし、そんなことは当たり前です。社長はあなたがIT技術に詳しいから雇っている訳ではありません。IT技術を通じて、ビジネスゲームで得点を稼ぐことに貢献してくれる事を期待しているのです。1メンバーとしてビジネスゲームに参加している以上、ギークになる前に、まずはゲームのルールをよく知り、得点を稼ぎに貢献しなければなりません。
そのためには、コスパ意識が重要です。システムの大小に関わらず、導入前には費用対効果が検討された上でGOサインが出ています。あまりにも巨大なシステム構築に参画すると、この基本原則を見失いがちですが、上層部の方では、必ず費用対効果の検討がなされています。
自分は組織の末端だから関係ないと思ってはいけません。例えば技術研修だって費用が発生します。他の社員が稼いだ点数を使う訳なので、その技術を習得することによってどれだけ会社に貢献できるかを数値化するのです。若いうちに身近なところで数値化する訓練をしておき、コスパ意識を高めます。日々意識することで、経営センスが研ぎ澄まされます。経営センスを持った人材は、転職市場でも価値が高くなるし、そもそも今いる会社が手放しません。経営者の頭の中身を理解し、経営視点を持つことができれば、高年収エンジニアへと近づくわけです。ぼくが若い時期にこの視点が欠落していて大きく出遅れたので、戒めの意味を込めてコラムにしたためておきます。