BUG019 - ピザの空箱が語るシリコンバレーの昨夜の修羅場
こんばんわ、皆様お元気でしょうか、elcaminoreal255です。最近、過度なパワハラ的な残業に起因すると思われる痛ましい事件があって改めて日本のブラック企業な残業ってどうなのよ、と問われてます。対して欧米、アメリカ、シリコンバレーでは毎日明るいうちに家に帰って家族揃って夕食食べてTV見て一家団欒皆ハッピー、と言われますが、本当のところはどうなんでしょう。
結論から言うと、YesともNoとも言えます。基本的には、シリコンバレーには定時とかチャイムとかタイムカード、といったものはありません。だいたい9時過ぎに適当に出社して、5時前後にほとんどの人が適当に退社します。月曜から金曜まで「基本的には」です。細かく言うと月曜は週末の延長で少し遅く出社して、金曜は週末の準備かそれとも燃え尽きたのか、少し早く退社する傾向があるようです。金曜が3連休の前だったりするとなおさらです。
ただし、誤解のないように書いておきます。私もアメリカ、ITエンジニア生活は長いですが、何度も修羅場がありました。
その修羅場というのは、至って日本の職場の修羅場と同じでした。年末年始のホリディシーズンに合わせてすでに大々的にアナウンスしてしまった商品のリリース直前になってもバグが多すぎて連日連夜のデバッグだったり、順調に行ってたはずのプロジェクトに客先から突如重大クレーム発生、とか。ざっくり平均すると年に数回でしょうか。今思えばどれも良い思い出でしたが当時の現場はいつも大パニックでした。そういったときは、マネージャがどうのこうの言い出す前にまず自宅に電話「ちょっと今晩はやばいから先に飯食って寝てて」、と同時にマネージャがいつのまにやら大量のピザの出前をとって修羅場に突入って感じで、まぁ日本の職場ならピザがおにぎりかカップラーメンになるだけで同じ景色ですね。
ただ翌朝、問題が解決して通常業務の体制に戻れば何事もなかったかのようにすべてが元に戻ります。休憩室の片隅に積んであるピザの空箱と大量のコーラの空き缶を他の部署の人が見て、「あれ、昨日なんかあった?」って気づくかどうかだけです。
シリコンバレーのエンジニアは原則として、残業とか休日とかいった手当は出ません。すべては年初にサインした年俸に含まれています。従って修羅場が何回あろうとなかろうと振り込まれる給料の額は変わりません。それじゃ不公平じゃないかとも思いますが、その額にはいざ修羅場になったらその対応は覚悟して愛する家族よりも最優先で行います、という約束が暗黙のうちにあるとも言えます。
ただし、ここがいちばん大事なところですが、その修羅場は本当に自身の睡眠時間や家族を犠牲にするほどの緊急事態なのか、それともマネージャが自分のプロジェクトの保身のためにただ吠えているだけなのか、そこを客観的、常識的に判断できるかどうか、そしてその視点をチーム全員が共有できればピザの空箱に文句を言う人は誰もいないわけです。