細々と働くエンジニアが、細々と何かを書いていきます。

父の入院から学んだプロジェクトマネジメント

»

 3月某日、父が退院しました。

 脳梗塞の症状はリハビリや薬を通して快方へ向かい、当初の予定どおり2週間で退院できる見通しでした。しかし、飲んでいた薬の副作用で腎臓に負荷がかかったためか、血液検査をしてみたらカリウムの値が異常値を示して退院が延期しまして。その値を下げるための薬も飲むようにしたことでカリウムの値は正常になり、3週間強で無事、退院できました。

 退院までのこの3週間、本当にいろいろなことをしなければならず、大変でした。

■やることがいっぱい

 僕は最初、「まあ、ちょくちょくお見舞いに行けばいいかな」というほどにしか思っていませんでしたが、よくよく考えてみたら、「入院(病院)に対してすべきこと」「入院中の父の代わりにすべきこと」などをリストで挙げていったら、めちゃくちゃたくさんあることに気づきました(苦笑)。

■基本的に僕が助けるしかない

 また、一人っ子で、僕が小学生のときに離婚して父子家庭だったので、父に関するいろいろなことをすべて僕が抱えなければなりませんでした。

■入院費、その他の支払いをどうするか

 入院中は当然、働けないので収入も減るわけです。また貯金もあまりないということで、入院費は僕が支払いました。ただ、70歳以下の人が入院した場合に窓口で負担する入院費を減額してもらえる制度が社会保険にあるそうで、その制度は利用しました。そのために、地域の社会保険事務所に出向き、手続きをする等もして大変でした……。

 また、光熱費などの支払いの中で、銀行振替ではなく毎回、現金で支払いをしていたものに関しても、僕が支払いに行きました。

 これに限らず、帰省のたびに3000~4000円を費やしてしまうため、自分の金銭面の管理もしなければならず……。

■退院までにすべきことと、そのスケジューリング

 当初の予定では入院は2週間。短いですし、別に僕がやらなくても父が退院してからしてもらえばいいか、という思いもありましたが、先述の窓口での入院費の減額申請や、退院後の家の生活のことなど、2週間という短い間にしておくべきこと、考えておくべきことがたくさんありました。

 また、僕が父の地元に住んでいれば、まだ簡単に何でも行えそうではありますが、僕は他県に住んでいて、移動時間も3~4時間かかってしまうため簡単には帰れません。いつ帰省するか、次に帰省するときに何をしていかなくてはならないか、その計画を毎回の帰省前に立てていました。

■退院日の延期に戸惑う

 最初、入院は2週間ということだったので、父の入院中は、僕もプライベートでの遊ぶ予定は控えようと思っていました。2週間より先の日に予定を入れていたのですが、先述のように退院日が延びまして。退院日に僕は帰省して父をサポートしなければならないと考えていたので、僕の遊びに行く予定を取りやめなければならなくなりそうになって戸惑ってしまいました。

 結果的に1週間延期しただけで済みましたが、1か月以上にもなると、僕の仕事上でどうしても休めない作業予定が入っていたので、さらに大変な事態になるところでした。仕方なく、「退院日に僕が帰れないこともある」旨を父に了解してもらい、僕がいなくても何とか退院できるような準備だけは事前の帰省時にしておきました。

■どうしても僕がダメな場合は、親戚に頼む

 今回の父の入院時に付き添ってくださった親戚の方がいました。入院の次の日に僕は帰省し、病院へ向かう前に親戚からいろいろな話を聞きました。そのときに「何かあれば遠慮せずに電話してくれ」と仰っていただけました。何でもかんでも頼るわけにはいかないとは思っていましたが、ちょっとしたことのためだけに会社を休んで帰省するのも会社に迷惑をかけてしまうため、何回か親戚に頼みごとをしてしまいました。それでも快く引き受けてくださいましたし、「がんばってね」と労いの言葉もかけてくださいました。その親戚の方には大変感謝しています。

■生活習慣の見直し

 また別の箇所に脳梗塞ができる可能性もありますから、薬ばかりに頼らず、退院後の生活の見直しについても、主治医の方から話を聞いたり、僕自身でぐぐってみたりして調べました。

 脳梗塞の場合、特に「タバコ」はダメだと思うので、その点は厳しくしていこうかと思っています。入院中も退院後も、「お願いだから1本くれ」としつこく言われ、そのたびに説教しました(笑)。

■心のケア

 父は運よく、リハビリも順調で、歩くことも普通にできますし、普通に話もできますし、傍から見たら「本当に脳梗塞を患ったのか」と思えるほど元気になりました。ただ、個人的には精神面も気にかけていかなければならないと思っていました。そのため、できる限り電話や面会で話をするようにし、少しでも「忘れっぽくなったのも脳梗塞だからだろうなあ」とか「俺は本当に情けない」などと言い出したら、「もう60近いんだから、そうなるのは仕方ないと思う」など、決して父は悪くないという意味を込めたことを言って、父を落ち込ませないよう、コミュニケーションに努めました。

 また、書類の申請などに関して、各機関に問い合わせの電話を自分からすすんでかけるようにしました。そういった電話を自分からかけるのは本来は苦手な性格ですが、そうも言ってられなかったので。

■これって、PM?

