新米武装派フリーランスプログラマ男子(0x1d歳)

ジャヴァスクリプター #4「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・リサーチパーク」

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あらすじ:時はウシミツ・アワー。トヨス・スゴイタカイビルの最上階で繰り広げられた激しい戦いにより消耗した、エスイーを憎み、エスイーを滅せんとする男、ジャヴァスクリプター。激戦により剥がれた彼の覆面テヌグゥイの下の顔を垣間見たナツメが発したのは、かつての友の名――!!  全都道府県を震撼させる、サイバーパンクエスイー活劇!!

 【JAVASCRIPTER】

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 「ヒグチ!! ヒグチ!!」壊れたコケシ時計めいてナツメは叫ぶ。呼ぶはかつての友の名。同期リクルー入社で深夜までシゴトに励み、互いのワザマエ向上を競いあった仲。時に笑い、時に喧嘩し、毎日のように回転スシ・バーでサケを酌み交わした仲。

 叫ぶのはチクバ・フレンドとして、かけがえのない好敵手として、シュッセを目指し、腐りきった業界のゲコクジョを誓い合った、唯一無二の親友であり――そして、あの惨劇の夜に死んだはずの、男の名。

 しかし、ナツメの執拗な声かけ運動にもジャヴァスクリプターは不動。彼のニューロンCPUでは、サイバネ義体の自動バリデーション・テストケースが継続的インテグレーションされていた。(js:$~  stdout-> 障害総数:765 ポイント重点:72 ...) まだ。まだ動ける。

 「ヒグチ! ヒグチだろ!?」ナツメは叫び続ける。「……」「俺がお前の顔を忘れると思ったか!? たとえお前は忘れても、俺は忘れないぞヒグチ!」「…………」ジャヴァスクリプターは沈黙。

 「ヒグチ! お前はメンマをワリバシを柔らかく煮たものと思い常に残した! ハンバーガー屋でお前はいつも『パピルスは抜いてくれ』と注文! あとお前、カツオブシはカツオウッドを乾燥させ……「ダマラッシャー!!!!」」ジャヴァスクリプターことヒグチの堪忍袋が、破裂した。

 「やはり、生きて……生きていたんだな。ヒグチ」「ヒグチという男は死んだ。死んだのだ。あの惨劇の夜に。妻子もろとも」ジャヴァスクリプターはシッコロの緒を締め直す。「ここにおるのはジャヴァスクリプター。エスイーソウルに取り憑かれ、エスイーを滅し、エスイーを滅するのみに生きる。ただのゾンビー存在にすぎん」

 「違う!」ナツメは声を張り上げる。「違うんだ! お前の娘……アツコは……アツコは、生きている!」「!?」ジャヴァスクリプターの光を宿さぬ青色LEDめいた眼に、驚愕アトモスフィアが宿る!

 「病院に運ばれた時点、奥方は既にコトキレていた……だがアツコは、彼女はトウゲ・ステート状態……通常手術では助かる見込みはない。そこで俺は……俺は……」肩を震わせるナツメ。ナツメが吐露したのはミカドに唾吐くも同然のドウトク・タブーであった! ブッダシット!!

 「俺は、俺は……心の底ではただ、自らのITテックを試してみたかった、それだけだったのかもしれない。そしてアツコは、その哀れな犠牲者にすぎないのだ!」ナツメは懇願する。「恨むならエスイーすべてではなく、俺を恨んでくれ! そしてアツコと2人、しめやかに暮らしてくれ!」「そういうわけにもいかぬ」

 「なぜだ!? 」「エスイー滅すべし。全ての元凶、エスイー滅すべし。それが私の存在理由、ダルマ・デートルだ」「そう、か……」ナツメは肩を落とす。静寂。ナツメとヒグチの間には今や、ナラクめいた壁ができてしまったのだ。分かちがたい壁が。絶壁が。

 「1つ、質問がある」「なんだ?」「……アツコは、元気か?」ナツメの頬に一筋の涙が伝った。「ああ。俺の息子のリュノスケとともに、仲良く暮らしている」「重畳!」ジャヴァスクリプターは左腕から鋼鉄製光ファイバケーブルを崖下ビルへと射出!

