健康について第54回 食について(5) 次世代に引き継ぐ習慣
お世話になります。龍澤と申します。
年がら年中、健康について考えておりますので、自然と、自分が口に入れる食べ物について深く考えることも多くなりました。自分にとってはとてもよかったと思っています。
この業界で、「食べること」について(いわゆる「グルメ」ではなく)これほど深く考えている人間は少ないと思います(笑)。
食べることについて「考える」とは、必ずしも「気にする」とイコールではありません(似てはいますが)。そのあたりについてはいずれ書きます。
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本題に入る前に、ちょっと思い出したのですが、IT業界ってけっこう食べ歩きが好きな方が多いような気がしますね。既婚/未婚、関係なく。
どうしても不規則な生活になるゆえ外食率が高いのは当然ですが、どうせ外食するならおいしいものを! ということで外食の質を高めようとするのだと思います。私も昔はそうでした。
食べ歩きというのが健康に必ずしもよくない、というのは当然なので今回触れませんが(ただし、連日でなければそれほど目の敵にするものでもありません おのおののお金が続くのであれば……)、もうひとつ重要な問題点は、料理を作らない人たちが食べ歩きをしていると、どうしてもただの批評家(=グルメレビューア)になってしまうということです。
ラーメンのスープがどうのこうのとか、煮干しだとか昆布だとか、よく分かりませんが……。とにかく、細部にこだわる。ほんのちょっとの差異を異常に喜ぶ。(「違いが分かる男」になれるから?)そしてそれを嬉々としてブログやSNSなどに報告する。
でも、考えてみると、批評家体質というのはこの業界に合っているのかもしれないと思うのです。
ちょっと長くなりそうなので、このあたりの関係性についても、機会があれば書きたいと思います。
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前回ちょっと触れましたが、私が最も強く申し上げたいことは、「次の世代につなげる動きをしましょう」ということです。
この業界に棲息していれば自然、外食率が高まります。ということは、子供たちも親のそういう姿を見て育つわけですね。
典型的なエンジニアのサラリーマンの方を例にとりますと、多くの方々は外で残業飯を食べます。それは、コンビニ弁当であったりハンバーガーであったり定食屋であったり、形態はさまざまですが、とにかく日常的に、夜の残業に向けて臨戦態勢、腹ごしらえをします。そうでないと仕事になりませんからね……
そして帰宅後にまた食べる方、食べない方、ちょっと飲んでつまみを食べる方など、さまざまだと思いますがいずれにせよお子さんは寝ている時間だったり、寝ていなくとも、エンジニア・ライフ(パパ編)においては、平日に家族で食卓を囲むというシチュエーションは想定されていない(笑)わけです。
それは、おそらく仕方のないことです。ですが、おぼえておかなければならないのは、子供らはそれを見て育つので、高い確率で親になったら同じことをするのだろうな、ということです(いわゆる「エンジニア」にならなくとも、そうなる可能性が高まる)。
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ランチも、この不況下であっても手弁当ではなく、外に食べにいったり弁当を買ったりする方が、私の知っている範囲では驚くほど多いです。
そう考えるとけっこうお金を使ってますよね。
さらに、朝はほとんど食べない、と……いうことは、1週間の全食事数のうちかなりの割合を外食が占めているということですね。また、多くの皆さんは土日に家族サービスを「強要」されるので、家族でお出かけするとなると休日もまた外食店……となります。
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外食が多いと貯金がたまらない、という問題もありますが、今回書きたいのは、「そういうふうな食事習慣に舌が慣れてしまうのは大変な問題である」ということなのです。
実際問題、(既婚の場合)奥様のつくる手料理は物足りなくなってくるのではないでしょうか?
誤解のないように付け加えますと、物足りないというのは技術ではなく「味付け」のことです。あの特有の「しょっぱさ」や化学調味料の味付けに慣れてしまうと家でもそれを求めるようになってしまいます。そこから、何かしらの発病へ向けて負のスパイラルが始まります。
それが、「依存症」ということなのです。
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1つ補足すると、なぜ外食過多が病気のリスクが高まるかといえば、きわめて高い確率で、「運動不足」もセットだからです。
家に帰ってごはんをつくって食べる時間がない、あるいは奥様の手料理を食べる時間もない、という方が、定期的に運動をする時間を捻出するわけがないので……。
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当然子供への影響も、出てきますよね。父親が外食中心の生活になっていることにより家庭において外食「っぽい」味付けを求めるようになれば、子供も自然とそういう味付けを好むようになります。
すべての家庭がそうだというわけではありませんが、「外食っぽい味付けを好む」のであれば外食のほうがよいわけで、家庭の主婦がプロのシェフに勝てるわけがないのですから、子供は外食を望むようになってきます。やがてママさんは料理をつくるというモチベーションが低下して、外で食べさせる、あるいはケータリングとか、自分でつくるにしても冷凍食品が増えたりとか、そういう傾向が出てきます。
これは、かなり大きな問題なのです。そしてこの問題を生み出すのは高い確率で父親の味覚なのです。
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我々の世代の多くは、子供の頃、家庭は「外食体質」ではなかったはずなのです(そういう「時代」でした)。
それが、自分が忙しい業界に飛び込み、いつの間にか外食中心の生活になることによってそれが当然(「豊か」?)であると思い込み、自分の子供に自分が育った時代とは違う習慣を植えつけてしまう。そしてその習慣の多くは、過去よりも悪い習慣です。たとえば遅寝遅起き、朝食抜きであったり。
若干の無駄遣い体質も、子供に引き継いでしまうかもしれませんね(我慢が効かない、なんでも手にいれないと気が済まないという……)。
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親になれば、多くの親たちは子供は自分より出世してほしいと願ったり、良い大学に入れたいなどと考えたりするもので、それはとても自然なことです。
であれば、それにふさわしい生活習慣を子供に植えつける必要が、絶対にあります。そして、この業界のエンジニアの方々の生活習慣(自分たちの子供時代より悪くなっている)がそのまま次の世代の子供らに植え付けられたならば、間違いなく彼らは自分たち(親)を超えることはないでしょう。
子供に自分らを超えてほしいと願うのであれば、自分たちが子供の頃の生活習慣をさらにブラッシュアップして、それを手本にしつけをしなければなりません。改悪するのはもってのほかです。
そして当然のことですが、子供が自分たちと同じように「ふつう」に育ってほしい、ごくごく中流の大人になってほしいと願うのだとしても、だからといって子供の生活習慣形成をなおざりにしてよいという言い訳にはなりません。
親が良くない生活習慣のままで、子供らに良き生活習慣を強要したところで、示しがつきませんので言うことは聞きません。
もしかしたら、突然変異が生まれることを期待している方もいるかもしれませんし、期待するのは自由ですが、あくまで確率としては極めて低いことは認識しておいたほうがよいと思います。
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前回、今回でもっとも書きたいことはおおよそ書けたとおもいますが、もう少し「食について」は続けます。読んでいただきありがとうございました。