ネガティブ情報を調べる
ITトレーニングにおいて新コースを担当するときは、かなりの勉強(仕込み)が必要になります。仕込みに時間がかけられればいいのですが、なかなか難しいというのが現状です。
時間をかけることによって新技術に対する知識は習得されますが、無制限にそのような時間がとれるわけではないので、妥協が必要です。
そんなときに悩ましいことがあります。ある事象を調査していて、新機能によってできること(ポジティブ情報)はさまざまなところに情報があるのですが、「できない」ことに関する情報(ネガティブ情報)は、多くの場合記載はあまりありません。あったとしても情報が分散している場合が多く、それらを組み合わせることによって理解できることがほとんどです。
「できない」ことを知るためには、できることを調べるよりも倍以上の労力を使います。製品や技術の知識を習得して自分なりに理解しないと、「できない」ことの確信が得られないのがほとんど、という事態に陥ります。このような事態を避けるには、周辺知識の習得にも時間をかけることが望まれます。
実際の事例を挙げてみましょう。Windows Server 2008 におけるバックアップ方式が、以前のバックアップとはかなり変わりました。OSレベルにおいてテープ装置のサポートがなくなったことは、特にインパクトが大きい内容でした。しかし、この理由は書いてない場合がほとんどです。なぜなくなったのかを理解するには、その他の情報を入手することによって補う必要があります。
実は、Windows Server 2008 のバックアップでは「ボリュームシャドーコピーサービス」と「ブロックレベルバックアップテクノロジ」が使用されています。この機能を使用することによって、ディスクからディスクへのバックアップが劇的に速くなりました。
このテクノロジはテープ装置には使えません。それまでテープ装置のバックアップは夜間に行うことが多く、朝になっても終わらないなど、バックアップ速度に問題を抱えていましたが、それを解決する手段を提供するようになったと受け取れます。
さらに近年の大容量化に対応するためには、テープ装置だと容量が足りないなどの弊害が見受けられるようになりました。これらもテープ装置がサポートされなくなった要因ではないでしょうか?
このように、「できない」を調べることによって、本来知りたかったことの情報に対して厚みが増します。知識の習得が飛躍的に向上するのは確かです。
一度、「できない」ことを調べてみてはいかがでしょうか?
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