「下町ロケット」の夢のあるデスマーチは通用するのか?!
「社員たちは、不眠不休で頑張ってきたんだっ!」
■下町ロケット
日曜劇場「下町ロケット」が人気のようだ。阿部寛(注:「あべひろし」と読む。「あべっかん」ではない ←誰も間違えねーよっ!)が演じる佃社長が率いる佃製作所がロケットの部品を作る。クライアントからの無理な要求、敵の妨害、見方の裏切り。困難はいくつもある。佃製作所のエンジニアたちは不眠不休でがんばって立ち向かう。デスマーチにもめげない。そして精度の高い部品を作ってロケットの打ち上げを成功させた。エンジニアたちのがんばりは感動的だった。
ロケットを飛ばすという夢を実現したので、デスマーチも武勇伝になるのだ。
■闘うプログラマー
「闘うプログラマー」と言えばWindowsNTの開発物語だ(読んだことがない人は読んでおくべし。ITエンジニアなら)。個性派の強者が集められたから闘いも起こる。開発の道は険しい。デスマーチとなり離脱者も増える。だけど、画期的なOSであるWindowsNTを作るという夢を成功させたのだから、デスマーチだろうと苦しかろうと武勇伝になるのだ。
ロケットやWindowsNTを完成させるなどという大きな夢に向かってチームで一丸となって不眠不休で頑張ることが、エンジニアの美徳とされていたし武勇伝となってきた。
■これからの仕事はそうはいかない
しかし現在およびこれからの仕事はなかなかそうはいかない。
1つのシステムを作るにしても、制作全般に関わる人は少ない。市販のプラットフォームとツールを組み合わせて、あとのアプリは外注に丸投げするので詳細には関与しない。あるいは逆に一部の部品の製作だけを請け負っていて、要求仕様書はあるけど最終的に何に使われるのか分からない場合もある。そんなあいまいなものを完成させることを夢にできる人は少ない。悪夢に出てくることはあっても。
2つめの理由として、労働者がグローバル化していること。チームのみんなが不眠不休の突貫作業に付き合えるわけではないし、仕事に情熱を持っているわけでもない。
だから、下町ロケットや闘うプログラマーのように力作業で進める仕事は、今後は通用しないだろう。物語としては夢があって面白いけれど。
■短時間で付加価値のある仕事を
先週のコラム「サイボウズカンファレンスで聞いた短時間労働がうらやましい!」でワークライフバランスの小室淑恵社長の話を書いた。労働時間は短くして「仕事以外の時間でインプットしたことを会社に持ち帰って付加価値をつける」のがこれからあるべき仕事のスタイルだそうだ。なかなか難しそうだ。付加価値があるようなことをインプットできるのか。残業しないで帰れるのか。
ただ一つ解ったことがある。これからの会社は、経営者が下町ロケットのようなやり方でやろうと思っているようではダメそうだと。ドラマ的には面白いけれどね。
阿部寛 ではなくて あべっかん でした。
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コメント
仲澤@失業者
以上の説明にあるキーワードなどを使って調べてみてはどうでしょう。
「見方の裏切り」・・・まぁありますよね(笑)。それはともかく、
最近のプログラマは全体を一人で構築したことがない人が増えましたね。
プログラミングはこれが不可能ではない、ほとんど唯一の技術なのにもったいないことです。
小規模な工場がかかえる問題点は、それが部分しか作れないことかもしれません。
難しいことかもしれませんが最終製品を世に送り出すことにも挑戦してほしいですね。
最近はそんな例もでてきましたし。
仲澤@失業者
orz.
>以上の説明にあるキーワードなどを使って調べてみてはどうでしょう。
は誤りです。無視してください。
abekkan
>仲澤さん
工程が細分化されて分業されすぎるとモノ造りはつまらなくなってしまいますねえ。楽しいモノ造りがしたいものです!