開発言語と、通販対応配送センターERPの開発者の視点を中心としたコラムです。

フリーランスや起業活動は「常識のデバッグ」だ

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 今の時代、終身雇用という制度だけではなく、多様なワーキングスタイルが出現しています。

 その中で、「独立という意味で」近いのが、フリーランスと起業家という2つのスタイルだと思います。

 このスタイルは、実際にやってみると、実は、現場系リーダーが得意だというような技術者にすごく向いているスタイルで、やっていることも、技術者として難しい問題を解決しているときと非常に似ていると感じるこのごろです。

前回の記事「技術者が起業時の営業をWebでうまいことなんとかする方法」の結論になぜ筆者が至ったか、その経緯を今回は書こうと思います。

■コネあり起業とコネなし起業を同一に見てはいけない

 コネがあって、もうすでに、最初に営業やマーケティングをしなくても仕事があって、自分自身でビジネスを作り出さなくていい場合と、自分自身でビジネスを作り出さなくてはいけない場合では、まったくルールが違います。

 今回は、コネなしのゼロからビジネスを作ることを前提とした内容で書きます。

 また、コネあり起業が悪いわけでもなく、起業は有利にできたほうがいいので、コネは最大限活用すべきだと思います。

 ただ、ベースがしっかりしていたら、今度は「さらに飛躍するぞ」と考えると思うので、そのときにはコネなし起業と同様に、自力でビジネスを作らなくてはいけません。

■コネなし起業家候補が起業に踏み出せない原因は「思い込み」が多い

 「安定なんてどこにもないこんなご時世だし、将来的には自力で立つのが一番の安定だ」と思いつつ、情報収集なども一生懸命やり、それでも、つい、行動に起こすのが延期になってしまう方も多いのではないでしょうか。

 また、フリーランスの方で、営業を自分でもなんとかしたいと思い悩みつつも、つい、人任せになってしまう方も多いのではないでしょうか?

 そういう方は、なぜ、そうなってしまうのかと考えることをお勧めします。

 なぜ、そうなってしまうか?

 それは、独立して仕事を取ってきて、仕事をこなし収益を上げ、次につなげるというサイクルの中の仕事をとってくるという部分で、何から始めたらよいか分からないという理由がほとんどだと思います。

■「仕事をとる」のではなく、「欲しいものをを提供する」という視点

 「仕事をとる」という言葉は、あまりIT業界では適していない言い方かもしれません。

 なぜならば、商品やサービスの魅力などはともかくとして、情熱とごり押しでなんとか仕事を発注してもらうというスタンスがイメージとして思い浮かぶからです。

 しかし、この方法は次の2つの問題があります。

  • 営業にコストがかかりすぎて、制作や開発・サポートへの予算が極端に少なくなる
  • 発注してもらえる可能性が低い

ということです。

 「ここさえうまくいけば、他は全部うまくいく」というポイントではこの方法は有効だと思いますが、そういう機会自体が少ないのと、「安定する」という目標を考えるならばこれ以外の方法も用意すべきです。

 そして、この仕事をとるという部分のイメージがどうしても、このようなコストのかかる営業方法だと思い込んでしまうとどうしても、最初の一歩が踏み出せないという理由にもなっているケースが多いのではないかと思います。

■「情報伝搬」と「商品の魅力」のバランスを考える

 ベースが技術者で、営業経験がない方は、どうしても、「情報伝搬」と「商品の魅力」のどちらがどれだけビジネスに貢献するかという部分で、「隣の芝生は青く見える」式の考え方をしてしまうと、「情報伝搬さえできればうまくいくけれど、それができないからビジネスをスタートできない」と考えることがほとんどです。

 しかし、筆者もそうなのですが、実は、技術者の思い込みバグで最も致命的で早く解決しなくてはいけないものは、まさにこれだったりします。

■「営業の限界」を検証することでバグに気付く

 営業を本職にしている人の感覚とその限界を知ることで、実は、この「情報伝搬」と「商品の魅力」のバランスに気付けます。

 いくら、(商品の魅力が関係ない部分の)営業力があるからといって、営業マンは必ず商品を本気になれば売ってくるかというと、やっぱり売れません。

 しかし、商品が良ければ営業マンは特別な販売技術がなくても売れ、そういうスタイルで成功している会社はあるわけですから、「情報伝搬」は方法を知っているかどうかの問題であり、技術者の上流工程の技術や設計技術のような一朝一夕ではなかなか身に付かないスキルが必要ではないことが分かります。

■考えるより「やってみよう」

 自分の場合は、「やりさえすれば、取りあえずの目的を達成できるけれどどうしたらよいか分からない」という場合は、とにかく、今まで「これはダメだ」と勝手に決めつけて行わなかったことを積極的にやってみました。

 今まで自分が間違った常識を勝手に作って「ダメだ」と決めつけてきたことを挙げてみます。

  • 自社Webから問い合わせは来ないと思っていた
  • 企業のお問い合わせフォームは見ていないと思っていた
  • プレスリリースを出しても小さな会社では意味がないと思っていた
  • 自分の商品に関してサーチエンジン経由でHPに問い合わせが来ないと思っていた
  • 小さな会社に中規模以上の案件を発注するところはないと考えていた

 これらは、全部根拠がないことです。

 「小さな会社に中規模以上の案件を発注するところはない」というものでさえ、これも思い込みです。他の人ができないようなことをしなければいけませんが、工夫によっていくらでも、どうにでもなります。

 弊社の場合、特に功を奏したのは、自社webの作成とプレスリリース、そしてサーチエンジン対策でした、これにより、きちんと問い合わせをもらえる状態まで持ち込めました。

 また、企業のお問い合わせフォームへの投稿も、きちんと相手側の状態を考えて提案をすれば、「会えるべき人にはきちんと会える」ということも分かってきました。

■「情報の伝搬力」の射程距離は「提案力」で決まる

 情報を伝搬させる」ということは、自社ができる提案能力、すなわち、商品の魅力と柔軟性でリーチが決まってくるということが理解できるようになりました。

 「技術者の価値は変化への対応力で決まる」と筆者は書き続けていますが、変化をとらえることによって、誰もまだリーチしていないニッチなマーケティングを発見でき、技術的対応力で競合他社が入ってこれない領域での商品をつくれれば、営業は自然と仕組みができてきます。

 技術者が起業するには、やっぱり、技術を使った商品と提案がすべてです。情報伝搬にいろいろとコストをかける前に、他社で売れているものがどのくらい営業にコストをかけているか具体的に調査をして、本当に「情報伝搬より売り物勝負」という実感を持って、そこに集中できれば起業はわりと高い確率で成功できると思います。

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