時給を上げる話(6) 「動く」
さて、久々に「時給」に関する話を書こうと思い… だいぶ中断していましたので。
以前時給についていろいろ書いていたのですが、だいぶ前なので忘れてしまっていました。ので過去の投稿を読み返してみました。
読み返しながら、あらためていろいろ考えてみたのですが、結局のところ何が言いたいかというと、人生、いろんな経験をしたほうがいいよね、と…(超ざっくりすぎ!)
サラリーマンSEの方はフリーになってみるもよし、起業する(社長になる)もよし。逆にフリーの方はサラリーマンになって(舞い戻って)働いてみるのもよし。
会社の中でも、どんどん動いていいと思うのです。
そうすれば自分の「時給」は上がっていくんですよね。雪だるま式に。
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とにかく、職人気質というか、技術者一辺倒で一生を終わるのは「もっともいけないこと」だというのが私の持論です。反論はあろうかと思いますが…
技術者としてのマインドというか、矜持を持ち続けるのは否定しませんし、必要なんですけども、それを胸に秘めながら、いろんな経験をしましょうよ、と。
その結果として、「時給」といいますか、自分の市場価値も上がっていきます。21世紀も15年をすぎ、とある技術を極めてみたところで自分の市場価値はまったく上がっていかない世の中になりました。頭打ちです。
とにかく「動く」こと。いろんな仕事に、手をあげてみればいいんですよね。
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何回も書いているような気がしますが、SEとしてのスキルが高い方がいわゆるSIerの中にはたくさんいて、おそらくご自身の市場価値よりもずいぶんと低い年収で仕事をしています。
で、発端はそれに対するなぜ? だったんですよね。SEとしてのスキルが高いイコール頭もキレるはずですから、そういう方が自分の市場価値を冷静にみきわめて、外に出て今より高い年収をゲットする、という選択をなぜしないのか?
ただ単にめんどくさいのかな?なんて。だとしたらもったいないなあ、と…
そこにとどまっていたほうが安泰である、という空気がその場に流れているのだとしたら、それはウソです。そこにとどまっていたほうが「ラク」かもしれませんけどね。ラクと安泰はちょっと違いますしね。
オマエを育ててやったんだからまさか出ていかないよなあ? なんていう暗黙の圧力があるのだとしたら、ますます、なんとかしてそこの環境からは出ていくべきですよね。そんな澱んだ場にいたら、クサってしまいます。
幸いなことに、IT業界は人材の流動性がけっこう高いので、また戻ってくればいいんです。
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とにかく自分が流動的に、ダイナミックに動くことで、さまざまな経験をし、さらに貪欲に自分の市場価値を上げていきましょうよ!と。
ひとつの会社で同じタイプの案件をこなしていくよりも、えいや、と外に出てしまうほうが絶対に近道なんです。
で、あのー、はっきりいってしまうと、飛び出さずに会社にしがみついて生きていくべきな方もいるんですけども… ざくっといってしまうといわゆる「指示待ち」な方が該当するかな… SEって自分が指示待ちなことにまったく気づいてない方がやたら多くて困るんですけどね(苦笑
今書いているこの話はSEとしてのスキルが高い方、つまり、市場価値が高くて、飛び出してもぜんぜんやっていける方向けです。
自分はどうかなーと考えてみて、自分の仕事ぶりを冷静に自己評価してみるに、もちょっといい給料をもらう資格がある気がするけどな… と控えめな自信を持てる方が対象です。
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でまず、技術者が管理職になっていく、あるいは上流工程にのぼって、自分が手を動かすのではなく指示する立場にまわっていく、というのはスタティックというか。。会社員としていちばんありがちなキャリアパスなんですよね。この流れに抗ってみたり、抗うポーズだけしてる方もたくさんいますが。
でも、会社がせっかく用意してくれるキャリアパスなのであれば(というか入社した瞬間からその流れは感じているはずですよね)、一旦は身をゆだねてみればよいと思います。せっかく「流れ」がきているにも関わらず、まるで駄々っ子のように一介の技術者としてとどまる姿勢に対して、なんだかなあと感じてしまうのです。
なので、具体的にどうすればいいのかというと…
- 一旦上流工程にいって、どっぷり経験してから、(だれにも文句をいわせず)下流の工程にもどる。
これ、大事ですね。同じ会社にとどまるのであればこういう動きをすべきだと思います。
- すぱっと転職する。
「動く」という点では転職して別な環境に身をおくのはすばらしいことだと思います。いろんなベンダーさん、お客さんにも出会えますしね。動いて、また考えればいいんです。
- すぱっとフリーになる。
自分で仕事をとってこなければならない環境に身を置くのも、人生経験としてとてもよいと思います。フリーで煮詰まってしまったらまた転職活動すればよいだけの話です、が、将来的な転職活動を有利にすすめるためのキャリアデザインを戦略的に考えておく必要があります。
- 同じ会社で異動願いを出して、ITとはまったく畑違いの仕事をする。
一般企業だとこれができるのがうらやましいんですよね。戻ってくる前提で、どんどん別な仕事をすべきです。
いちばん経験すべきなのは営業ですね。
- 上流工程で大きな案件のマネージメントを経験し、満を持して今の会社よりも大きな会社に転職する。
もっともっと大きな仕事をしたい、という欲を持てるようになったらしめたもので、そんな人が活躍できるフィールドは必ずありますし、大きな会社であればあるほどそういう仕事ができる可能性が高いというのは厳然たる事実です。
ただしマネージメントの経験なくただ安定を求めて大企業へ転職すると、ますます「歯車」になっていく可能性が高まりますので注意が必要です。が、それを望む方も多いので一概に否定はできません。
- 上流工程を経験したのち、他業種の情シス部門に転職する。
SI側からお客さん側にうつるというのは、すごく刺激的な経験です。これも、戻る前提で。お客さん側の経験を積むのは将来的にとても役に立ちます。
まあSIerに戻りたくなくなったら戻らなくともいいですが(笑)。
- いろいろ経験した後に起業する。
起業することで素晴らしい人生経験、ビジネスマンとしての経験を積めます。大事なのは、サラリーマンがイヤだから、とかそういうネガティブな理由ではなく、やりたいことがあって起業する、ということです。「いろいろ」経験するとそのやりたいことというのがおぼろげに見えてきます。
起業といっても、またサラリーマンに戻ってくる前提で動くのもぜんぜんアリだと思います。
会社を育てて、会社そのものを高値で売る、という目標設定でもぜんぜんオッケーだと思いますね。
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とにもかくにも、退路を絶つ!などといった悲壮な覚悟はまったく不要ですので、人生を「楽しむ」の一環として「動く」という行動をしてほしいのです。特に有能な方は。
「動く」のもスキルなのかもしれませんね。