攻撃に対して「ハックされにくい人間」に

「気をつけよう」では人は守れない : 人間中心のサイバーセキュリティから考える「デジタル避難訓練」

»

u5292553157_A_conceptual_image_of_human-centered_cybersecurit_dfef995f-0db0-4f48-a024-517f33b4f8dd_2 (1).png

サイバーセキュリティ教育というと、多くの組織ではeラーニングや標的型攻撃メール訓練が実施されている。

しかし現場で長年インシデント対応を見てきて感じるのは、「知っていたのに防げなかった」という事例の多さである。

なぜか。

人は普段の状態ではなく、「判断が揺れる状態」で事故を起こすからだ。

忙しい。
焦る。
責任を感じる。
急かされる。
誰かを助けたい。

その瞬間、人の判断は崩れる。

私はこれを技術の問題だけではなく、「人間の状態」の問題だと考えている。

「気をつけよう」から「気をつけられる」へ

日本には、防災文化がある。

避難訓練は、知識確認ではない。

火事が起きた瞬間、人がパニック状態でも動けるよう、身体で覚えるための練習である。

サイバーも同じではないだろうか。

攻撃者は人間心理を利用する。

緊急性
権威
孤独感
安心感
善意

人の「こころ」を狙ってくる。

だから必要なのは知識だけではなく、「判断の練習」ではないか。

デジタル避難訓練とは何か

私が現在取り組んでいる「デジタル避難訓練」は、知識習得型ではなく練習型ワークショップである。

参加者は攻撃手法を学ぶのではなく、自分の状態を観察する。

例えば:

「急いでいた」
「なぜか安心していた」
「責任感で押してしまった」
「違和感があったのに進んだ」

そして判断の流れを振り返る。

感じる
止まる
間をとる
疑う
確認する
行動する

重要なのは正解ではない。

「自分はどこで判断が揺れるのか」を知ることである。

サイバーセキュリティの次のテーマ

技術は重要だ。

しかしAI時代、人を支援する技術が増えるほど、人間の判断そのものを守る重要性は増していく。

セキュリティは「システムを守る」から、「人間の判断を守る」へ。

デジタル避難訓練は、そのための小さな社会実装の実験である。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する