いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

隙間時間の活用が長続きしない理由

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人間の体力には限界がある

隙間時間の活用というのは体力が要る。そして気力も要る。どんなに使う道具を工夫しても、ある程度の体力は持っていかれる。人間である以上、頑張れる時間の制限がある。理論的には、隙間の時間に色々詰めていけば多くの時間を捻出することができる。だが、体力はどう捻出するか考えているだろうか。

あとは、時間を捻出したとして状況だ。時間を捻出したタイミングでやりたいことができる状況だろうか。例えば、捻出した時間で本を読もうとした時、自分の机にいるか、満員電車に揺られているかによってできることが違ってくる。自分の机にいればリラックスして本を読めるが、満員電車では本を開いているだけで体力を消耗する。とても本に集中なんてできない。

時間のことを考えて体力の事を考えないと、三日目に疲れてしまうので三日坊主になる。ちょっとタフな人なら何ヶ月くらいは続くが、時間の活用ではなく我慢大会になる。最もタチが悪いのが、しんどい事が喜びになってしまったマゾヒストだ。ハァハァ言いながら「僕、頑張ってるよね?ウヒヒ」みたいな顔で話をする。単純にキモいので、こういう人とは距離をおくようにしている。

実際のところ、空いてない時間を活用できない人が隙間時間を活用できる訳がない。ただ、隙間に詰め込んだ方が「できる人」や「意識の高い人」をアピールできる。隙間時間云々言うよりも、充実した休日や質の良い睡眠の方が人生を充実させてくれるだろう。隙間があるからといってギュウギュウ詰め込んでると、自分が詰め込んだタスクで窒息してダウンするぞ。

隙間時間の有効な活用方法

実は、誰にでも簡単に楽しくできる隙間時間の活用方法というのはある。漫画だ。通勤電車でも、仕事の合間でも何時でも気軽に読める。隙間時間の活用といっても勉強や訓練ばかりじゃない。こういう娯楽もれっきとした隙間時間の活用だ。確かに娯楽は時間の消費と捉えることもできる。何の生産性も無いと言えばそれまでだが、人が生きて行くには一定量の娯楽は必要だ。

成長とか生産性ばかりが時間の活用じゃない。しっかり休むための時間も、楽しく過ごすための時間も活用だ。なぜなら、しっかり休んだり、人生楽しいと思えないと生産性なんて上がらないし、自分から何かやろうという気なんて起らない。仕事で緊張して、その緊張を隙間時間にまで引きずったら、体力も気力も簡単に尽きてしまう。

隙間時間ほど遊んだり休んだりすべきじゃないだろうか。気力や体力を回復させる時間に充ててはどうだろう。消費するばかりだと、ここぞという場面に出くわした時に、気力や体力が残っていない。これも馬鹿馬鹿しい。タスクを詰め込むより、しっかり休んだり、自分のやりたい事をやる方が簡単だ。しかも確実に長続きする。能力を発揮するには休息も大事だ。

努力は素晴らしいが体力と気力には限界がある。限りあるリソースを有効に活用してこそのエンジニアだ。普段から脳味噌を最大限に引き絞っているのだ。隙間時間まで張り詰めていたら、リラックスするタイミングを逃してしまう。無いものを絞り出すのを有効利用と勘違いしていないだろうか。絞らなきゃ出ないような体力と気力なんてたかがしれている。だったら、休んで回復させる方が時間を有効に活用できる。

隙間時間ではなくまとまった時間を作ろう

本当にやりたい事があるなら、隙間時間を活用するよりまとめて取り組む時間を作ろう。効率は何十倍もアップする。伸びない人は、普段は怠惰さに流されていて、隙間時間に頑張ろうと躍起になる。隙間時間を活用するより怠惰さを克服する方が先なんじゃなかろうか。疲れててそうなってしまうというなら、いっそ休みに徹した方が良い。

隙間時間を活用云々言うなら、残業しないでさっさと帰宅してみよう。隙間ではなくまとまった時間が作れる。同じ取り組むなら、隙間時間にミチミチやるより、まとまった時間をとってガッツリ取り組む方が効率的だ。残業に限らず、無駄に消費している時間というのは、よく分析することで見つけることができる。無駄に消費している時間もそうだが、トレードオフでも時間をつくることはできる。

