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人材育成、講師の視点から(8)

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 こんにちは、天野勝です。

 私は、コンサルタントという職業柄、人にものを教える「講師」という仕事をすることが多いです。現場カイゼンの導入教育や、C言語でのテスト駆動開発と、かなり多岐にわたっています。

 この連載では「講師」をしていて気付いたことを私の視点で発信していきます。

■学ぶということ

 アジャイル開発や、チームファシリテーションのセミナーでは、朝会、ふりかえり会、計画づくりといった主要な会議体の進め方を演習で体感して学んでもらうようにしています。実際に、身体を動かすことで、テキストや言葉だけでは伝えきれないことを、その気づきから学んでもらえています。「学ぶ」の語源は「真似ぶ」[*1]とも言われており、動きを真似てみてこそ、分かることも多いのです。

 しかしながら、裏を返すと、アジャイル開発やチームファシリテーションの中心的な会議体をスムーズに効果的に運営できるようになるには、ハードルが高いということになります。

■「できる」と「できた」の違い

 「アジャイル開発を行なっているが、どうもうまくできていない」と感じている方たちのほとんどが、これらの会議体を行なってはいるそうです。しかし、詳しく話を聞いてみると、その会議体はどうもうまく運営できていないようです。

 例えば、朝会では「前日やったこと」「今日やること」「問題点」という、3つを報告するというのが流儀ですので、そのとおりにやっているということですが、いつも「問題点」は挙がらないそうです。特に、「計画したスケジュールから遅れているにも関わらず、問題がない」というのはおかしな話です。

 確かに表面的には正しく見えますが、これは何か違いますね。どうやら、手順ばかりに気がいってしまって、形式的に進めてしまっているようです。これらの会議体についてはうまく運営できているかのチェックリストを用意してありますが、これは備忘録的なものですので、うまく運営できている状態が分からない人がチェックしても効果はそれほど高くないというのが現実です。経験がない人がチェックしても、効果が上がりません。

 会議はそこに参加する人次第の水ものですので、うまく運営するのは本当に難しく、そこそこうまく運営するのだって骨が折れるのです。だからこそ、「できる」と「できた」の間には、大きな隔たりがあります。

■演習中心のセミナーならではのメリット

 演習中心のセミナーは、「できる」つもりのことを、なるべく「できた」に近くするための工夫です。実際に身体を動かすことで多くの気づきを得て、そこから学べます。擬似的でも「できた」を体験することで、できていない時のギャップがわかるのです。

 セミナーに参加される方の中には、グループでの演習を敬遠する方もいらっしゃいますが、現場で使える知識や知恵を持ち帰るには、ぜひ演習を体験してください。職場で失敗すると失うものがあるでしょうが、セミナーの中で失敗するのは得るものの方が多いのではないでしょうか。

[*1] 語源由来辞典
   http://gogen-allguide.com/ma/manabu.html

 

 皆さまがお仕事を進める際のヒントになれば幸いです。

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