IT業界の仕事は女子職になるのか? 考察(その1)
いやいや、大変ご無沙汰になってしまいました。
「まだこれで4本目のコラムって」というぐらい放置してしまって、申し訳ありません……。コラムを書き始めたころは、ちょうどプロジェクトのスキマ期間だったんですが、直後ぐらいからプロジェクトがビックリするほど急激に動き始めてしまい、もともと計画していた海外旅行をまたぐように東京出張が入ったりとかで、てんやわんやでした……。「コラム書かなきゃ」と思っている間に気付けば秋、光陰矢のごとしです。
加えて先日、東京でコラムニストオフ会、通称「リッツパーティー」があって、そこで「コラムニスト」というお題でLTがあったようです。仕事が多忙過ぎて東京に行く余力はなかったのですが、後でUstreamは拝見させていただきました。
幽霊コラムニストになりつつある状況下にもかかわらず、なぜかわたしの名前はこのLTに登場したんですね(笑)。 そうです、コラム「“アラサー”IT系女子の来し方行く末」を書かれている組長さんのLTにて、ばばーんっと紹介されてしまいました(照)。なんでも、「素敵女子」の例にて……え~~~、わたしが素敵女子ですかそうですか……世の中のもっと素敵女子が反乱起こしそうです、はい。
そんなわけで、「コラム書かねば」という見えないかつ誰からかかっているかも分からない(笑)圧力が……。
で、今回に至りました。
ちょうど書こうと思っていたネタに重なるので、ちょっと不定期連載ものにしておきます。「IT業界の仕事は女子職になるのか? 考察」、今回は第1回です。
■料理研究家より多いはずなのに認知度低し
前置きが長くなり過ぎました。
ようやく雑誌を買って読む時間も取れてきたので、先日久しぶりに日経WOMAN 10月号を買ったんです。
ありました、「ご指名ウーマンの仕事術」。記事構成の中の1つに、「さまざまな分野でご指名されている女性たちの仕事術」ということで、いろんな業界の女性たちがピックアップされていました。キャスター、企画、海外営業、営業事務、宣伝、営業、販売、秘書……はい、終了。うーん、ITなんてカケラもない。
珍しく11月号も買いました(手帳術だったので思わず)。活躍する女性の手帳一挙公開! というところで、これまたさまざまな職種の方がピックアップ。営業、総務、広報、商品企画、宣伝、管理職、サイト運営、料理研究家。最後のに「なんでやねん!」と突っ込みつつも「お?」と思ったサイト運営の方の記事もよく読むと、顧客問い合わせ、発注対応など、少しITとは程遠いかな(わたしの会社でいうと、事業部での仕事に近く開発やサイト構築ではない)。というわけで、これまたITはなかったわけなのです。
うーん。やっぱり女子の仕事ではない?
確かに、本屋のコーナーでシステム寄りなコーナーに立ってると、甚だ浮くこともしかり。
でも、現実には結構いたりするはずなんだけどなぁ。少なくとも料理研究家より多いと思うよ。1200円払ったけれども、やっぱりお手本にしたいと思える人の発見にはつながらなかったのです。
LTでもあったとおり、まだ身近な人でお手本にしたい人には出会えていないのですが、こんなわたしにも一応「あんな過ごし方いいよね」と思える人、実はいるんです。その人の紹介を今回はしたいなぁと思います。
■某SIer勤務の自然体金融系SE
彼女と一緒に仕事をしたことはありません。むしろ、彼女と一緒に仕事をしたことがあるのは夫の方だったりします。ですが、同い年ということもあり、またわたしはもともと夫と同じ会社に勤めていたので面識もあり、一緒に飲みに行ったりして仲良くさせてもらっています。
彼女の仕事面についてはそれほど詳しいわけではありません。ただ、話を聞いてる限りにおいて、そしてTwitterのつぶやきやmixiで眺める日記を読む限りにおいて、是非ともこの自然体を自分にも取り入れたいと思うことが多いのです。
●彼女の共感できるポイント
- 裏表がないサバサバした振舞い
- 「やるべきことはやる。休むときは休む」というスタンス
- 付き合いの長い女子の友人を大切にする
●見習いたいポイント
- さまざまな経験をすべてキャリアとしてきちんと生かしている
- 「定番の自分あてご褒美」が決まっている
- 何でもそつなくこなす