一日は二十四時間であることは変わらない。二十四時間という器に、入るものを入るだけ配置していくしか、私たちにできることはない。しかし、タスクの配置を工夫することで、細切れになった時間を一つにまとめることも可能だ。限られた時間を有効活用するなら、調整と取捨選択は必須になる。時間を活用したければ、詰め込むというアプローチではなく、パズルを解いていくようなアプローチの方が有効だと考える。

自己啓発やライフハック系の本を見ると、だいたい詰め込み方ばかりフォーカスしている。手放すことにフォーカスを当てているのは、一部のスピリチュアル系か、女性が好みそうなフンワリした系の本だ。取捨選択というが、取るのと捨てるのではこのくらい大きな感覚の差がある。だから取捨選択というのは難しい。隙間時間を活用しようと考える人は、自己啓発やライフハック系の情報を好む。だから詰め込み傾向が強くなり、結果、隙間時間の活用が長続きしないのだ。

普通に頑張ろう

隙間時間を活用している人を見ていると、普段からやることをやってる。勢いがついて止まらないので、隙間時間にはみ出ている。こういう人の書いたノウハウは、勢いがついていない人が読んでも全く役に立たない。どれだけ勢いがついているかという条件が全く違うからだ。隙間時間の活用よりも、普段から取り組む習慣を身につける方が先だ。

凄く面白い小説があったら、電車の中でもトイレでも読みたくなると思う。それと同じだ。もしこれが、つまらない小説だったら絶対長続きはしない。やらなければいけないという脅迫観念でも、同じように電車の中でもトイレの中でも「やらなくてはいけない」と行動を続けることはできるが、効率は至って低いし疲労も溜る。どこかのタイミングでしわ寄せがきて、ダウンするか変な行動を起こす。

結局、楽しければ続くし、つまらなければ続かない。それだけだ。どう感じるかという部分の問題なので、理屈よりも精神論に近い。なので、頑張れるから人として優れているとか、頑張れないから劣っているという見方はしたくない。たまに価値観の変化で爆発的に成長する人がいるからだ。逆に、目的を見失って急激に燃え尽きる人もいる。

自己啓発や変なライフハックを鵜呑みにして隙間時間の活用を試みても長続きはしない。それよりも、自分の怠惰さに終止符を打とう。下手な隙間時間活用よりも、普段から掃除や整理整頓をしておく方が効果は高い。怠惰さを克服するには、普通に家事をこなすことが一番の訓練になる。自分がやりたいと思えば、何も考えずに勝手に隙間時間を活用しだす。隙間時間などと切羽詰まらずに、普通に頑張ればそれでいい。

Comment(4)

コメント

興味深いエントリが多いですね。ついつい読みふけってしまいました。

>しんどい事が喜びになってしまったマゾヒストだ。
人のことは言えないですが、Mの要素はこの業界では必要だと思います。
Mでないとこの業界を生きていくのはしんどすぎる(だから辞める人多いのでしょうが...)。
 

>隙間時間ほど遊んだり休んだりすべきじゃないだろうか。
同意です。休憩はとても大事です。何事にもメリハリが必要だと思います。
休憩というのは大きくジャンプするためにしゃがみ込む様なものです。

 
以前のエントリについてなのですが...
el.jibun.atmarkit.co.jp/101sini/2010/12/post-c1b2.html
 
誰も突っ込まないので
「替え歌かい!」このオッサンめ。でもこういうの好きw。
HAGE明日かぁ~。遠い目。
 

el.jibun.atmarkit.co.jp/101sini/2010/12/post-677c.html
とかにもありますが...
完治かー。チョメチョメしよう!いやボクHGだから...
暗号的でスイマセン。

user-key.

>最もタチが悪いのが、しんどい事が喜びになってしまったマゾヒストだ。
自分自身に向けばM、他人に向けばSと方向が違うだけで、ドMもドSもスカラー量は変わらず、対象相手が違うだけで、根っこは同じと認識しています。

OKP

体力、気力のコストを考えていないから
隙間時間=無駄にしている使える時間
となってしまう
この事に言及している人初めてみました。

坂田錚作

ほぼ同じ事を考えていた。小さな「隙間時間」に言及して「有効利用」などと言う人に限って、まとまった時間では非生産的でありがちだなぁと。

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