シリコンバレーで現役デバッガやってます。

BUG005 - スピードが命だとかいって平気でダラダラ時間を無駄にするシリコンバレー

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こんにちわelcaminorealです。

 「寝床でふとひらめいたアイディアを早朝のブレーンストーミングで練り上げ、役員とのランチで資金を確保、夕方までにあらかた設計を終わらせ、深夜のうちに地球の裏側からテスト、そして日が昇るころには全世界でサービス開始。ここシリコンバレーではスピードが命だ」―――みたいなおとぎ話を信じていてはこの街で働く人たちの真の姿はいつまでたっても見えてきません。もっとも前回お話した1%のまたまたその中のほんの一握りの人たちにとっては実話なのかもしれませんが、ほとんどの住民にとってはスピードが命だの余計なお世話です。

 シリコンバレーの朝はまず子供を学校に送ることから始まります。アメリカでもほとんどの州では無料でスクールバスが提供されるのですが、ここカリフォルニア州では予算不足のためスクールバスは有料になりつつあります。かといって小学生を「いってらっしゃーい」と玄関から送り出しただけで育児放棄という犯罪になってしまう恐ろしい国なので、誰か大人が子供を送っていかねばなりません。子供と過ごす貴重な時間は決して無駄ではありませんが、みなさん毎日お疲れ様です。

■通勤に往復3時間

 さて子供を送ったあとはようやくオフィスへ向かうわけですが、シリコンバレーの通勤事情ははっきりいって異常です。公共交通機関の整備はお世辞でもハイテク都市とは言えません。サンノゼには路面電車とバスがあるだけでよほど自宅とオフィスの両方が駅から近くない限り電車で通勤することは不可能です。サンフランシスコには地下鉄がありますが、シリコンバレーまでは接続していません。サンフランシスコとシリコンバレーを結んでいるのはCaltrainという電車、おっと電気ではないのでディーゼル列車、がのろのろ走っているだけです。最近では大手企業は社員専用バスを走らせてるようですが、いくら無線LANがあっても渋滞は避けられません。

 この通勤渋滞をさらに悪化させているのが悪くなる一方の住宅事情です。標準的なエンジニアの収入でアメリカのドラマに見るような大きな庭付き一戸建てに住むには、もはやシリコンバレーから遠く離れた山の向こうのニュータウンのような場所しかありません。そうなると通勤時間は1時間半、2時間となってももはや驚きではありません。海と山に囲まれたシリコンバレーでは橋や谷や峠越えのいたるところで信じられない渋滞になります。

 一般的にアメリカのラッシュアワーは日本に比べると早く始まり早く終わります。ほとんどのカープールレーン(2人以上乗車していないと走れない車線)も朝9時には解除されるのですが、どっこい10時になってもびっしりと渋滞が終わりません。渋滞の車中ではスマホをいじったりするのは違反なわけで、皆さん何をしているかというと、ラジオや音楽を聴くか、Bluetoothで誰かと電話するくらいしかすることはありません。皆さん本当にお疲れ様です。

■昼食に2時間

 さてお昼休みにたまに外へ食べに行けばこれまた信じられない長蛇の列です。普通のファミレスでも並ばずに入れるのはまれですし、近年なぜか大ブームのラーメン屋へ行けば一時間待ちもあたりまえです。おっとそこで並んでるグループの皆さん、全員、超有名企業のバッジを首から下げてらっしゃいますが、こんなところで貴重な時間を使っててお仕事のほうは大丈夫なのでしょうかね?

■病院で3時間

 他にも日本の感覚とずれているのが病院です。カゼでも歯医者でも原則すべて予約しなければ診てもらえないこの国では、急な病気になったときは救急窓口へ行くしか手段はありません。その窓口にかかげられた「ただいまの待ち時間=2時間30分」という札を見ると必死に痛みをこらえるか、ひょっとすると自分の番が来るころには自然治癒してしまった、なんてしゃれにもなりません。

それではまた。

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