 「オタッシャデー!」ジャヴァスクリプターは感傷的な別れのアイサツを残し、破れたショウジ窓から漆黒の闇へとキヨミズ・ダイブ! 次々に鋼鉄製光ファイバを射出し、タカイビルの谷間をすり抜ける。目指すはただ1点。全エスイーの抹殺。そのために、怨敵ミシマを倒す。

 ジャヴァスクリプターは夜の街を跳び、ミシマのヘリコプターを追う。場所はおそらくコーシャの秘密研究施設、シバウラ・リサーチパーク。――タフな戦いになる。ジャヴァスクリプターはそう直感した。

 だが彼に、もはやザンネン・アティチュードは皆無。友との再会。娘の生存。彼は改めてハンニャめいた決意を固めた。全エスイー滅すべし。全エスイー滅すべし。どうなろうと構わない。ミシマを倒す。そう。刺し違えてでも。

 そしてジャヴァスクリプターは、魔都・シナガワへと消えた。

 (休憩)

 「ヌハハハハハ! ヌッハハハハ!」シバウラ・リサーチパーク地下。タタミ300枚分もの深さに設けられたここ、スゴイデータセンタでは、ジャヴァスクリプターの襲撃を逃れたミシマが、超高級ザブトン・ソファの上でアグラをかき、ゆったりくつろいでいた。時折響く「イヨーッ!」シシオドシ・サウンドが心地良い。

 このスゴイデータセンタは、ヌリカベ・ベトン100万ダワラーで構築されたボウクゴー・シェルタによって守られており、数百発の原子反応ミサイル弾頭の直撃にも耐える。また、数百人ものマッポー特殊部隊が常駐警備にあたっており、攻勢ファイアウォールにより電子的侵入に対しても万全安心対応。まさにマジノラインめいた鉄壁要塞である。

 「クラウドアーキテクト=サンがやられたようだが、ジャヴァスクリプターといえこの要塞に侵入することは実際不可能。 モスキート・ダイブ・トゥ・ヘルファイアだ! ヌッッハハハ!!」ミシマはサケの注がれたオチョコを片手に、ピュアオーガニック・カッパロールを口に運ぶ。オイシイ!

 キャバーン! キャバーン! キャバァーン!! しかしそのゼンユトリ・アトモスフィアを破ったのは耳障りな大警告音! 同時に7色に点滅するアラートウインドウが、三次元ホログラフィ映像によって次々に出現! 連続的に混濁極まる報告連絡相談を告げる! 「第501独立ケンドー機動隊全滅! 第422カラテ特殊戦隊壊滅! 第75クンフー武装連隊殲滅!!」

 「何が起こっている!?」ミシマはせわしなくダム端末を叩き続けるコヒョウ・オペレータを問い詰める。「機関部損傷70%、ダメコンシステム異常――状況、わかりません!!」「このムダメシ・クイダオレ!!」ミシマが投げつけたオチョコがオペレータを直撃!「グワーッ!!」オペレータはしめやかに昏倒!

 鳴りやまぬアラートの中、ミシマは内線PHSを取り、全軍統括するショウグンであるダイミョウ、カキザキへとオトイアワセすべく直通番号を押す。……トゥトゥルー……トトゥトゥルー……トゥットゥルー……。

 3コールしても出ず! これは即ケジメも辞さないスゴイ・シツレイである。ダイミョウたる地位のものに通常ありえぬ事体。ミシマは状況の異常さにオバケめいた恐怖を感じた。まさにその時!

 「Wasshoi!!」地獄の釜の底から響く、番犬ツェルベルスめいた狂気の雄叫びとともに、天井を破壊した赤黒いシノビー装束の物体が落下! 砲弾!? ミサイル!? ロケット!? バンカーバスター!? 否! エスイーである!! 彼は大気を切り裂くような連続三回転宙返りと共に盛大に着地!

 立ち上る白煙の中、血染めの「邪破」「巣食」等幅ミンチョウ・フォントが漆黒のシッコロに浮かび上がる!! それはまさしく、かのエスイーに相違なし! 「ヤナギの下でゴースト・ウォッチ」というコトワザそのものの表情で振り返るミシマに向け、彼は一分の隙もない、完璧なオジギを決めた。

 「ドーモ、ミシマ=サン。ジャヴァスクリプターです」

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ネクスト・トゥ・ザ・スクリプト……

参考文献:  ニンジャスレイヤー アイドルマスター

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