 父の件で右往左往し、仕事もちゃんと両立し、疲れていてボーっとしていたときに、ふと思いました。

 「今の僕って、プロマネみたいなことをしてないか?」と。

 もちろん、仕事上でのプロジェクトとは違います。何かドキュメントを作成しているわけでもありませんし。ただ、今までの人生で、ここまで、いろいろなものを管理したり、関係各所に連絡をして調整したりした経験がありませんでした。そういう意味では、今回の件で学べたことは大きかったです。

■PMは、決して1人きりじゃない

 また、今回の件では、いろいろな方に助けてもらえたことも嬉しかったです。僕の事情を理解してくださり、ご配慮いただけました。助けてもいただけました。励ましのお言葉もいただけました。何かをしなければならないのは、家族である僕ではありますが、だからといって1人で何でもかんでも抱えなければならないわけではない、決して1人きりではないんだ、というのがよくわかりました。

 僕のことを助けてくれた方々、支えてくれた方々には心の底から感謝しています。

■プロジェクトは、第2フェイズへ

 退院して、もう全てが終わったわけではありません。今後は「退院後の生活」という第2フェイズがはじまります。通院・リハビリは大丈夫か、薬はちゃんと飲んでいるか、良い生活習慣を送っているか、仕事へはいつ復帰できるか、など、これからも考慮すべき点はたくさんあります。今の家と土地を売って、僕の今いるところで新しく家と土地を買おうかという話もしています。父と、僕と、僕の奥さんと子供とで住める家(くれぐれも、「先に奥さんを見つけろよ」という心配はしないでください(笑))。

 まあ、とにかく、今後も父には元気に楽しく生活してもらえるよう、僕も父を遠くから頑張って支えながら、自分の仕事を両立しつつ生活していきたいなと思っています。

☆★☆

 余談ですが、父に快気祝いで地デジ対応の薄型テレビを買いました。32V型。画面が大きくて綺麗だと、喜んでくれたので、僕も嬉しかったです。ただ、入院費も僕が払ってるのに、そんなのを買って僕の懐は大丈夫なのかという後悔も少々……。ま、まあ、エコポイントで還元しようとは思います(笑)。

☆★☆

 更にどうでもいい余談ですが、今日でジャスサーです(笑)。

Comment(2)

コメント

第3バイオリン

あずKさん

第3バイオリンです。

お父様が無事に退院されて良かったです。

>■PMは、決して1人きりじゃない

これ!私もいつか言いたいと思っていたんですよ!
私が見積もりの20倍の工数を使ってしまったプロジェクトのときも、課長や開発リーダーに助けてもらいました。
それだけでなく、Twitterを通していろいろな人に励まされました。
あのときは昼ごはん食べながら泣きそうになりました。

ひとりでいろいろやらないと…と気負ってしまうこともあるでしょうが、必ず助けてくれる人はいます。
私も、課長に工数の振り替えやら何やら、いろいろ助けてもらいましたから。

今日がお誕生日ですね。おめでとうございます。
実は今日は、私の第1回のコラムが掲載された日でもあるんですよ。
「コラムニスト 第3バイオリン」も1歳の誕生日ってところでしょうか。
私の本当の誕生日は半年ほど先ですが(笑)

あずK

第3バイオリンさん>
コメントありがとうございます。
退院が延期したときは、どうしようかと思いましたが、
無事に退院できて安心しました。
久々に心安らかな週末を過ごせました。

>>■PMは、決して1人きりじゃない
>これ!私もいつか言いたいと思っていたんですよ!

PMっぽいことしてるなあ、と思った理由のひとつが、
関係各所への連絡と調整というか。
プレイングマネージャとして何でもかんでも僕がやっていたわけではなく、
どうしても必要なときは親戚に無理なお願いをしましたし、
会社の先輩方も助けてくれたり今後の体制を考え直してくれたりしましたし。

完全にプレイングマネージャとして僕だけで解決しようとしたら、
退院まで事がスムーズに運ばないか、僕が倒れたかどちらかだったと思います。
色々な方の助けがあったからこそ、
無事に退院できましたし、退院後の生活も何とかやっていけそうな感じになりましたし。

こういうことって、実際にそういう状況に置かれてみないと、
心の底から理解するのは難しいかもしれませんね。
なってみてはじめて、人の優しさに気づくというか。

> 今日がお誕生日ですね。おめでとうございます。
> 実は今日は、私の第1回のコラムが掲載された日でもあるんですよ。
> 「コラムニスト 第3バイオリン」も1歳の誕生日ってところでしょうか。
> 私の本当の誕生日は半年ほど先ですが(笑)

これはまた奇遇ですな(笑)。
1周年おめでとうございます。
(僕のコラムニスト1歳の誕生日は既に過ぎてしまいましたが。)
ただ、どれだけ忙しくてもぼちぼちと書き続けられたことと
1年間も続けられたのは、今振り返ってみると自分でも驚きです。

それだけ、エンジニアライフという場は
色々なことを学べる貴重な場所なんだろうなあ、と思っています。

コメントを投稿する