彼女は、仕事でアメリカにも行っていて、そのときごろに執筆(共著とはいえ、かなりの専門書。もうわたしにはついていけないレベル)もしていたりするので、感心しきりなんですが、めっちゃ仕事してるかと思ったら、気付けば海外に息抜き旅行に行っていたりと、可憐なオンオフの付け方で、バイタリティもあって(彼女いわく、わたしの方があるそうですが、わたしはそうは思いません)、見習いたい女性の1人です。
■同期なのに一目置きたいしなやかプロデューサー
もう1人の女性は、いまの会社の同期入社、担当サービスが異なるだけで(大きなくくりでいえば)同部署・同職種の彼女です。そして、唯一同じ部署の同期女子だったりもします(そうなんです、同じ部署配属の同期は10人ほどいるのですが、みな男性でわたしと彼女だけが女性。やっぱり男社会なんですかね)。
入社して1カ月ほど東京で研修だったので、ランチや飲み会など、研修以外でも一緒に過ごすことが多かったのですが、なかなか面白く、そしてミステリアスな女性でした。でも、飲み会で話す価値観とかはわたしの持っているものとほぼ同じで、2人して男子同僚に立ち向かうなどしていました。わたしよりほんの少し年上ですが、同年代といっても過言ではないです。
●彼女の共感できるポイント
- オフでは活動的なオフとリラックスなオフの両方を取り混ぜている
- 仕事での出会いや縁を大切にしている
- 人付き合いは(おそらく)「大切にしている関係だけを深く」である
●見習いたいポイント
- 自分が一番“自分らしく”いられる空間を持っている
- 女性らしい柔らかな物腰でも“デキる女”を思わせる空気感をまとっている
- 生き急いでおらず、マイペースである
彼女も、仕事ではこれまでの経験を存分に発揮、すでにチームを1つ任されるリーダーとして活躍しています。もしかしたら、彼女にとったらいまの仕事はきっと物足りないのでは、とわたしが思うほどです。というより、周りが見ても彼女の振舞いはものすごくゆとりがあるように見えるのです。ゆっくりとしたしなやかな口調の中に、曲がらない、しっかりとしたポリシーと芯の強さを感じさせ、無理無駄を徹底的に排除した物事の進め方・考え方を表現する術は、是非ともまねしたいです。
■自分・仕事・プライベートのバランスを保つ。これは業界問わずに言えること
2人の共通点は以下のようにまとめられます。
●物怖じしないけれども女性らしいしなやかさがある
2人ともものすごく女性らしさを感じるのです。雰囲気しかり、行動しかり。身だしなみとかも関係しているんでしょうけれど。
なのに、男性社会のこの世界に入るとまったく違和感なく、むしろ対等であることがよく分かるぐらい堂々としている。彼女たちが過去に経験してきたことをすべて自分のものにしているからこそ、そうあれるのだと思います。
●生き急いだ感がないのに、ものすごく密度が濃い生き方
こう書くと世の中のカツマーにしばかれそうですが、わたしは勝間和代氏を見るとなんか生き急いだ感が否めないのです。といっても、世の中の人もそう見えていたようで、ここ1年ぐらいの勝間さんからはその雰囲気も消えてきたように思いますが。
生き急いだ感がないのに、ものすごく充実しているように見えるのは、時間や物事を丁寧に扱っているからなんでしょうね。
●大切な人との関係を大事にする
大切な人とはなにもプライベートの女友だちばかりではありません。仕事の上で知り合った人もすべて含みます。
プロジェクトだけの付き合いで終わるのではなく、その後もお付き合いできる関係を築けるのは、何も男性特有の飲みニケーションだけではないと思うのです。むしろ、女性ならではの気遣いやその人の持つキャラクターでも可能なこと。その方が飲みニケーションの関係よりも強固だと思います。
●プライベートでも、仕事のことを考えるのを厭わない
愛猫を膝においてくつろぎながらも、調べものをしたり。休みであろうとも、必要とあらばメールチェックしたり。昨今叫ばれているワークライフバランスと真逆のような気もしますが、世間で仕事もプライベートも充実していて輝かしく見える人の生活の特集を見ると、プライベートであっても仕事に生かせるものはないかとアンテナを張っていることが多いのです。そして実際、そこから得たひらめきや発想が多かったりする。となると、プライベートと仕事のバランスをうまく取ることが、ワークライフバランスの本質ですよね。
