借金完済まで3年
4月になりまして、社会人デビューしたてとおぼしき方々の姿をみかけるようになりました。よせばいいのに計算してみたら、わたしが社会人デビューしてから四半世紀になるらしいです(う~ん、なんかこわいな)。
わたしがまだ専門学校生で、卒業後の就職先が決まった時、「未経験で雇ってもらったんだから、せめて3年はその会社で働けよ」と父親が言いました。一瞬、「石の上にも3年」とかいうことなのかな、と思ったんですが、うちの父親は会話の中にことわざをまぎれこませるような人ではないので、一応、理由を訊いてみたら、こんな感じのことを言われました。
「未経験で就職した場合、最初のうちはまったく稼ぎなんか出せないうえに、教育とかで金を出してもらうことになる。それでも、おまえには給料が出る。それはつまり、会社に借金をしているってことだ。そこから徐々に稼ぎを出せるようになって、だいたい3年くらいで仕事を教えてもらってただけの時期の借金を完済できる。そうやって貸し借りなしになったら、そのままそこにい続けるか、別のとこに移るかを考えてもいい。いいか、自分だけ稼いで、相手に損をさせるっていうのは泥棒と同じことだ。泥棒みたいなまねして金を稼ぐなよ」
要するに、「石の上にも3年がんばれ」ではなく「借金完済するまでがんばれ」ということらしいです。
この「3年」という期限はきっちり計算したわけではなく、経験からきた数字らしいです。職種や会社の考え方によっても違うでしょうし、個人の資質によっても違うでしょう。このままじゃ借金が増えるばっかりだから1日もはやく損切りしたい、と会社に思わせるような新入社員もいるかもしれませんし(苦笑)。
そして、わたしはその言葉を「じゃあ、最初の1年くらいは借金しまくってもいいんだ」と理解しました(笑)。都合よく解釈すんなと言われそうですけど、「金を稼げない時期があってもあせることはない、いずれちゃんと返せばいいだけだ」という考えは、わたしにはプラスに働いたと思います。変に自分にプレッシャーかけずに新人時代を乗り切ることができましたから。
わたしはこれまで10箇所以上の職場を渡り歩いてきましたけど、どこでもだいたい新卒採用した人は1年以内に半分くらいは辞めていきます。うちの父親の考えでいくと、借金踏み倒して逃亡、ってことですね。まあ、職場に問題がある場合もあるので、辞めた人だけを責める気はないですけど、会社と本人の双方にとって痛手であるのは間違いないでしょう。
ちなみに、新卒採用の人が辞めていく時に残す言葉のほとんどは「この仕事に向いてないと思うんです」か「この先、やっていける自信がありません」のどちらかです。
「この仕事に向いてない」という言葉に関しては、「1年くらいじゃ適正はわかんないよ!」と思います。実際、わたしも最初の2年間くらいはずっと「向いてない」って言い続けていたのに、いまだに生き残っていますからね。
「やっていける自信がない」という言葉は、含んでいるものが多すぎて解釈に困ります(苦笑)。
「IT業界なら食いっぱくれがないんじゃないか」という考えで入ってきた人が、「くいっぱぐれがないレベルになるまでが大変なんだ」ってことに気づいて心が折れちゃうパターンが多いのかなあ、と思ったりするんですが、ぶっちゃけプログラマで「確実に食いっぱぐれがないレベル」に到達できた人にお目にかかったことがありません(他の職種はどうか知りません)。もちろんわたしもそこに達していません。確実に!
ですので、この業界に来ることを検討している人はそこらへんを認識してから入って欲しい、とか思ったりすることもあるんですが、実のところわたし自身が「IT業界なら食いっぱぐれがないんじゃないかな」という考えで入ってきちゃった人なので、それを言うと自分で自分の首をしめることに(苦笑)。
わたしには新人さんに対して「3年は耐えろ」という権利はありません。無理だと思ったら早いとこ方向転換しちゃった方がいい、とも思ってます。
でもわたしは「とりあえず今までがんばってみてよかった」と3年目で思いました。1年目の時は本当に何もわかってなかったんだな、ということが3年目になってようやく理解できたからです。
あんなになんにもわからないままでやめてしまわなくて本当によかった、と思ったんです。
まあ、その後も何度か「やっぱりこの仕事に向いてない」とか騒いだりしたんですけどね(苦笑)。
で、15年目に「こんなにいろいろわかってなかったのに、なんで15年もやってこられたんだろう」と思ったりしました。我ながら本当に気づくのが遅いです(苦笑)。でもまあ、遅すぎたというわけでもなかったようで、今もまだプログラマで食べていけてます。
わたしがそういう経験をしてきたので、社会人になったばかりの皆様には、「できれば3年がんばってみてほしい」と言いたいです。
3年がんばってみて、自分がいろいろなことをわかっていない、ということに気づけて、それをわかりたいという気持ちがあったら、そこからさらに続けてみればいいと思います。けれどその時に「もっとわかりたい」「もっと知りたい」「もっとできるようになりたい」という気持ちを抱けなかったら、それはもうやめた方がいいと思います。
3年がんばってみたけど時間を無駄にしただけだった、と感じることになっても、わたしは責任なんかさっぱりとる気はありませんけどね!(断言)
コメント
仲澤@失業者
3年かぁ。自分はそんなに待てないかもしれません。いえ、自分が3年がんばれ
なかったわけではないのですが・・・。
まぁ、言語にもよるのでしょうが、たまにC++プログラマ向きでない人がいます。
こういった人たちは、やる気は満々なのですが、気質というかものの考え方とい
うかが、やや論理的じゃなく、深く追求もしない、矛盾や不明なことがあっても
気にしないでひたすら明るく業務にいそしむんですね。これらの適正の無さは
数ヶ月で、場合によっては数日でわかってしまいます。無論さとしはしますが、
その気質が災いしてか苦言とも言えるその内容がまったく気にならないらしいの
ですね。当然何の改善の兆しもないまま無為に時間だけが過ぎ去るのです。
自分は言っちゃいました・・・適正がないのでやめなさいと。
大抵は一年以内ですね。
新人の皆さん、3年はがんばりましょう。ただし転職を勧められない限りは(vv;)。
みつや
私も3年はやってみろ言いたいですね、同感です。ただ経営者の立場からですが、今の20代は3年では借金を返してくれないとも思っています。昔なら家庭や学校でされていた人間教育を企業でやらなければいけない部分があるように感じるからです。ゆとり世代で欲のない人に稼いでもらうのは大変です(苦笑)。
ひでみ
こんばんわです。ひでみです。
仲澤@失業者さん。
ああ、本人じゃなく周囲が3年がんばれないってパターンですか、なるほど。
「はやいとこ見切りつけて辞めてくれないかな」って思う新人がたまにいますよね(苦笑)。
私自身は言ったことないですけど、リーダーに「おまえはこの仕事に向いてない。はやく辞めた方がいい」と言われた新人さんはいました。チームメンバ全員が心の中でそう思っていたようですけど。
本人がなまじやる気満々な態度だと、確かに扱いに困ります。
みつやさん。
3年では借金を返しきれないですか(笑)。
それだと、会社の方ががまんしきれなくなりそうですけどね。