技術書に最後の答は書いてない
技術書を読み漁っても問題解決はしません。技術書に書いてあるのは技術だけです。それを組み合わせて答えを出すのはあなたの仕事です。技術書に答が書いてあったとしても、それに気づくかどうかはあなた次第です。料理で例えるなら、技術書は材料です。そこからどういう料理をするかはあなた次第です。与えられた材料からおいしい料理を作るのが一流の料理人なら、与えられた情報からしかるべき結論を導き出すのがエンジニアです。
もし何等かの答が直接ほしいなら、ソフトウェアなりハードウェアのサポートでも利用してください。お金は技術書と比べものにならないくらいにかかりますが、問い合わせ先の人間が受け答えをしてくれます。それでも、ドンピシャな答を出してくれることは稀です。真実は私たちの納得してくれる形で伝わってくるとは限りません。「高い技術書買ったから」とか「高いサポート料払っているから」と、納得ばかり追求するのはナンセンスです。納得と答えは必ずしも一致しません。それを理解しないと、膨大なお金をドブに捨てることになります。
その点、学校の勉強で使う参考書は親切です。というよりも、学校の勉強は答ありきで問題を作っているので、きれいに最後の答がでるような参考書が書けます。現場で起きる問題には答が用意されていません。場合によっては、答が無い場合もあります。学校で使う参考書とは条件が全くちがいます。学校で使う参考書と同じ感覚で技術書を読んだら、現場で通じる技術は身につかないと断言できます。学校の勉強で優秀なだけの人はエンジニア向きではないと考えています。
技術に限らず、一般的な仕事で求められるのは未知を既知にすることです。情報を組み合わせて予想を立て、検証していくことで答を出していきます。技術書が役に立つのは、最初の情報を組み合わせる段階です。組み合わせる情報の一つとして技術書の情報が役に立ちます。その先の予想を立てることと、検証していくことは自分でやる必要があります。こう書けば、技術書がどの範囲で使われる道具なのかよくわかると思います。
技術書はあくまで道具です。外国語の辞書と同じ扱いで考えています。どんなに詳しい辞書が手元にあったとしても、外国語が理解できることにはなりません。また、辞書を一通り全部読んでも、外国語を話せるようにはなりません。ただ、外国語の辞書を使いこなしたとしたら、外国語を理解することができるでしょう。質の高い仕事には質の高い道具が不可欠です。ただ、それ以上に道具を使いこなせているかが重要です。結果を出せるだけのスキルが欲しければ、新しい技術書ばかり買いあさってないで、手元の技術書を読みこなす努力をしましょう。