●自分を大切にしている
頑張っている自分をきちんといたわる時間があること、そして自分をいたわるための手段をいろいろ持っていること、何より自分を定期的にいたわって次の活力にしていること。
単なる日々のストレス解消方法だけでなく、健康面やメンタル面においても自分を大切にできているかというところは、男女問わず、なおざりになっている人の方が多いと思います。
「自分を大切にできる=自己管理できている」
この図式が成り立ってこそ、上記の4点も実行できると思うのです。
もっといろいろある気がしますが、むりやり5つにまとめてみました。そして書いていくうちにこれは「女性だから」という内容でもない気がしています。ビジネスパーソンであればこの点は役に立つような……。
そして今回、あらためてこの2人を客観的に分析してみて、面白いことに物理的な共通点もあったのでそれもあげておきます。
●英語が堪能である
2人とも、ネイティブレベルにペラペラで、しかもビジネスで英語を使える切れ者です。ペラペラすぎて本当にうらやましいです。発音もネイティブだし。
●行動がなんだかちょっとプチセレブである
これは別に稼ぎがいいとかいうのではなく、簡単にいうとお金で解決できる手間はお金で解決する、お金をかけるべきところにお金をかける、というところでしょうか。例えば前者なら、時間短縮と労力代行のためにタクシーを使うとか。後者なら、自分への投資を怠らないとか。
●デジタルものを駆使できる
1人目は携帯電話がBlackberryだったり、同期の彼女はiPhoneとiPadをさりげに使いこなしていたりと、使えるツールをうまく活用してます。
この偶然も、総括して考えるとなかなか納得のいく共通点だったりしませんか?
そんなわけで、このように現場で活躍している女子もいると思うと、IT業界のSEやプロデューサーの仕事も、女子職の1つといえるのではないかな、と思うのです。ただやっぱり女性のIT系の仕事というと、Webデザイナーとかが直感的にイメージがわきやすく、かつ華やかに見えるので、そちらが例になってしまうんでしょうね……。残念ですが。
もっと、このような彼女たちのように活躍している女性と、どんどん知り合いたいものです。
以上、第1回はお手本にしたいIT業界の女性のご紹介でした。
コメント
組長
あっちさん
こんばんは。私のLTをさらに深めた感じのコラムでとても楽しく、感嘆しながら読みました!このコラムに出てくる女性って、本当に見習いたい部分がたくさんあって、勉強になります!!
私は、「しなやかさ」がまったく無いタイプなんで、忙しくても「きー!」ってならないように気をつけないと……。
次回も楽しみにしておりますー★
▼組長さん
コメントありがとうございます!
というかLTのおかげでコラムが1本できました!
でもTwitterでのこの記事の反応を見ていると、確かに私が目にしている女性エンジニアって管理職に近いところかもしれないと思ったりしています。
純粋なエンジニア(つまりDB屋さんとかJavaプロフェッショナルとか…)の方々も女性エンジニアさんなので、そちらにも目を向けてその方面の女子エンジニアの話も書いていくつもりです(^^)
むぎ
はじめまして、こんばんは。
今の仕事についていろいろ検索し、ここにたどりついてコメントさせていただきました。
私は小規模会社で使われ出向社員をしています。JAVAのPG,SEを約9年しています。
未だに目標になる女性PG,SE(技術者寄りの)がいなく、この先このままでよいのか毎日モヤモヤしています。
とても楽しいコラムですね!日経ウーマンにはないリアル感があって共感します。
次回のコラム、楽しみにしております。
▼むぎさん
初めまして!コメントありがとうございます!
やはり、技術者寄りとなると少ないですよね…。
私も自分自身は技術者寄りではなく(経験はしていますが)、むしろマネジメント寄りになってしまっているので、技術者寄りの人で女性で頑張っている人っていないのかなーと思うことが多々あります。
このコラムもどちらかというと、女性でも現場で技術寄りとかではなく、マネジメントとかに携わっている人向きになっているような気もしていて。
今その狭間で悩んでいるところです。
いろいろまたご意見くださいね☆
次回のコラムも頑張ります(^-^)q