最終面接の落とし穴:『内定と退職のタイミング』
ほとんどの企業が採用内定の証明として、「内定通知」という書類を出します。
今回は、内定通知を受け取る前に退職をし、失業してしまった失敗事例をご紹介します。これから転職を開始される方は、事例のようなことがないよう是非とも参考にしていただければと思います。
佐伯さん(仮名)は、中堅のSI(システムインテグレータ)企業に勤める38歳のプロジェクトマネージャです。
これまでエンジニアとしてのキャリアを積んできたのですが、更なるキャリアアップのため経営層に近い仕事で実績を伸ばしたいと考えていました。
そこで、プロジェクトの管理を行うマネジメントだけではなく、ラインのマネジメントができる立場の仕事を希望するようになりました。
独自に情報収集を進め、ベンチャー企業(A社)の求人に応募し、面接に進むことになりました。
A社は、設立から5年目を迎えるベンチャー企業。これまで、最先端の技術提供を事業の柱としてきましたが、今後、先端技術が世の中に浸透するにつれ収益率が低下することが予測されます。そこで、新たな価値を創出するために、新規事業の立ち上げとともに、その部門長を外部から採用するという内容の求人でした。
選考は適正テストを受験した後、副社長による最終面接という流れでした。
面接は、下記のようなスムーズな内容でした。
副社長 君のような人がきてくれると弊社も助かるよ。来月の頭から出社することは可能かね。
佐伯さん それでは、1日から御社に出社できるよう検討してみます。
副社長 そうか、それでは期待しているよ。
給与条件も希望以上の額が出るということでしたので、佐伯さんの入社意思も高まりました。
1カ月先の入社日にあわせるため、佐伯さんは翌日、会社の上司に辞表を提出しました。上司からは、強く引きとめられ、双方険悪な状態になりながらも退職は受理されました。
退職が決まると、早々に引継ぎ担当者が決まり、取引先への挨拶も終了しました。
そして、面接から1週間経過したある日、最終面接を受けたA社より、正式な回答ということで佐伯さんあてに1通のメールが届きました。
てっきり内定通知がもらえるものと思い、メールを確認した佐伯さん。しかし、次の瞬間佐伯さんの表情は凍りつきました。
「不採用……?!」
何かの間違いではないかと慌ててA社の人事に問い合わせると……
「弊社はテストの点数も採用条件に入れているため、一定の基準を下回る場合はいかなる場合も不採用とさせていただいています。誠に申し訳ありませんが、今回はご縁がなかったということでご理解ください」
このような説明ではどうにも納得がいかず、副社長に直接、話をしようとしましたが、あいにく不在。現在も連絡をとり続けていますが、副社長とは未だに話ができていない状態。
また、前職の上司と喧嘩別れの状態なので今更、戻ることはできません。
佐伯さんは、行き場をなくし失業状態になってしまいました。
「あの時、きちんと確認をしていれば……」
どうして、このようなことになってしまったのでしょうか。それは、佐伯さんが正式な内定を確認する前に、退職を決めてしまったことが要因であったことはいうまでもありません。少なくとも内定通知を手にするまでは、退職するべきではなかったでしょう。
今回のケースは、本人の思い込みによることが大きかったのが最大の要因です。信頼のおける友人や人材サービス会社のコンサルタントに相談するというのもひとつの方法だったでしょう。
アデコ 人材紹介サービス部のコンサルタントは、単に求人企業をご紹介するだけではなく、応募→面接→内定→入社に至る全工程において、求職者おひとりおひとりのサポートを行っています。不安や疑問などがあれば、すぐにご相談いただき安心して求職活動をしていただけます。
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田島 康博