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P2MのIT事例集を読書の秋に!

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 「わっ、事例紹介のページが200ページもある!」

 IT分野のためのP2Mプロジェクト&プログラムマネジメントハンドブックを開いてまずそう思った。

■IT分野のためのP2Mハンドブック

 この本は、PMAJ(日本プロジェクトマネジメント協会)から今年9月に出版された。プロジェクトマネジメントの手法であるP2MをITのプロジェクトに対してどのように使うか、というのを書いた本だ。

 約350ページのうち、200ページ以上がITプロジェクトの事例の説明になっている。これにはちょっと驚いた。ハンドブックというよりは事例の読み物。事例は7つ載っているが、すべて業種が違うし書いた人も違う。7つすべてを読まなくても、自分の業界や環境に近いもの、あるいは書き方が分かりやすいものから読めばいい。それだけでもP2Mを使ってプロジェクトを進めるやり方が少し分かってきた。

P2mit

■弁当・惣菜産業での業務再構築の事例

 この事例は、A氏とB氏の2人の会話の形で書かれている。どうやら、この事例の筆者でもあるB氏が得意とする書き方になっているようだ。

 A氏の会社の戦略を考えるところから始まっている。まずは経営解析型俯瞰図(OWモデル)というものを使っている。販売開発力、マーケット開発力、商品サービス提供力などに分けて会社の現状の「ありのままの姿」を分析した。

 次に「ありのままの姿」「あるべき姿」のギャップを埋めるために何をすべきかを考えた。すると、3次加工会社のスピード化が必要だと分かった。やるべきことが見える化されると、現場の作業員がオーナーと同じ目線でモノを考えられるようになりモチベーションを上げることができた。そして……

 この事例はITプロジェクトというより現場の意識改革のような話になっている。ITシステムを開発するときに、目的や方針がはっきりしていないために失敗することがよくある。P2Mはプロジェクト開始以前の戦略プログラムからを管理対象としているため、こういう事例を載せているのだろう。私の場合は下っ端なので会社の戦略を決めることはまずないが、小さなチームをまとめるときでも意識改革の例などは役に立ちそうだ。

■読書の秋に

 事例を読んだからといって、実際のプロジェクトマネジメント力がすぐに向上するわけではない。覚えた公式をすぐに使える算数のテストとは違う。

 一方、国語の力を付けるには、公式とかテンプレートを覚えるのではなく、文章を多く読むことで地道に読解力を付けていくことが必要だ。同じように、プロジェクトのマネジメント力を付けるには、事例を多く読んだり聞いたりして知っておくべきだ。こういう対応方法もある、という引き出しを地道に増やしていくと、いつかそれが役に立つことだろう。

 読書の秋に、こんな事例集の読書というのはいかがだろうか。少なくても、IT技術を日常生活に活かそう を読んでいるよりは役に立ちそうだ。(^_^;)

 abekkanでした。

 下記のサイトではこの本の別の部分を説明しています。

 お受験のプロジェクトマネジメント

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