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“ハンマーで頭を3回殴られる”ような衝撃――ベンチャーへの転職

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 数年前にベンチャー企業の三三に転職しました。よく、いろいろなところで、「SI から Web 系ベンチャーに転職したいんだけど……」という話を聞くので、その辺りで私が感じたことや考えたところを紹介してみたいと思います。転職を考える方々の参考になれば。

◆転職は前向きに

 前職に不満があったわけではなく、むしろ大好きな会社でした。何もできない新人から育ててくれて、とても面白い仕事をさせてもらい、アメリカでの経験も積ませてくれた。10年努めてこれから恩返しをしていかなければならないということも重々分かっていました。が、それでもエンジニアとして違う世界を見てみたい、もっと自分を追い込みたい、という思いから転職を決めました。

 転職の意志を告げるときにはかなり心が痛みました。それでも、転職を応援してくれた方々に本当に感謝です。

 やっぱり転職は後ろ向きな動機でするものではないです。どんな世界にも完全にハッピーな会社などあるわけないので。仕事としてやる以上は大変なこともあるし、納得できないこともある。そんなことを理由にしていたら永久に職を転々とすることになるでしょう。転職とは今の環境から脱出するためのものではなく、新天地に挑むためのものです。

 後ろ向きな人はきっと、どこにも採用されません。

ハンマーで頭を3回殴られる

 この言葉、すごく気に入っているんです。

 転職した先は三三という変わった名前で、Link Knowledge や Eight という名刺を起点としたサービスを提供しているベンチャー企業です。当時は社員数も随分少なく、事業の将来性がどの程度あるかなど見えない(と当時の私には個人的に思えたんです)小さな会社でした。しかし、名刺だけに全戦力を集中して、日本から世界に出ていくんだと熱く語ってくる人たちに惹かれて入社を決めました。

 本当にハンマーで殴られるわけではないのですが、そのくらいの衝撃をもらったのは事実です。この表現は入社当時に言われた言葉で、「これまでSI企業などで頑張ってきた人がWebサービスの世界に入ってくるなら、価値観やルールの違いを修正するために、少なくてもハンマーで3回は頭を殴られるくらいの衝撃を受けないと適合できないよ」と。まさにそのとおりでした。今までに何度も殴られてます。

 それがいいんです。それを求めて転職したんですから。これまで培ってきたものが適用できないなんて生やさしいものではありません。完全否定です。でもそれを乗り越えたところに違う景色が広がっているんだろうなと。今日もハンマーで殴られます。というか、たぶん自分で殴ってます。自己否定。そして殴られたと思う度に、少しは成長できるんではないだろうかと、明日の自分に期待してほくそ笑みます。

 これは少々大げさかもしれません。「自分はそんなことなかったよー」という方もいるでしょう。私が不器用なだけかもしれないですし。でもやっぱりベンチャーで働くというのは必死です。必死に仕事を楽しむんです。そんな風に仕事を楽しめる人とはやっぱり一緒に働きたいと思いますね。

◆スキルではなく成果を

 この世界にいると、日々新しい技術が生まれてきて、読まなきゃいけない本が常に何冊も積まれて、とにかく技術を習得しなければ自分に価値がないと思いますね。それはそうなんだけれども、でもきっとそうではないです。エンジニアなら、とにかく成果を出す。そのために、技術が必要なら学ぶ。こういう順番で考えるべきです。少しでも早くコードを完成させる。品質を上げる。メンテナンス性の高いコードを書く。これらを実現するために使える技術やテクニックはたくさんあります。ですけど、それらを学んだからといってすぐにできるわけでもないでしょう。だったら学ぶ前にまずはやれと。そして、さらに向上させるために学んでいくわけです。

 よく「どのくらいのスキルが必要ですか?」とか「こういうプロジェクトをやってきていますが大丈夫ですか?」と聞かれます。スキルとか経験とかは当然あったらあっただけいいです。大歓迎。でも、もっと大切なのは、成果を出す気持ちが強いこと。

◆仲間が熱い

 特に三三は。でもきっとベンチャーは大抵そうなんだろうと思います。

 だって、みんな人生賭けてるんですもの。自分の家族や将来を賭けてこの会社でやってやろうと思ってるんです。そりゃ熱くないわけがない。だから手が抜けない。そこがいいじゃないですか。

 ここまで言ってしまうと、かなり大変そうな感じがしますけど、実際そうでもないです。別に死ぬほど長時間働くわけではないですし、それはそれで自己管理します。長い時間働くわけではないですけど、毎日の一挙手一投足に集中します。

◆最終的には技術好き

 最後は、ここに行き着きますね。やはり。技術が好きで好きでたまらない、コードを書くのが大好きだって人とは一緒に働きたい。

 コミュニケーションが得意だったり管理が得意だったりするのもとてもいいです。組織内のコミュニケーションや管理に大きな課題があるならば、そういうことがものすごくうまい人に来て欲しくなることもあるかもしれません。でも、大抵そんなことないです。「技術はあまり得意でないですけど……」という人には開発チームの一員としてコミットしてもらうことは難しいと思ってしまいます。純粋にモノづくりが好きだということをまっすぐにアピールした方がいいです。

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