私が人見知りをしなくなったわけ(2)
こんにちは、小南です。
記憶をたどりながら書いていきますので、もしかしたら多少前後することがあるかもしれません。読みづらいところもあるかと思いますが、どうぞお許しくださいね(前回はこちら)。
●人見知りはするけれど……
もともと、人見知りはありましたが、比較的人と話すのは苦にならいタイプでした。
ただ、そうかといって、コミュニケーションがうまいともいえませんでした(笑)。
当時の私は、 自分の話を聞いて欲しくてしようがない、かといって、人の話は聞けていない。
友人や会社の人と話をしながらも、
「次に何を話そうか?」
と、頭の中ではそんなことばかりを考えていました。
負けん気も強かったので、自分の納得がいかないとついつい言い過ぎてしまったり。きつい言葉を使ってしまったりしたこともありました。
コミュニケーションでの失敗は、数え切れないほど経験してきました(^^;;
●コミュニケーション能力は先天的なもの?
当時の私は、 コミュニケーション能力は先天的なものだと思っていました。
プレゼンテーションがうまい人は、もともとそういう素養のある人なんだと。
今思うと、何でそう思い込んでいたのか、とても不思議に感じます。
赤ちゃんの時は皆が同じように話すことができなくて、少しずつ言葉を覚えて大人になっていきます。
もちろん、先天的な部分がまったくない、とは言いませんが、そうやって皆、実はコミュニケーションを学んできているのですよね。
●突然プロジェクトマネージャを任せられて
プロジェクトリーダー時代はプロジェクトマネージャがいましたので、基本的にプロジェクトメンバーとのコミュニケーションは全面的にプロジェクトマネージャにお任せしていました。
ところが、ある日のこと。
私に「プロジェクトマネージャをするように」との、突然の上司からの指示。
それまで先輩に任せきっていたこともあり、正直パニック状態でした(^-^;;
慣れない役割に戸惑いながら、ただただ、やみくもに仕事をこなす日々。
そんな時に、プロジェクトであるトラブルが発生しました。IEのバグらしいのですが、なかなか確証が得られません。
少人数、かつ、短期間のプロジェクトであったため、他のメンバーも手いっぱいでとても調査を依頼することもできず。プロマネをしながら、片手間で情報を探す日々が続きました。
困りきって上司に相談をしたところ、協力会社のAさんが、1カ月だけ私たちのプロジェクトにヘルプで入ってくれることになりました。
このAさん、エンジニアとしては非常に優秀な方なのですが、なぜか話をするときに横を向いていたり、うつむいていたり、まったくこちらを向いてくれないんです。
同じ協力会社の人たちとはとても楽しそうにしているのに、私たち社員に対してはまったく心を開いてくれませんでした。
実はそういう状況もあったため、Aさんは1カ月後に契約終了になることになっていました。
上司からその話を聞いた時には正直、どうAさんに接すればいいか非常に悩みました。
他に選択肢はなく、わらにもすがる思いで、Aさんに状況を説明。調査を依頼しましたが、やはり私の方をまったく向いてくれません。
モニタを見つめたままのAさん。それ以上どうしていいのか分からず、私はAさんの側を離れ、自席に戻りました。
“Aさんに任せて……大丈夫だろうか……?”
不安がよぎります。
ただ、その時は、なれないプロマネの仕事で、私はいっぱいいっぱい。Aさんにゆだねるしか方法はありませんでした。
●不安の先にあったもの
数日後、Aさんが私の席にきて、原因が分かったことを報告をしてくれました。そのときもやはり、「しょうがないな……」という感じで、必要最低限のことをだけを私に伝え、Aさんは自席に戻っていきました。確認してみると、IEのバグであることが判明。対策が分かり、やっと安堵することができました。
私が想像していたよりも、はるかに短期間で、Aさんは原因を発見してくれました。それがどれだけうれしいことだったか、Aさんに心の底から感謝しました。そして、ふと、気が付きました。
“私、Aさんにお礼をちゃんと伝えていない……”
その一方で、Aさんのぶっきらぼうな態度が脳裏をよぎります。
“どうしよう……?”
少し悩んで立ち上がり、私はAさんの席に向かいました。そして、Aさんに声を掛けました。
「Aさん、さっきの件、すごく助かりました。本当にありがとう」
そんな言葉を伝えたように思います。モニタを見つめたまま、ただ黙ってAさんは私の言葉を聞いていました。
すると、翌日からある変化が起こりました。Aさんが、自分から私に話し掛けてくれるようになったのです。しかも、仲間たちと話すときのような笑顔で。最初はびっくりしたけれど、とってもうれしかったことを今でも覚えています。
私がしたことはAさんにお礼を伝えたこと、たったそれだけです。もともとのAさんは決してぶっきらぼうな人なわけではなく、明るくて、笑顔で話ができる人なんだと思います。ただ何かの理由があって、それが出せずにいたのですね。
私にとって、この出来事は、人とのかかわりに興味を持つ大きなきっかけになりました。そういう意味でもAさんには今でも感謝しています(^-^)。
人はどうすれば動いてくれるのだろう。
自分自身のことも含めて、たぶん無意識のうちに考えるようになっていたのだと思います。
その数年後、会社の合併を機に、私は転職をすることになります。