お笑い芸人ロボットを作ろう
前回の ロボット教室の話 を書いていて、ふと思った。IT技術でお笑い芸人のロボットって作れないだろうか? 早速、要求仕様を考えてみる。
◆ボケ ロボット
決められたネタをただしゃべるだけではビデオと変わらないから、人の会話に反応して話をするロボットを考える。次の機能を搭載する。
言い間違い機能
まず簡単そうなのは言葉の言い間違い。ナイツの「ヤホーで検索して...…」のパターン。類似語のデータベースを搭載しておいて、会話の単語の一部を間違える。
この単語に間違えたら面白いというのを考えて、データベースを作っておけば実現可能かな。
オヤジギャグ機能
「布団ガ、フッ飛ンダ」「バインダーガ無イ。ソウダ、頼メバイインダー」
同音意義後を使って文章を作る。この例は初級だが、もっと難しいのもできるだろう。そのへんのオヤジには負けない。
さらに応用編として、回文を考えるとか。「トマト」「タケヤブヤケタ」 などの初級クラスではなく、「宇津井健氏ハ、神経痛」とか「肉ノ多イ大乃国」などの上級編でもロボットなら作れるだろう。
勘違い機能
彼は銀行マンらしいよ。「ジャア、醤油ヲ作ッテイルノカ」 それはキッコーマンだろ。
相手が言った言葉から、同音意義または類似の言葉をデータベースから検索して文章を作って回答する。
勘違い機能(ロングバージョン)
アンジャッシュのネタみたいに、例えば店にアルバイトの面接に来た人を「万引き犯だ」と勘違いしたまま、しばらく演技を続ける。さすがに、これは無理だろう。そもそも、こういうのは芝居みたいなもので、人間だって覚えたことを再生するわけだし。覚えたことを再生するのでよければ、ロボットの方が得意だけどね。
◆空気を読む(共通機能)
舞台芸人は、その日の客のリアクションを見てやり方を変える。これをロボットにやらせるために、次の機能を搭載する。
客層把握機能
まず、顔認識センサで年齢を推定する機能が実用化されているので、これを使おう。客の平均年齢を推定して、それに合ったネタをネタ帳データベースから選択して使う。
ウケ度合判定機能
最近のデジカメには、笑顔を検知して笑うとシャッターを切る、という機能がある。これを使って客の笑顔を検知する。これと笑い声の大きさからウケているかを判断する。ウケていれば、そのネタをさらに展開させる。ウケてなければ、ほかのネタに変更する。
出番検知機能
オバマに似たある芸人は、ネタをふられても何もしゃべれず、奥さんにダメ出しされている(それが芸風になってしまっているが……)。こうならないように、自分にふられたのを検知する機能。ってこれは無理だろうなぁ。
こんなふうに空気が読める機能ができたら、ロボットより先に、空気の読めない私が付けた方がいいかもしれない (^_^;)
◆ツッコミロボット
相方がボケたらすかさず突っ込むロボット。ボケロボットから、ボケました信号をもらって突っ込むなら簡単だろうが、それはなしとして、アドリブで突っ込むロボットを想定する。これは難しそうだ。以下の機能を考えてみた。
言葉の間違いにツッコむ機能
単に、「相手の言葉でおかしなところがあると反応してツッコむ」だと、こうなってしまう。ここからいいものが見れるぞ! 「見レル ジャナイダロ、見ラレル ダロ!」
これでは、まったく面白くない。「国語の教師かっ!」と逆にツッコまれてしまう。ボケたのかどうかを判定できないといけない。
話の内容へのツッコミ機能
昼食はイタリアンにするか。「欧米カッ!」
となってしまってはダメ。「欧米かっ」は日本人がやらなくて欧米人がやることに対してしか使えない。そんなことまでロボットが判定できるだろうか?
比喩を使ったツッコミ機能
くりぃむしちゅーの上田のように「子供のケンカかっ」「木から落ちた猿かっ」と比喩を使って突っ込む。これはさらに難しい。比喩が面白いものでなくてはいけないし……。
こう考えると、ツッコミロボットを作るのは、とっても難しそうだ。芸人コンビもツッコミが鋭いと話が面白くなる。ツッコミって重要だ。
このほかのロボット(なぞかけロボ、リアクション芸ロボなど)は、「こちら」に載せています。
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仕事で身に着けた要求仕様策定の技術を使って、こうやって架空の仕様を考えてみると面白い。ドラえもんのひみつ道具の仕様を考えるのもいいかもしれない。
頭の体操にやってみてはいかが?
私が担当するお笑い芸人ロボットの「要求仕様の策定」工程は、ここまで。後工程の、「詳細設計」「プログラミング」以降はあなたにおまかせします。(^^♪
abekkanでした。