デザイン思考はデザートのあとで
じ~...… (ガン見)
オレンジ色のゼリーを透明のプラスチックのスプーンで食べるN氏。みんなに注目されて、緊張して食べにくそうだ。石塚英彦だったら、満身の笑みで 「まいうー」 というところだが、N氏にはそんな余裕はない。
これは先日参加した「未来のユーザー要求を創出する方法としてのデザイン思考」(講師:棚橋弘季氏)というセミナーでのこと。今回はセミナーのレポートです。
◆デザイン思考ってな~に?
私も知らなかったが、デザイン思考とは、「デザイナの感性と手法を用いて人々のニーズと技術の力を取り持つこと」であり、「イノベーションを可能にするビジネスの方法」だという。
私の解釈では、ユーザーの行動を観察/分析して、ユーザーの行動をベースにして問題解決策をデザインすることかな。
特徴としては以下のことがある。
- 直感で理解する
- 感情的な側面を持つ
- 作りながら考える
- 早い段階で何度も失敗することが必要
- 失敗と作り直しを繰り返すので、スケジュールは立てられない
- 既存のものの改良ではなく、新しいものを生み出す(イノベーション)
といった説明をまず受けた。まだぼんやりとしか分からない。
◆デザイン前にデザート
5人のグループで行動観察の体験をやった。
まず、グループの一人、N氏がオレンジ色のマンゴーゼリーを食べる。それを4人が観察する。
じ~っ.... (ガン見)
食べにくそうだ。それはさておき、その一挙一動を観察して付箋紙に書き出す。
- スプーンは垂直に入れてから水平にすくい上げる
- 容器を持った手は小指で底を押さえ、人差し指でフタを押さえる
- 口に入れるときのスプーンと顔の移動距離は約3:1
という感じで書き出した。
次にY氏が白桃ゼリーを食べる。それを4人が観察する。
じ~っ.... (ガン見)
「まいうー」と私だったら言っていたかもしれないが(笑)、Y氏は真剣だった。その様子をまた付箋紙に書き出した。
◆観察結果の整理
みんなが書いたことを分類し、整理する。これはKJ法だ。そこから気付いたことを書いていく。するとこんなふうになった。
- 途中で容器の持ち方を変えた
- 途中でスプーンの持ち方を変えた
→量が減ってからは底をすくいやすくするため
→容器が深いのでもっと長いスプーンがよい
→あるいは、容器はもっと薄いほうがよい
- マンゴーゼリーはスプーンですくって、すぐに食べていた
- 白桃ゼリーはスプーンで果肉を切って食べていた
→白桃ゼリーは果肉が大きくて堅いので切りにくそうだ
→ゼリーの種類によってスプーンを変えたほうがよい
こうやって、新商品のゼリーのアイデアを考えていく。これがデザイン思考のやり方だ。
これは短い時間でやった練習なので誰でも思いつきそうなアイデアしか出てこなかったが、本格的にやれば立派な新商品が生み出されるだろう。
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こんな感じの面白いセミナーだった。3時間ほどなので深いところまではやっていないが、ユーザーの行動を観察/分析して、ユーザーの行動をベースにして問題解決策をデザインするという方法が少し分かってきた。
まずは、観察力が必要だ。デザートを食べるときにでも、意識的にじっくり見ることを心がけていれば、デザイン思考に必要な観察力が養なわれる。そして、
デザートを食べるという日常生活をIT技術に活かすことができる。
あれっ、なんか変だな……。しまった! このコラムのテーマ 「IT技術を日常生活に活かそう」 の反対だった。(^_^;)
編集長にボツにされちゃうかも……。
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デザイン思考について、
abekkanでした。