ソフトウェア開発における3つのプロセス(3)
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前回は、本連載の主旨「ソフトウェア開発における3つのプロセス」について、それぞれ話をしてまいりました。繰り返しになりますが、再度、この3つのプロセスについて簡単にまとめます。
- マネジメントプロセス:開発プロジェクトをマネジメントするプロセス
- プロダクトプロセス:ソフトウェアを開発するプロセス
- オペレーションプロセス:開発チームを動かすプロセス
これらのプロセスがうまく回ることで、開発プロジェクトが動いていきます。
今回は、この「オペレーションプロセス」実施に必要なツールや考え方をまとめた「チームファシリテーション」を紹介します。
「チームファシリテーション」は、「開発チームでの『日々の仕事』を進める『仕組み』の典型」で、次の3つから構成されています。
- アクティビティ:週次計画、朝会、振り返りなど
- 「見える化」ツール:タスクボード、バーンダウンチャートなど
- リズム(よい習慣付け):アクティビティの予定(時間割)
「リズム」に沿って開発チームのマネジメントサイクル(通常は1週間)を作り、PDCAサイクルを回しながら仕事を進めていきます。
皆さんの中には、「朝会」や「振り返り」という言葉をどこかで聞いたり、実際に行っていたりする方も少なくないと思います。また、実際に行っている方の中には、同時にタスクボードなどの「見える化」ツールを組み合わせながら活用している場合もあるかと思います。これらを、マネジメントサイクル上にどのように組み合わせて使用すかを決めたものが「リズム」です。このリズムを表したものを「時間割」と言っています。
開発チームをうまく回すためには、「リズム」をどう組み立てるかが1つのポイントになります。既存の会議体とこれらのアクティビティの目的と内容を整理し、異なるアクティビティや会議体で同じ内容が重複しないようリズムを作り上げていきます。既存業務に、うまくアクティビティを組み込むことが重要です。
また、開発チームにアクティビティを定着させるためにも「リズム」が影響します。定着させるには、これらを「よい習慣付け」とすることです。
「チームファシリテーション」の研修時には、受講者に「リズム」を作ってもらうために作業をしてもらいます。実施する曜日と時間の欄にアクティビティや会議などについて、1週間の時間割(横軸に月曜日から金曜日まで、縦軸に8時から20時までの表)に書き加えてもらうのです。
そうすると、多くのリーダーが出席しなければならない会議の多さと、実際に作業をする時間に当てられる時間の少なさに驚く方が多くいます。これは、開発者も同様です。
このことから、実際に皆さんが週のうちどの程度開発業務に充てる時間があるか把握していないことや、皆さんが実際に行っている仕事量と定時内に充てられる時間とに大きな差があって、この差を残業で補っているという現実が浮き彫りになります。読者の皆さんはどうでしょうか。
この「チームファシリテーション」の特徴の1つに、「マネジメントと開発チームが連携(協調)しながら仕事を進めていくこと」があります。今まで説明してきた「マネジメントプロセス」などの「3層の開発プロセス」における1層の位置付けからもお分かりかと思います。
次回は、「マネジメントプロセスとの連携」の話をしたいと思います。
このほかにも、システム開発に関わる人をイキイキさせるヒントをブログにてご紹介しております。ぜひご覧ください。